評価者が手間暇をかけることが大切

先日、「人事評価」についてのセミナーがあり、受講してきた。

実際に人を評価するということは非常に難しい。ただ単に売り上げだけで評価することもできるが、実際にはそんな単純なものだけで常に評価を行うことはできない。また、評価受けた側にとっては、極めてモチベーションに直結するものでもある。

 

先日からのブログの流れである医療機関という視点から考えてみると、「人事評価」というものを、医療者に対して取り入れている医療機関はどれほどあるのだろうか。ましてや、医師に対して「評価」を行っているところは、まだかなり少ないであろう。そもそも「年功序列」的な人事がまだ行われているのが、医者の業界では当たり前になっているところも未だに多いかもしれない。

 

さらに、大学医局や多くの病院では、どれだけ働いても給料はほとんど変わらないことも多いのではないか。このため、一生懸命に患者さんや組織・研究のために働いているドクターが、あまりにもその「頑張り」を評価されなさ過ぎて、嫌気がさして辞めてしまうことを、僕も少なからず見てきた。

 

こういう「頑張っている」ドクターのことを言い表す良い表現として、今回のセミナーで教えてもらったのは、「ストレッチゾーン(stretch zone)」で働くというものだった。これは快適に働けている範囲(comfort zone)から少しストレッチしながら仕事範囲を広げていこうとすることを言うそうである。この「ストレッチゾーン」で働いているドクターに対して、周りや上司がアグリーしてくれるのか否かは、非常に重大なポイントとなる。

 

僕がまだ大学院生だった頃、うちの医局は若いドクター達は、様々な研究や取り組みを自分で考え、ストレッチゾーンに入り込んで仕事をしていた。その時に、我々のボスは自由に好きにさせてくれたので、非常に伸び伸びと仕事も研究も出来ていた。今振り返ると、本当に有り難かったなと思う。

 

また、定量的な評価と定性的な評価があることも教わった。

定量的な評価とは、論文のインパクトファクターが何点であるかとか、外来・入院患者をたくさん診察し、売り上げがどれくらいだったといったことになると思う。一方、定性的評価とは、結果が伴ったか伴わなかったかに関わらず、どれくらい頑張っているかとか、どれくらい患者さんからの評判が高いかなどといった内容を評価してあげることである。

この2つを同時に同じ重きを置いて、きちんと評価してあげることで、より現実感のある評価になっていくのではないだろうか。

 

そして、最も印象的だったのは「評価者が手間暇をかけて評価をすることが大切である」ということだ。やはり、人様を評価するということは、本当に重みのあることである。だからこそ、評価者は安易に自分の選り好みなどで評価を行うのではなく、しっかり手間暇かけてあらゆる方面から情報を収集し、また、あらゆる角度からその人を評価させていただくように心がけることが非常に必要なのではないかと思う。

そうした熟慮の末にされた判断で、きちんと評価してもらっていると分かれば、若い人達も納得しやすいと思うし、離職率も自然と低くなっていくのではないだろうか。