10年ぶりの楽器メンテナンス

お恥ずかしい話、楽器の取り扱いについては、本当に誰にもお話しできないようなレベルでずっと来てしまっている。

確かに金管楽器なので、木管楽器や弦楽器と比べれば、多少なりとも楽器の扱いについては気が楽なところはある。もちろんそうなのであるが、それにも限度がある。大きな声では言えないが、正直なところ、楽器を買って30年。あまり本格的なメンテナンスをしたことが無かった。

 

今回、一念発起!?し、Tubaレッスンを受けている芸大大学院生の先生に案内していただき、初めて新大久保の有名楽器店を訪れた。

この店は、NHKの72時間でもドキュメント取材を受けた、管楽器では「知る人ぞ知る」楽器店だ。そこに、これまで一度も行ったことが無いということ自体が、かなりヤバい話ではあるのだが…。

(一応言い訳をすると、僕自身は、大学も御茶ノ水駅付近だったこともあり、御茶ノ水駅近辺の楽器屋さんに行くことがほとんどであった…)

 

今回主に、何本かある管の洗浄と、4本あるロータリーの調整をお願いした。

この楽器を買って、およそ30年。ここまで本格的な修理をお願いしたのは初めてであった。

3週間後に、修理が完了したとのご連絡を受けて、楽器を引き取りに行った。すると、各「管」が汚れて緑青のような色をしていたものが、限りなく本来の金属色(シルバー)に戻っていた。

 

特殊な化学薬品を使用すれば、元のきれいな色にまで戻るということを、恥ずかしながら知らなかった。

こんなことであれば、もっと早く修理に出すべきであった。

 

しかも、徐々に4つのロータリーの動きが緩慢になり、演奏中にロータリーの戻りが遅いばっかりに音が外れることも、実は自覚していた。

今回、そこも「可能な限りちょうせいしました」とのこと。これも、もっと早く持って来ていれば、音を外さずに済み、演奏会でみんなに迷惑をかけることも無かったのではないかと思わずにはおれない。

 

高校時代、確かに強豪校であり、楽器もいいものを持たせてもらっていた。しかし、Tubaという金管楽器ということもあり、メンテナンスについてはかなり無頓着であった。特にアレキサンダーというドイツの楽器で、ノーラッカーと言われる楽器表面にラッカーが塗られていないために、一般的な金管楽器と異なり、日頃から楽器を拭いたりすることも無かった。

 

このため、高校時代も、自分で楽器を買った後も、ほとんど楽器屋に立ち寄ることは無く、ほったらかし状態で過ごしてきた。

 

それでも楽器店では「長い間、きれいにされていますね」とのコメント。恥ずかしい限りである。

確かに、どうしても食事をしてそのまま楽器を吹いてしまうと、すぐに楽器の管内が汚れてしまう。このため、できる限り楽器を吹く前は食事をしないか、食事をするとしても「きつねうどん・そば」しか食べないことにしていた。そのお蔭で、管内はそれほどの激しい汚れにはなっていなかったのかもしれない。

 

アラフォーの頃から「もうそろそろ引退だな」と思いながらズルズルと楽器を吹き続け、とうとう本格的なメンテナンスまで出してしまった。

最近はずっと、楽器を担ぐたびに、背骨が歪み、満身創痍であるのだが、本当にいつまでこの楽器を続けるつもりなのか、正直、自分でもよく分からない…。