EBPH実践の重要性

先週末、東海大学医学部公衆衛生学教授の立道昌幸先生のご講演を拝聴させていただいた。

 

立道先生は、産業医科大学をご卒業後、東京都済生会中央病院等で臨床研修を積まれ、その後ソニー株式会社の専属産業医等、数々の企業の産業医としてもご活躍されてきている方です。

実は、私が東京都済生会中央病院で研修医だった頃は、まだ内視鏡検査を担当されていたとのことで、実際に何度かお世話になったことがあったと思う。

 

今回のご講演では、これからの時代、“産業医は予防医学の実践者”であると仰っていた。

今までの公衆衛生の歴史的な経緯を踏まえて、なぜ世の中が産業医に期待する様になってきたかについて、分かりやすく説明していただいた。

特に、多くの企業では間接部門の縮小・分社化が余儀なくされ、本物の人事マンが減少した。一方で、うつ病だけでなく、発達障害や人格障害といった、別の精神疾患を持つ社員の対応にも追われることも多くなり、必然的に多くの企業が産業医を頼らざるを得ない状況になってきている。

今までは法律に従って産業医活動を行ってきたが、今後は“予防医学の実践者”として、産業医がガン予防や遠隔診療の効果などについてデータをまとめ、公衆衛生的なエビデンス(EBPH)を構築し、それを学会等で発表し、これらを基に必要であれば国内の法律や制度を変えていくアプローチを行うことが必要だとお話しされていた。

 

ただ単に産業医業務をこなすだけでなく、“予防医学の実践者”としての自覚をもって、もっと広い視野で産業医活動を行っていくことが大切であることが、改めて認識できたことは、私にとっても非常に有意義であった。私自身も少しずつ学会発表等も行い、何かしら情報発信していける様に頑張っていきたいと考えている。