日本健康教育学会に参加して➀

今月、獨協医科大学で開催された日本健康教育学会にて発表をしてきた。といっても、開催10日ほど前に、急遽完全オンライン開催に変更となったため、実際に栃木のキャンパスに行くことは叶わなかった。

 

日本健康教育学会は、さんぽ会の会長をされている福田洋先生に紹介していただき、一応、学会員としては10年以上前から入会している。ただ、学会発表したのは、今回が初めてだった。

 

なぜ、今さら発表する気になったかというと、浦和美園で行われた地域の健康増進活動が、思った以上に成果が出たため、それを報告したかったからである。

 

簡単に内容を説明すると、総務省でウェアラブル機器を用いた健康増進事業に補助金が出るとのことで、元IBMの社員が、浦和美園にて企画を立ち上げてくれた。僕が社内産業医をしていた頃から親しくしてもらっていた縁があり、今回、健康アドバイザー的に糖尿病専門医として関わらせていただいた。

また、元IBMの役員をされていた方が、トライアスロンのアスリートなのだが、スロージョギング協会の役員もされており、この浦和美園の健康増進プロジェクトの運動部門を担っていただいた。

しかも、この浦和美園近くで、塾を経営されている元IBM社員の女性などが、このプロジェクトに参加されている高齢者達に、非常に丁寧に、ウェアラブル機器の使い方やLINEでの連絡の取り方、そしてZoomでのオンライン研修会の受講など、ITボランティアを買って出てくれて、それが非常に機能していた。

 

僕自身は、参加者の皆さんに⁻3%の減量を促したところ、実際には-2.3%の減量が認められた。一般的に、地域での健康増進で減量効果が数値的に認めることはかなり珍しいと思われる。にもかかわらず、このように有意な減量成果が出た要因としては、いくつか考えられる。

ひとつは、糖尿病専門医と最後にZoomでオンライン面談が予定されたため、「参加者の皆さんがある程度緊張感を持って、このプログラムに参加されたと思う」と、様々なスタッフから話しを聞いた。もう一つは、コロナ禍においても、LINEやZoomといったオンラインでのサポート支援がITボランティアの方々によって、プログラム期間中しっかりと行われていたことであろう。これによって、高齢者でもIT脱落者を出すことなく、みんなで楽しくプログラムを続けることができていた。

 

しかも、今回のプロジェクトで印象的なのは、なし崩し的にIT・運動・医師といった専門家が寄せ集められたにも拘わらず、非常にプロジェクトとしては上手く行ったことである。

それぞれの専門性のスキルを持っている人が、お互いにきちんとコミュニケーションを取りながらプロジェクトを運営していくことができれば、どんな運動の専門家であっても、どの地域の糖尿病専門医であっても、そういったプロジェクトに参加することが可能となる。

つまり、日本中、どんな地域であっても、こういった効果が出るプロジェクトを企画することが可能で、その地域に足りないメンバーがいた場合は、遠隔オンラインで補うことが可能になってきている。

こういったITを用いた地域の健康増進については、学会発表時にも、非常に好意的に受け止められた。

地域でできるのであれば、もちろん職域で行うことも可能であり、これからの健康増進は、こういったIoT・運動の専門家・糖尿病専門医のいずれも無しには語れないのではないかと考える。