たかが頷き、されど頷き

今回は、日本臨床コーチング研究会メール通信 の本日号に、私の文章を掲載させていただいたので、その文章をそのまま引用させていただきます。

これは、以前より、日本臨床コーチング研究会の会員向けに、「臨床コーチングに役に立つ(かもしれない?)情報」として、毎月2回メール発信されているものです。

 

昨年の夏の話しなので恐縮なのですが…。
昨年7月に、札幌で臨床コーチング研究会が開催された時のことです。
あるセミナーの時間に、会場全体で参加者の皆さんがロールプレイをしている場面がありました。その時に、会長の松本一成先生を含め幹部の先生方も数名が人数調整の都合もあり、自らこのセッションに加わられておられました。そしてその時、私は会場をぐるっと回りながら、そのセミナーを外から見学していました。

まず、いつもの通り、相手の話しを聴く場面で、皆さん頷きながらしっかり話しを聴かれていました。
それをしばらく私はボーっと特に何も考えることなく眺めていました。すると突然、ある光景が私の目に飛び込んできました。
我に返って、何だろうとしっかりそれを見つめ直すと、ある人が周りの人に比べて倍くらい大きく、しかも、会場の端から見ていても、あれはいかにも話しを聴いてくれているだろうという雰囲気を醸し出しながら頷いておられました。では、他の人達はどうやって頷いているのだろうと、会場全体を隈なく見てみると、その人に比べると、頷きが小さかったり、しっかり相手の目を見ていなかったり、頷きそのものに気持ちが入っていなかったり、といった違いが認められました。

正直、コーチングのセミナーでは、「頷き」については、あまり熱心に語られない箇所と言えます。その理由としては、医療者であれば、誰でもきちんとできている当たり前の動作であるからではないでしょうか。

しかし、そうは言っても、この簡単で非常に分かりやすい動作を極めようとすると、やはりきちんと意識したり、気持ちを込めたりする必要があるのだなと、その時改めて感じました。

実は、その気持ちの入った大きな頷きをされていたのは、会長の松本一成先生でした。
普段、講演・指導されているだけでなく、普段から自らがきちんと実践されておられるのだと、甚く感銘を受けました。
私も、この松本会長を筆頭とする臨床コーチング研究会で、これからもしっかりコーチングを勉強しようと、気合を入れ直した次第であります。