元総理大臣の訃報

先日、元総理大臣の訃報のニュースが流れた。

僕自身、そんなに大したかかわりがあった訳では全くないが、ほんの少しだけ関わらせていただくことがあり、経歴がすごい人だけに、やはり少し印象的な思い出として残っている。

 

大学病院で働いている頃に、時々予約なしで受診しに来られることがあった。

もちろん職員一同、VIP的に丁重に対応するようにしていたのだが、さすがに予告なしに急に来られた場合には、速やかに対応できないこともあった。

運悪く、本来対応すべき医者達が手術や外来で出払っていたような時に、仕方がなく僕に声がかかることが何度かあった。

人生で初めて元総理大臣と会話をすることになるのだが、やはりもちろん緊張した。

 

そんなことが1回ならず、数回あった頃に、たまたま日経新聞を読んでいたところ、別の大物国会議員が大学時代の思い出を語っている記事を見つけた。確かそこには、W大学弁論クラブにいた頃に、この元総理大臣の弁論シーンを何度も見たことがあったそうなのだが、一度も「あ~」とか「え~」と言っていることを見たことが無いといった内容が書かれていた。

僕は、とにかく話すことが全く上手ではなく、いつも「あ~」とか「え~」が多すぎるとご指摘・お叱りを受けてしまっている。

 

そこで、また突然来られた時に、「またお前か。お前に診てもらいにここに来た訳ではない」と、またもや多少の洗礼を浴びながらではあったが、思い切ってその話を切り出してみた。

そうしたところ、少し虫の居所も収まっていただけたようで、「緊張感を持って話しをするようにしていれば、特に「あ~」とか「え~」とか使わなくても話せるだろう」と仰った。

僕自身は、緊張感を持っている時ほど、「あ~」とか「え~」とか言ってしまうので、とにかく「そもそもの出来が違い過ぎる」ということを強く思い知らされた瞬間であった。

やはり、一国のトップを張る人物は、話す時でもそのクオリティはワンランク上のレベルで話されていたのだと、改めて感心させられたのを、よく覚えている。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。