医療と芸術の融合

先週末、「医療と芸術の融合をめざして」といったタイトルで、順天堂大学と東京藝術大学の合同・公開シンポジウムが催されていたので参加してきた。

今回が初めての試みということであったのだが、予想以上に密度の濃い内容であった。

 

最初に両大学の理事長と学長から挨拶をされたのだが、なかでも、澤和樹 東京藝術大学学長は、自ら1曲バイオリンの独奏もされた。壇上でスピーチをされた後、おもむろに楽器を取り出されて演奏された。ウォーミングアップも全くないにもかかわらず、本当によい音色で、特にピアニッシモが非常に素晴らしかった。やはり、一流のプレイヤーはどんな状況であっても、聴衆を魅了する演奏ができるという、プロの凄さをまざまざと見せつけられた思いであった。

 

また、山下靖喬氏の津軽三味線も本当に勢いがあり、ギターでいう速弾きのテクニックのレベルの高さに圧倒された。爆笑トークも冴え渡っており、会場の聴衆を完全に巻き込んでの演奏で、これまた本当に素晴らしかった。

その他にも、外国人僧侶のザイレ暁映氏や、リハビリメイクで多くの患者さんのQOLを向上させているかづきれいこ氏の話など、医療と芸術の範囲をもさらに超えるような内容で、本当に盛りだくさんであった。

 

そして、この夏に全日本医科学生オーケストラフェスティバルの実行委員長を見事に果たした、順天堂交響楽団の朝妻君も、事例報告として、医学生のオーケストラでの活動や、東京藝術大学生との交流についてプレゼンテーションを行ってくれた。

順天堂大学はどうしても体育学部があるために、学内の雰囲気は運動系の部活が幅を利かせているところが伝統的にあった。しかし最近はそういった校風も時代とともに薄れてきているようで、実は順天堂交響楽団の団員は70名程度と、現在では超巨大部活になっている。看護学部生も含めると約100名の部員がいるとのこと。そういったことを、今回のプレゼンテーションで順天堂大学の内外に知ってもらえたことは、本当に貴重な機会であったなと思う。

これも、朝妻君が総勢200名におよぶ全日本医科学生オーケストラフェスティバルの実行委員長を頑張ってやり遂げてくれたお蔭だと思う。そういった意味でも、本当に感謝したいし、お疲れ様でしたと改めて言いたい。

 

余談であるが、この順天堂大学と東京藝術大学との交流のご縁で、現役東京藝術大学生のTuba奏者を紹介していただき、実は月1回個人レッスンを受け始めた。

もう楽器を吹くことも年齢的に難しいと思って諦めようとしていたのだが、藝大生の若い先生に教えてもらえるのならと、一念発起して個人レッスンを受け始めるようになった。

1回目のレッスンから、スパッスパッと的確なアドバイスを立て続けにいただき、急に晴れやかな音が出るようになったことで、自分でも驚いてしまった。常に一流で活躍されている方は、やはり大切なポイントが本当に分かっておられるのだなと、改めて感心した。

 

これからの時代は、医療もコミュニケーションが今まで以上に求められる時代となってきている。そういった時代を生き抜いていく上で、医療と芸術の融合が注目されるということは、必然なのかもしれない。