8月 2019

禁煙対策で有名な中村正和先生(公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター センター長)の講演を1年ぶりに聴かせていただいた。

 

昨年、実は私は「週末に小学校の校庭を借りて、学童野球などの練習や試合が行われているが、その監督やコーチが、校庭内でしかも小学生の目の前でタバコを吸ったりしていることが珍しくない。学校内での敷地内禁煙はどうなっているのか」と質問させていただいていた。その時に中村先生は「来年になれば法改正があり、原則敷地内禁煙となる。そして、東京都は全面禁煙の条例が出される」と仰っていた。

そして、この9月からいよいよ東京都内では全面禁煙となっていく。

 

今回のお話しを伺っていても感じたことであるのだが、日本禁煙学会は、法改正などへの地道な活動を本当にしっかりされてきた学会と言えるのではないだろうか。

法改正以外でも、禁煙外来の遠隔診療が可能となったり、全国の禁煙外来実施医療機関を禁煙学会のホームページ内で検索できたりと、「痒い所に手が届く」活動をきちんと行ってきておられる。

 

そして、禁煙についての医学的エビデンスについても数多く紹介いただいた。

禁煙すると体重が増えてしまう人を少なからず目にすることがあるが、糖尿病患者でもこの体重増加を嫌がる患者さんは多い。イギリスの臨床研究においても、確かに2型糖尿病患者でも禁煙後にHbA1c値が上昇することが報告されている。しかし、3年後には禁煙者と同レベルまでHbA1c値は改善するとのこと(Lycett D et al. Lancet Diabetes & Endcrinology; 2015(3)423-30)。一方で、禁煙後体重増加しても、糖尿病患者は約半分にまで心血管リスクが抑制できるということもFramingham offspring studyのデータから明らかとされている(Clair C, et al: JAMA 309(10)1014-21,2013)とのこと。

 

こういった数々のエビデンスを、医療者が患者さんに分かりやすく伝えることにより、より安心して禁煙に望めることになると思う。

 

また、遠隔診療での禁煙外来の成功率が高いことも、ご紹介されていた。私が顧問医をさせていただいているリンケージ社も禁煙成功率は9割台と極めて高い数字である。今後、遠隔診療はより盛んに取り入れられることになりそうだ。

 

さらに、懇親会でも直接お話しをさせていただいたのだが、中村先生自身、60歳を過ぎて今まで以上にテニスをする時間を増やされたとのこと。その言葉通り、体型も全く無駄な脂肪がなく、非常に若々しく、本当に素晴らしいなと感心した。やはり何歳になっても、活動的な方々は日頃の自己管理もご自身で本当にしっかりされているのだと改めて感じた。自分も、何とかきちんと自己管理していける様に頑張っていきたい。そして、オリンピックに向けて、さらに禁煙成功者を増やし、子供達も安心して暮らせる世の中にできるように、微力ながらもお手伝いしていきたいと思う。

先週末「1日で変わるコミュニケーション講座」という、チームビルディングのセミナーを行った。実はこのセミナー、サブタイトルが「現役の医師・パイロット・経営者が教える」としていた。

 

その名の通りで、実は今回、現役国際線パイロットの田中博さんと、ライフプラン株式会社代表取締役の本田祐介さんとの3人で、チームビルディングの1日研修セミナーを企画した。

初めての試みであったが、若手経営者の本田さんの様々な気配りがあり、運営面でテキパキと準備していただいたお蔭で、非常にスムーズにセミナーを開催することができた。

特にインターネット上への広告掲載や会場の手配など、本当にお世話になった。

 

セミナー自体でも先陣を切っていただき、参加者の方々のニーズを拾えるように、最初のセッションで、「あなたが改善したい点や、この講座を通じて習得したいことは?」といったことを、グループに分かれて模造紙に書いてもらっていた。

そうすることによって、最初に問題点が明確化され、これらの参加者の課題を解決していけるように、各セッションでも、できるだけ話題に挙げるようにした。

 

田中パイロットは教官も務めるベテランパイロットだが、非常に声が通って聴きやすい声で、客室乗務員などとのチーム連携の話などを絡めた、興味深いワンポイント・アドバイスをしていただき、普段我々は聞くことができない内容で、非常にインパクトがあり、面白く勉強させていただいた。

 

参加者も、大手企業の会社員から個人事業主、保健師さんと幅広く、他業種の方達と色々コミュニケーションの取り方についてディスカッションすることも、普段にはない刺激を受けていただけたのではないかと思う。

 

有り難いことに終了後のアンケート等の反響もよく、今後も第2弾・第3弾だけでなく、企業研修などについても検討していくことがあるかもしれない。

 

