米海軍特殊部隊「伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ」を読んで

米海軍特殊部隊「伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ」(Jocko Willink, Leif Babin著;長澤あかね 訳:(株)CCCメディアハウス2021)を読んだ。

最近、組織運営にはリーダーシップが非常に大事かなと思っているところがあり、何かリーダーシップ関連の本を1冊読んでみようかと思い、書店にいったところ、一際インパクトがある本を見つけた。この本の帯には、「全米230万部のベストセラー、世界29言語で刊行」とか、「究極の責任感とは?」といった言葉が並び、他の本よりもかなり見出しも目立っていた。軍隊本ということが否が応でも気になるところではあったが、ある意味、生と死が常に隣り合わせの過酷な状況にいた人達が、どのようなリーダーシップ観を持っていたのかは、一度くらい読んでおいても罰は当たらないかと思い、この本を手に取った。

 

この本は改訂版だそうだ。この著者2人は、米海軍特殊部隊「ネイビー・シールズ(NAVY SEALs)」のさらに精鋭部隊「ブルーザー」の指揮官と小隊指揮官で、イラク戦争当時、最も過酷な戦線の一つであった「ラマディの戦い」において、主要な戦闘作戦を計画・指揮していた。

退役後に、米海軍式リーダーシップに基づいた経営コンサルティング外車を共同設立し、様々な企業等でリーダーシップ研修や戦略・政策アドバイザーとして活躍しているとのこと。

本文では、この「ラマディの戦い」での壮絶な戦闘が連日続く中、どのように日々の作戦を計画し、それを指揮するためにどんな考え方をしていたかなどについて、一般人でも分かりやすいように解説してくれている。それと同時に、これらの教訓を基に、実際に様々な企業でリーダーシップ研修や戦略・政策アドバイザーとして社内に入っていく際、どのようにこれらの主要幹部達と会話をし、コーチングやディスカッションを行ってきたのかも、実例を通して示してくれている。

 

連日戦場で、生死を分ける判断に迫られる中、どのようにリーダーとしてチームをまとめ、指示・命令を行ってきたのかは、真の緊迫感があり、人の人生が大きく左右される中での責任感は、まさに「究極の責任感」と言える。必ずしも連戦連勝であった訳ではなく、全員が生きて帰国できた訳でもない。そういった辛い・苦い思いも常に抱きながら、どの様に日々戦い続けたかを知るだけでも、読む価値があると思う。

さらにそこに加えて、日々のビジネスに置き換えるとどういうことになるのかといったことを、分かりやすく経時的に実例で示しながら解説してくれるので、我々一般人にとっても非常にイメージしやすい内容となっている。

 

詳細は、もちろん本文を読んでいただきたいが、リーダーとして「学ぶ意欲があり、成長のために建設的で正当な批判を求める謙虚な姿勢を持ち、規律ある練習や訓練を積むのなら、たとえ天賦の才能に恵まれなくても優秀なリーダーになれる」「チームを大切にし、メンバーの長期的な利益と幸せに心を砕いていることを行動で示し、尊敬を勝ち取り、自らの価値を証明しなくてはならない」「リーダーは、すべてにおいて評価されなくてはならない」など、本当に我々に普段必要となる考え方を、ズバッと語ってくれている。

戦場とは全く逆の立ち位置ではあるが、医療に携わっているリーダーの方々にも、是非一度熟読していただきたい内容の書籍だとも考える。