オリンピック2022で思うもの

冬の北京オリンピックもとうとう終わった。日本人選手だけでも、本当に色々なドラマがあったのはご存知の通りだ。

 

僕自身も、しっかりとまでは言えないまでも、それなりには様々な競技を観戦した。そこで今回、改めて思ったことは、競技時におけるメンタルコントロールの難しさである。

 

女子スピードスケート1500mを見ていたところ、最終組の1つ前で、前回大会金メダリストのオランダのベテラン選手が、オリンピック新記録という素晴らしいタイムの滑りを見せた。直後の最終組であった高木美保選手は、やはりそのタイムを意識したのか、本来の滑りよりは力みが生じ、残念ながら銀メダルに終わった。

同様に、男子ラージヒルジャンプの最終直前の選手が、これまた素晴らしいジャンプを見せ首位に立った。直後の小林陵侑選手が、さすがに意識したのか、今の大会にずっと見せていた伸びやかなジャンプが若干影を潜めて、残念ながら2位となった。

これは、僕の独断と偏見であり、ど素人の印象なので、実際はどうなのか分からない。ただ、一生をかける瞬間に、その直前にかなり意識せざるを得ない好記録を出された時に、人はどうやって自分の気持ちをコントロールして、最高のパフォーマンスを発揮すればよいのか。そんなことは分かっていても、実際に体現することが非常に難しい。スポーツの面白さは、正にそういったところにあるのであろうが、当の本人からすれば、その瞬間の心の持ちようというのは、トップアスリートでさえ、本当に極めて難しいことなのであろう。

当然ではあるが、最終的な結果が銀メダルであったとしても、誰もそれを責めることなどできない。

 

一方で、そういったプレッシャーを押しのけて、今大会最後の滑りで高木美保選手は、見事に金メダル。しかもオリンピック新記録であった。本当に天晴れだと思う。

平野歩選手も、ご存知の通りに素晴らしかった。夏の東京オリンピックから半年しかないなか、再びスノーボードにチャレンジして、人類初の素晴らしい、しかも完璧なパフォーマンスを見せてくれた。夏のオリンピック前のインタビューで、「スケートボードは足が固定されていないから難しい。だからこそチャレンジし甲斐がある。」と答えていたことが、非常に印象的だった。人は要らないことをしてと、色々と揶揄されることもあったと思うが、スケートボードといった足を固定されていない競技に真剣に向き合ったからこそ、スノーボードがさらに上手になった。そういったことをヒシヒシと感じさせる内容であった。

しかも、ご存知の通り、2回目の採点は不当なほど低い点数であった。あのまま銀メダルだったら、これは相当に物議を醸していたに違いない。ジャッジする側の責任というのも、人の人生がかかっているのであるから、本当にその覚悟を持つことが試されるのだと思う。特に、前例の無いことに直面した時にこそ、その真価が発揮されるのであろう。

 

実際のところ、オリンピックというブランド力は、残念ながら30~40年前のような華々しいものに比べると、かなり霞んできてしまっているように思われる。ただ、そうは言っても、選手たちの人生をかけた真剣勝負そのものは、まったく色あせることは無いのも、事実であろう。

 

本当に素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれた世界中のアスリートに感謝である。