日本の中では人材が非常に重要視される時代になり、組織内でのコミュニケーション能力が、その組織の生産性向上に大きく影響を受けることも分かってきた(古井祐司, 他;日本労働研究雑誌, 695(6)49-61,2018)。今後はさらに、他業種がどういった取り組みをしているのかも知り、さらに他組織に負けないチームビルディングを構築していくことこそが、これからの時代をサバイバルしていく上では、必須になってきていると言えるのではないだろうか。そのためにも、今後もこういったセミナー・取り組みを続けていきたいと思う。

今週、仕事で内幸町駅近辺から浜松町駅付近まで移動する必要があった。

新橋駅まで歩いて1駅だけ電車に乗るか、近距離だがタクシーに乗るか、はたまた頑張って歩こうか、何とも中途半端な距離であった。

 

ただ、幸い雨は降っておらず、ランチをどこかに寄って食べて、そのまま歩いていこうと(運動不足にならないために仕方なく)思った。食べログで調べてみると、ちょうど通り道の数百メートル先に美味しそうなインドカレー屋さんがあった。

 

食べ終わって、「さあ、(あまり気は進まないが)歩こうか」と思って、歩き始めたところ、OLと思われる女性が運転している自転車とぶつかりそうになった。全然狭くない道なのに、どうして自転車とぶつかりそうになったかと、よく見たところ、僕が自転車専用道路にはみ出していた状態だったことが分かった。

 

「ああ、失礼してしまったな」と思ったと同時に、その女性が乗っていたのが、最近都内で見かけるようになった「バイクシェア・サービス」の赤い小さな自転車だった。「平日の昼間に若い女性がバイクシェア・サービスの自転車」に乗るものなのだと、ちょっと意外な感じがした。

そして、次の瞬間「おっと、俺も自転車で移動したらちょうどいい距離なのでは」とその時気がついた。

 

早速、スマホで検索してみると、意表をついて、振り返って50mほどのところに、シェアサービスの駐輪場があることが分かった。

どうやって、シェアすればよいか全く知らなかったのだが、ザックリ説明すると、

①メールアドレスを登録して、②クレジットカード決済の登録をすると借りれるようだ。

早速、登録手続きを始めてみて、5分程で晴れてお借りする準備が整った。

乗りたい自転車の番号を入力すると、「パスコード」が送られてきて、その4桁の数字を入力すると、解錠できた。

 

小さな車輪の自転車だが、小さいながらもカゴがあり、カバンを入れることができる。これだけでも、普段パソコンなどが入って重たいので、非常に助かる。そして、電動自転車なので、思った以上にスイスイ楽に進んで行ける。小さくて小回りも利くため、ふだん通らない裏道を通ることもでき、サイクリングとして、気分転換にも最適だった。

 

目的地付近のシェアサービスの駐輪場がどこか、探してみると、何と今から行こうと思っていたビルに、まさしく駐輪場があった。ただ、都内のビルは大きいので、実際に到着してみると、ビルのどこに駐輪場があるか全然案内も無く分からない。仕方なく、警備員の方に尋ねて場所を教えてもらった。

 

駐輪場に自転車を置いて、鍵をかけてエンターキーを押すと、「施鍵確認通知」「返却完了」のメールが送られてくる。これでレンタル終了となる。

 

結局、料金がいくらだったのかがよく分からなかったので、後で調べたところ、30分150円(税別)とのこと。これであれば、タクシーに乗るよりも断然お得だし、非常に健康的でもある。

駐輪場の場所さえ問題なければ、今後、天気の良い日は、また是非とも使わせてもらいたいと思う。

 

今後、都内だけでなく、あらゆる地域でどんどん普及していってもらえると、運動不足の人達のよい運動の機会が増えるかもしれない…。

順天堂大学のスポートロジー研究を行っている先生方と、河盛隆造先生、河盛段先生親子が司会・演者として、「グルカゴンの肝・筋・脂肪組織に及ぼす役割を考える」というタイトルの勉強会に参加させていただいた。

 

インスリンは膵β細胞で作られ分泌されるが、それと対をなしているのが膵α細胞から分泌されるグルカゴンである。大阪大学内分泌・代謝内科学講師の河盛段先生は、グルカゴン研究の第1人者だ。

 

段先生によると、最近、グルカゴンは、インスリンの対極として、ただ血糖を上げているのではなく、糖尿病患者では、血糖応答性のグルカゴン分泌が破綻しており、そのバランスの悪さによって、高血糖にも低血糖にも作用してしまっていることが示唆されているとのこと(Kawamori D et al. JDI;10(1): 26-9, 2019)。このため、1型糖尿病患者においては、血糖値と血中グルカゴン濃度には全く相関関係は認めなかったとのこと(Kawamori D et al. JDI;10(1): 62-6, 2019)。逆に相関関係を認めたのは、血中グルカゴン濃度と腎機能の指標であるBUNのみであったとのこと。このことから、グルカゴンとアミノ酸との関連も臨床においても、今後さらに検討していく必要があると仰っていた。

