楽器の高騰

日本経済新聞2022年7月23日の朝刊に、僕にとっては大変興味深い記事が載っていた。

「楽器、金属高騰で値上がり 吹奏楽部や愛好家悲鳴」といったタイトルで、様々な楽器の価格が、一連の物価高と円安のダブルパンチでかなり高騰しているということ。

 

金管楽器は、当然ながら様々な金属を使用しており、楽器によっては30%高にもなっているそうだ。特にマイナー楽器ほど、需要が小さいため、値上げの影響をもろに受けやすい。

 

元々楽器については、全国各地の楽器屋さんがかなり良心的な値段で販売され、それによって吹奏楽等が学校の部活動で盛んになっている背景がある。このため、この値上がりは、そういった安価で各学校が楽器を購入するということに水を差す形になっているであろう。僕らも学生時代には、そういった地元の楽器屋さんとは親しくさせてもらっていたものだ。

 

今や日本の、特にヤマハ楽器もかなり良い楽器が揃っているのだが、そうは言っても、各パートで一流とされているメーカーはまだまだ海外であることが多い。そのため、まずは学校の楽器を使って演奏してみて、上達してきたところで、自分の楽器を個人的に購入することが多い。そうやって、いよいよ本格的に楽器を演奏したいと思い、よい楽器を購入しようとすると、まさにこの楽器高騰の影響を如実に受けることになる。

もう30年近く前なので、オープンにしてしまうが、僕がアントンというドイツメーカーのTubaを買った時、ちょうど円高だったこともあり、定価150万円くらいを120万円くらいまでディスカウントしてもらった。当時大学2年生だったので、もちろん自分で買うことはできず、親の脛をかじった訳だが、当初、親には80万円くらいで買う予定だと話しをしてあった。

ただ、残念ながら、楽器はやはり値段が高ければ高いほどよい楽器であることが一般的で、高校時代に吹いていたアレキサンダーというドイツメーカーの音色に負けずとも劣らない楽器が、この楽器であった。そして値段も他の楽器よりもはるかに高かった。

それでも30万円安くしてもらったわけで、本当に有り難い話しである。今の著しい円安では、そういったことが非常に難しくなっているのかもしれない。

 

また、木管楽器は基本的にリードと言われる口に銜える部分が消耗品である。これも値上がりしているとのこと。クラリネットのリード価格は1.5倍にも高騰しているとのこと。

 

ただでさえコロナのパンデミックによって、吹奏楽の練習などはかなりの制限がかけられており、十分な練習環境が整っていない状況が続いている。ここにさらに、楽器を買うことすら今まで以上に難しくなっていってしまうと、本当に楽器離れが強く懸念される。

どんなジャンルにおいても、やはり、日本の中で吹奏楽部が果たした役割はかなり大きいと感じる。何とか、日本の若い人達の音楽離れが進まないように、みんなで様々な工夫やアイデアを出していくことが強く望まれる。