陸上200m決勝チケット

東京オリンピックが終わった。

緊急事態宣言下では、無観客開催はやむを得ない選択であったが、こんな感染者数の増加の中、本当にどちらのことを考えてもいたたまれない思いである。

 

今さらではあるが、僕はオリンピックのチケットが3種目も当選していた。

バスケットボール予選とハンドボール予選、そして、一番高いチケットは、女子200m決勝であった。

 

当選した当初、もちろんコロナ前であったが、ほとんどの応募者が抽選に漏れたというニュースを見て、これは3種目も当たったなどとは、口が裂けても言えないなという雰囲気があった。

その後状況は一変し、新型コロナウイルス感染症のパンデミックになってからは、オリンピック開催の機運がどんどん萎んできて、なおさら、オリンピックチケットの話しをするのは憚られる状況となった。

 

実際にテレビ観戦となった訳だが、この女子200m決勝のチケットは、夜の部であった。その中には男子200m準決勝や男子棒高跳び決勝なども含まれていた。

 

特に印象的だったのは、棒高跳びであった。

昔は棒高跳びと言えばブブカ選手で、6mを飛ぶか飛ばないかで長年話題になっていた。

今回は、一人の選手の圧勝。スウェーデンのアルマンド・デュプランティス選手だけが飛ぶ高さが全く異なっていた。6m2㎝で金メダルが確定し、本人の持つ世界記録の6m18㎝を上回る、6m19㎝の跳躍となった。

本人も、ずっと終始余裕の笑顔があり、スタジアムの関係者もみんな一様に世界記録を期待しているようすであった。

1回目の試技で、決まったと思った瞬間、少しだけ体が触れてしまい失敗。

そこでこの選手の表情が一変してしまった。

 

結局、残念ながら3回とも失敗。世界新記録更新とはならなかった。

もし、あのチャレンジの瞬間、超満員の観衆がスタジアムを埋めていれば、もっと本人のテンションも高く保て、世紀の瞬間をみんなで見れたかもしれなかったのではと思ってしまった。

ああいった自分のモチベーションを保つことが難しい瞬間、無観客の静かなスタジアムでは気持ちの持っていき方や気持ちの切り替えが難しいのかもしれないなと感じた。

 

今回の大会は、日本選手が大変活躍した大会であった。しかし一方で、非常に期待されながら上手く結果が出せなかった日本選手もいる。無観客によって、過剰なプレッシャーを感じずに良い結果出せたり、ホームの利を活かせなかったり、様々な要素が、タラレバではあるが、自国開催のオリンピックにおいて、大きく影響したのかもしれないとも思う。そのいずれもが、人生というものなのかもしれない。そういったことを、オリンピックの真剣勝負を観ていると、否が応でも考えさせられてしまった。