 

また、1型糖尿病患者において、無自覚低血糖を起こす人は、有意にグルカゴン値が低下していたとのこと(未発表データ)。また、2型糖尿病患者において、空腹時のグルカゴン値と血中CPR値は相関関係があったとのこと(Hosokawa T, et al; Heliyon:13;5(5):e017152019)。そういった意味で、やはりインスリンとグルカゴンは非常に協調性を持って体内で作用していることを改めて感じさせられた。

 

このパラクラインの関係とは別に、アミノ酸の観点から考えていくと、グルカゴンは糖新生の減量としてアミノ酸を消費することによりアミノ酸濃度を下げながら、同時に血糖値を上昇させる。逆に、インスリンは血糖値を下げると同時に、同化ホルモンとして血中のアミノ酸からタンパク質合成を促進し、アミノ酸濃度を下げる。このため、痩せ型の女性で、耐糖能異常がある人に、ただ単にアミノ酸補充を行っても、筋肉量が増えないとのこと。これは現在、スポートロジー研究で明らかになりつつあるそうだ。

これは、痩せ型の女性で耐糖能異常がある人は、インスリン分泌が低下しており、かつグルカゴン分泌もあまり高くないことが影響していることが考察されるとのこと。

 

閉経後の痩せ型糖尿病患者がサルコペニアやダイナぺニアになることが、近年問題となってきている。これを解消していくためには、ただ単にタンパク質の食事を増やすだけではなく、きちんとインスリン補充を行わないと、グルカゴン分泌も上がらない。そうすると、肝臓からの糖放出があまり行われず、筋肉からのアミノ酸を利用した糖新生をしっかり抑制することができなくなる。こういう状態が続くと、きちんと筋肉でアミノ酸をタンパク質に同化させていくことができず、結果的に筋肉量がいつまでたっても増えないということになってしまうことが示唆される。

 

こういうメカニズムをしっかり患者さんにも説明すれば、患者さんも納得してサルコペニア・ダイナぺニア対策も含めて、インスリン治療を行うということに繋がっていくのではないかと考えられる。

 

このため、隆造先生は、「測れるものは、全て正しく測ろう! 測れなければ、測れるようにする!」と仰られていた。上記のことも加味して、よりクオリティの高いスポートロジー研究を行っていこうと考えられているようだ。

 

こういった最先端の基礎研究・臨床研究を聴き、そしてディスカッションしている内容を聴かせていただけることは、本当に貴重である。こういった仲間から、また素晴らしい日本を代表するような研究成果が出てくることであろう。

私自身は、こういったエビデンスを引き続き学ばせてもらい、そして微力ながらも、これらの優秀な研究者の方々の思いを、働く人達に役立ててもらうために伝えていけるように、しっかり頑張っていきたいと思う。

今月、メンタルヘルス法務主任者・産業保健法務主任者資格講座 アドバンストコース2日目を受講してきた。その中で、伝塾塾長でもある、浜口伝博先生(ファームアンドブレイン有限会社 代表)のご講演を聴かせていただいた。タイトルは「産業医の仕事・産業保健スタッフの仕事」であった。特に「職場のメンタルヘルス対策」についても、熱くお話しをされていた。

 

今回も一番最初のスライドで、「働くことで不幸にしてはいけない!」と仰っていた。この言葉は、このブログでも昨年9月に引用させていただいていた。

 

今回、印象的であったのは、先日、WeWorkでのセミナーの時にも、ライフプラン(株)社長の本田祐介さんが引用されていた、Google社の研究で一躍有名になった「心理的安全性」について、コメントされていた。

そして、これからの日本では、なかなか「モノを売って稼げない時代」になってきている。このため、今の日本では「人が資本」であり、会社の中でこの大事な「ヒトを管理し、サポートしていくこと」が、産業医の業務としても重要だとお話しされていた。

また、これも本田さんが引用されていたが、カリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミアスキー教授や、慶応義塾大学の前野隆司教授の幸福論についても触れ、​「幸福感が高い社員の方が、生産性が31%上昇し、売り上げも37%上がり、創造性も3倍アップする」といったことを紹介された。

「幸福が成功を生む」。それを社内で体現するためには、普段から管理職が明るく振舞い、自らが部下に

積極的にあいさつし、声掛けすることが重要だと仰っていた。

 

翻って、日本では、世界の中で「従業員のエンゲージメント」がかなり低いことを憂慮されておられた(米国人事コンサルティング会社KeneXa High Performance Instituteの調査)。その解決方法として、「職場の幸福感」「人間関係の安心感」「チームへの所属感」や「自己決定の重要性」が大切ではないかと話しをされていた。

