千葉「病院の働き方改革」懇談会に参加して

久しぶりに河北隆社労士が中心となって開催されている「病院の働き方改革」懇談会に出席するために千葉市まで行ってきた。今回は、千葉中央メディカルセンター院長の福田和正先生が講演されていた。

 

千葉中央メディカルセンターは、前身は加曾利病院という名前の病院だったそうだ。6年ほど前に、医療法人内での統合・再編があり、実質的に一旦病院を縮小されたが、その頃から病院長として様々な取り組みを行われて、収益を上げ、離職率を抑制し、見事なV字回復を達成されているとのこと。

今や研修医募集4名に対し、20名以上の応募がある程の人気病院になっているらしい。一般的に見て、研修医がどれくらい応募してくるかは、その病院がどれくらい医療水準が高く、優れた医者が集まっているかの一つの大きな目安になると言える。

 

素晴らしいなと感じたポイントとして、医師だけでなく、各部署の主要なスタッフとも毎年1~2ヶ月かけて1on1を病院長自らされているとのこと。また、年末の忘年会の時にできる限り病院内の様々な部署の忘年会に、自ら参加されているそうだ。しかも、コミュニケーションを積極的に取るスタンスは病院内だけではなく、地域の連携医療機関や救急隊員とも連携し、無駄を減らしクオリティの高い地域医療連携を行っていくために、どうしていけばよいのか常に気配りをされている。日頃から、医療連携登録医や救急隊員も仲間と思って接するように心がけておられるとのこと。

 

また、4年後の医師の働き方改革に向けて、すでに常勤医の残業時間もかなり少なくされておられる。そのノウハウをお聞きしたところ、きちんと時間外になると、当直医に申し送りをして、任せるようになってきているとのこと。これが可能となっている背景として、各当直医がレベルの高い診療ができるからこそ、主治医達は任せて帰宅することが出来ると思う。

そういった意味では、きちんと医師のレベルアップの指導が行き届いているということが、この常勤医の残業時間削減に直結していると言えるのではないだろうか。これは、多くの病院運営の参考になると思う。

 

また、昨年の台風では2日間の停電に見舞われたとのこと。入院患者さんの安全のため、周辺の病院へ100名以上転院していただいたそうだ。これにより予定外の赤字となったそうだが、その後、職員の団結力が高まったとのこと。これからの時代、災害対策も病院運営では、重要な課題となってきていることが、こういったエピソードからも伺うことができる。

そして、そういった緊急事態時に盛り返していけるか否かは、日頃の職場内でのコミュニケーション状況や、上司部下の信頼関係などが如実に反映されるのではないだろうか。

千葉中央メディカルセンターでは、停電解除後数日で病床稼働率を通常状態まで回復させたとのこと。この時の職員の団結力は、日頃のスタッフとのコミュニケーション状態が良好でないと、こういった素晴らしいアクションは起こすことができないのではないだろうか。