日本臨床コーチング研究会 認定コーチ研修会in関西に参加して

先週末、日本臨床コーチング研究会 認定コーチ研修会in関西に参加した。以外にも、大阪では初の開催となった。私自身も、聴く(聞くとの違いを明確にし、態度を習得する)・承認・伝える(枕詞・Iメッセージを使える様になる)の、2つのセッションで講師役を務めさせていただいた。

 

今回は2日間での開催であったため、上記以外にも多くの先生方が講師を務められた。特に印象的であったのは、やはり日本臨床コーチング研究会名誉会長の畑埜義雄先生の「心理的安全性と臨床コーチング」といったタイトルのご講演であった。

 

ご存知の通り、「心理的安全性」は、googleが「効果的なチーム」とは何かを定義するためにリサーチ調査を行ったところ、辿り着いた結果として、チームの効果性に影響する因子を重要な順に示すと以下のようになったとのこと。心理的安全性、相互信頼、構造と明確さ、仕事の意味、インパクト。

この「心理的安全性」とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味するとのこと。このため、自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地がある組織のことを意味する。

 

これを、医療現場の中に当てはめる時に如何に考えるかを、現在も多くの病院にて医療コンサルタントをされている畑埜先生が、実例を示しながらお話しをされていた。

医療現場においても、当然ながら一般企業と同様に、組織内にギスギス感があると、心理的安全性が損なわれる。こういった状態が続いてしまうと、各医療スタッフのやりがい感が減り、チーム意識も低下してしまう。このため、上司は部下とこまめにコミュニケーションをとることが大切で、お互いを認めあう文化を醸成していくことが大切だと仰っていた。

実際に、畑埜先生がコンサルテーションを行っている民間病院では、部下と挨拶をするなどのコミュニケーションの項目を定め、毎日それを記録してもらうようにし、毎週この記録を上司がチェックする。加えて、毎月診療委員会等で、幹部クラスもチェックすることにしたとのこと。この項目を各医療者幹部の評価項目とすることとした。この取り組みはすでに2年間続いておられるそうで、これにより、上司のコミュニケーションに対する意識が変化し、非常に風通しの良い組織に変革してきたとのこと。

 

いよいよ、日本の医療機関においても、この様なコミュニケーション手法を用いることによって、職場内の雰囲気を良好なものに変えていけるといった「成功事例」が示されるようになった。

先日のブログでもご紹介した通り、医療機関の働き方改革もあと4年に迫ってきた。しかし、すでに積極的に取り組んで、成功を収めている医療機関も出現しだしている。こういった情報は、若い医療者の間では、SNS等を通じて本当に素早く伝わっていくことが容易に想像される。この波を先取りできるか、乗り遅れるかで、その医療機関の存続に大きく影響することになるといっても過言ではない時代になってきている。まさに医療機関の生き残りのためのサバイバル時代が、この「医師の働き方改革」を行うことによって、同時に始まってきていると言えるのではないだろうか。