職域における感染症への対応

今月の伝塾では、アマゾンジャパン合同会社の専属産業医をされている鈴木英孝先生から「職域における感染症への対応」についてご講演をいただいた。

 

鈴木先生は、「いま、企業に求められる感染症対策と事業継続計画」(出版元:Pilar Press)の著者でもある。ご講演を聴いて、この本が非常に有用であることが分かった。

 

 

もし実際に、「今日出勤してみたら、急に発熱して、しかも顔に発疹が出だした」という社員がいた時に、我々産業保健スタッフはどんな対応を取る必要があるかということを、講義形式に加えて、スモールグループディスカッション形式でみんなで話し合った。

 

すると、予想以上にかなり迅速に、かつ多くのことについて対応する必要があることが分かった。しかも、様々な点において判断することが非常に難しいということにも気づかされた。

 

職場対応として、やはり2次感染拡大を如何に防いでいくかということが重要であると思うが、そのためには、その感染症が麻疹か風疹かでも対応が異なり、潜伏期の自宅待機期間や暴露後対策等について考える時に、この本を見ると、その対応方法が「痒いところに手が届く」形で調べることができる。

 

また、働き方改革で、今後妊娠初期の妊婦さんが一緒に働いていることも多く想定される。このため、そもそも職場で感染拡大をさせないために、予め入社前にワクチン接種をしておくことや、雇入時健診時に抗体価を一緒に計測する等のことも考えていく必要があることをお話しいただいた。

 

実際には1つも同じ状況の職場やシチュエーションはない訳で、このため、その都度オリジナルの対応が求められる。しかも、濃厚接触者の特定やその該当者への連絡、注意事項の伝達などは、当日の初動がかなり求められる。このため今後も、この様にセミナーで勉強したり、スモールグループディスカッション形式でみんなで話し合ったりすることが、産業保健医療職には非常に大切であるということを教えてもらった貴重な機会であった。