高校総体や吹奏楽コンクールの中止

今の状況を鑑みると、当然やむを得ないと思うが、あまりにも残酷な中止決定である。

 

僕自身、高校3年生当時の吹奏楽コンクールがあってくれたお蔭で、人生が大きく変わったと言って過言ではない。そして、かつて様々な部活動などを経験して、同様の感情を持っている人達も世の中には大勢いるのではないだろうか。

僕自身は本当に幸運なことに「全国大会金賞」という、これ以上ない最高の結果で終えることができた。ただ、もしこのような最高の結果を得られなかったとしても、人生においてかけがえのない経験を得られたと言えるだろう。

 

高校3年間、小・中学校の頃からも含めると本当に何年間も努力して頑張ってきたその集大成が、高校総体であったり、国体であったり、はたまた甲子園や吹奏楽コンクールであったりすると思う。その最後の成果を示すことすらできないということは、どれ程の辛さ・残酷さであろうか。

 

僕自身、高校3年生の時、大学受験と全国大会を自分の中で天秤にかけた時に、全国大会を目指すことを自ら選択した。それは、かつて吹奏楽の甲子園と言われた「「普門館」には高校生でなければ行けない。一方で、大学受験は浪人してでも行くことができる。」そう判断して、高校時代はとにかく朝から晩まで毎日毎日楽器を吹き続けていた。

実際に、全国大会への出場を果たした後、大学で活躍したり、ましてやプロになったりできる人はほんの一握りである。多くの選手や演奏者達は、真剣に取り組めば取り組むほど、自分の限界を分かってしまうので、高校時代が最後だという思いを強く持っている人もたくさんいると思う。

僕自身も、楽器を練習すればするほど自分の限界が見えてきたし、とても音大に入ったり、音楽で飯を食っていくレベルでないことは、痛いほどよく分かっていた。だからこそ、この高校3年生のラストチャンスにかけるしかなかった。

ただ、チームメイトに超高校級のプレイヤーがいたりして、そのプレイヤーを核としてチームを作っていけば、自分の実力だけでは一生体験することのできないような全国の晴れ舞台をも経験することができることもある。それが高校生の部活動のよいところであろう。

 

そういった経験がごっそりできなくなってしまうことは、本当に残念無念としか言いようがない。

10代の頃に、この様な衝撃的な辛くもどかしい経験をしたことが無いので、僕には彼らの心中が想像できない。そして、かけてあげる言葉も正直見つからない。

中には、今年の大活躍によって進学や就職、そして人生が大きく変わっていたはずのニューヒーローやニューヒロインが何人もいたはずだ。

 

オリンピックも1年遅れでやってくる(と思う)。しかし、高校生達の甲子園や全国大会は、この瞬間でしか目指すことができない。

今の高校生の世代は、東日本大震災も経験し、人によっては台風などの大きな水害被害も経験している子達もいるかもしれない。そういった辛い経験を彼らは小さい頃から何度も経験してきた。

そう考えると、僕らの世代はだいぶ暢気に育ってきたと思う。阪神淡路大震災も20歳を過ぎた頃であった。

一生の思い出や、10代の貴重な経験や進学・就職について、本当に様々な障害があると思うが、是非、この経験を糧にして、今よりもより良い世界になっていくように、若い彼らには、将来大きく羽ばたいていってほしい。