和食の神髄

今週、東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生のご講演を聴く機会があった。

タイトルは「和食の神髄」。

日本は古くから、和食の主材として、菜っ葉、青果、山菜・茸、豆(大豆)、海藻、穀物(米、麦)といった植物を食してきたため、生粋のベジタリアンとも言えるとのこと。

もちろん、魚も食することはあったが、これらの植物を実に上手に料理してきた。特に、良い水を用いながら、甘い・辛い・酸い・苦い・塩辛いの五味の他に、「旨い」を加えて六味の味覚を大切にしてきた世界唯一の民族であるとのこと。

 

先生のご専門分野である発酵については、日本は発酵食王国と言えるほど、様々な発酵食材を上手に利用してきたことをご紹介されていた。

印象的だったのは、糀は国字。麹は漢字。麹はすでに明の時代に無くなってしまったとのこと。日本人は特に米を発酵させて、味噌や日本酒などを作ってきた。そういった意味では、「糀」の文字を使用することが日本人らしいのではないかと指摘されていた。

 

さらに、日本の中で何度も大飢饉に見舞われた歴史があるが、その時の絵図を見ると、「やせた犬」もよく描かれているとのこと。犬を食することなく家族の一員としてともに飢えを凌いできた、日本人のやさしさも強調されていた。

 

そして、驚いたことは、江戸時代などでは、捉えた鯨は、骨を利用して橋などにも使われていたほど、捨てる箇所も全くないほど大事にしていた。しかも、捕鯨された1頭1頭それぞれに戒名までつけていたとのこと。そういった精神を今後我々も継承していく必要があるのではと、考えさせられた。

 

紹介された写真などは、パワーポイントではなく、懐かしいOHPであったことにはちょっと驚いたが、ご講演も絶妙なサプライズを交えた軽妙なトークで、本当に楽しく聴かせていただいた。

ご講演後、名刺交換をさせていただいたところ、やはりメアドは記載されていなかったが、住所とその電話番号が記載してあったのは、これまた今の時代、驚きであった。

どうぞ、トラブルなど悪用されませんように…。