さらばドカベン・水島新司

水島新司氏の訃報が報道された。

すでに引退され、そういうことも近いのかとは思っていたが、やはり残念な気持ちでいっぱいだ。

正直、一時代が終わった気がする。

 

以前も、このブログで書いたことがあるが、僕の中のベスト1の漫画は「ドカベン」である。

こんなに何回も読み返した本は他には無い。

 

初版本に手をつけるのは勿体ない気がして、10年ほど前には、改めて復刻版を全巻買い直してしまったほどである。このため、京都の実家に初版本、今の家には復刻版が揃えてある。

 

今や、読み返してみると、「巨人の星」なみにフィクション臭さが目に付くことは否めないが、それ以外にも、現代でも通ずる配球の妙や、剛速球対ホームランといった、野球の魅力を存分に発揮してくれたマンガであったと思う。

 

令和の時代に入り、子供達が思う存分に野球をできる環境というのは本当に無くなってしまってきている。町中にある公園ではキャッチボールすら禁止。ファールゾーンを広くとる必要がある野球場は、敷地がかなり広くなくてはならず、サッカー場に比べてかなりの少なさになってきている。

 

子どもの人口が減っている中、野球人口も顕著な減少を認め、こういった野球マンガ自体が注目されなくなってきている。

 

最近は、スラムダンクやハイキューなど、他競技で相手との駆け引きの妙を絶妙に描き上げて大きな話題となったマンガも多いが、僕自身は、水島新司氏が描き続けたドカベン・あぶさんなどが、これらのスポーツマンガのその大本のルーツであると確信している。

 

野球マンガを通じて、野球のより深い面白さを知り、そして、人生をも学ばせてもらった水島新司氏に、深く哀悼の意を表したいと思う。

里中が野球部を去ることになった時の岩鬼があの学生帽を、グラウンドから青空に向かって高々と投げ上げたように、「あばよ!!」と言いながらも、これからもずっと天国でこれからも高校野球やプロ野球をしっかりと見守っていただきたいと思う。