 

また、メンタル不調者が出た時には、職場で扱う問題は「事例性」であり、事実に則して話をするように心がけることが大切で、「疾病性」の話題については、最初はなるべく触れないようにすることが、重要なポイントであると仰っていた。

 

これからの時代、上司のコミュニケーション能力が極めて高く問われる時代になってきた。そして、相手の気持ちに共感し、承認し、思いさらに引き出していけるか否かが、その組織が発展していけるか、衰退していってしまうかを、大きく左右してしまうほど重要な「鍵」となってきている。

 

僕自身も、「働くことで不幸にしてはいけない!」ようにするために、具体的にどうしていけばよいかを、企業や医療機関で働く人達に、まずは分かりやすくセミナー等を通して認識してもらい、そしてそれを実践していってもらえるように、色々アイデアを出しながら頑張っていきたいと思う。

いよいよ夏の甲子園がはじまり、今年も連日熱戦が繰り広げられている。

そして、皆さんご存知の通り、高校球児の「投げすぎ」問題について、大船渡高校の佐々木朗希投手の地方大会決勝での登板回避問題で大きく話題になり、賛否両論の意見が沸き起こった。

 

テレビ等の報道を見ていると、当初は投げさせるべきだったのではという意見の方が多かった気がする。

その賛否両方の見解についても、皆さん様々な意見を聞かれたと思う。

 

僕自身は、このニュースを聞いた時に、大船渡高校の判断は、凄く冷静に当然の判断だなと感じた。

先日ある記事を読んだ時に、尤もだと思った。どこの記事だったか思い出せないのだが、そこには、

「なぜ投げさせなかったのだ」と言った意見を持った人の中で、もし佐々木投手などの将来有望な選手が、高校野球の試合によって肘・肩の負傷をしてしまっていたら、「なぜ投げさせたのだ」と言う発言に変わる人が、かなりの割り合いでいるのではないか。

 

実は、息子の高校球児の生活も7月に終わりを告げた。息子のチームも、この春甲子園出場校と8回表まで同点と善戦していたが、最後2年生エースが力尽き、8回裏に猛攻を受け、残念ながら、そこで最後の夏は終わってしまった。そのピッチャーも約2週間の間で4試合目だった。もう余力は残っていなかったと思う。

 

これが甲子園出場を目指すとなると、3週間で7~8試合ということもあり得る。高校最後の夏、自分達の人生をかけた試合を、一人のピッチャーで投げ抜くということの過酷さは、あまりにも過剰な負荷がかかってしまうのではないかと、ずっとこの10年間ほど子供達の試合や練習を見てきて感じた。

そして、私自身は、もっと深刻な状況なのは、高校生ではなく、小学生・中学生の野球環境だと感じている。

 

特に小学校のいわゆる少年野球のピッチャーの酷使は、想像を絶することが多かった。

イニング数は少ないとは言え、小学校5~6年生ともなると、強いチームだとかなり緊迫した白熱した試合になることが多い。そうすると球数も増え、かなり全力投球が余儀なくされる。実際には100球前後投げていることの方が多いと思う。

しかも、通常、週末しか試合ができないので、勝ち進んでいくと土・日曜日と連投することが多い。夏休みなどであれば、もっと過密スケージュールのことも珍しくない。

しかし、監督やコーチなどの大人達の中で、連投していることや球数についてほとんど関心がない人達が多いことに心底驚いた。むしろ、自分の権威を高めんとばかりに、勝ちにこだわり、連投であっても平気で無理な選手起用を要求する監督さんを少なからず目にしてきた。

 

もしかしたら、大谷やダルビッシュ級のピッチャーになるはずの選手も、この環境の中で何人もケガや肘・肩痛で戦線離脱してしまった可能性があるのではないだろうか。実際に、私の周りにも、野球の才能ある子供が、連投などによって肘・肩痛で投げると痛みが出て、どうしたらよいのかと、困っている親御さんも、正直何人もおられた。

 

今回は、整形外科の先生が「トミー・ジョン手術を施行した4割が高校生以下」という、カミングアウトを勇気を出して、メディアに発信していただいた。これからは、こういった専門家の先生方から、正しい情報発信や対応策について、もっとたくさん行っていってもらいたいと思うし、そうなっていくと思う。

 

確かに、僕も子供の頃から高校野球は大好きで、ずっとテレビで応援してきた一人である。

しかし、オリンピックもアマチュアスポーツからプロの選手が万全の状態で準備をして、真の世界一を競う大会に変化していったように、野球においても、高校野球をピークにさせるのではなく、プロ野球やメジャーリーグ、そして世界大会で日本代表として活躍してもらうことを、目標のピークに持って行く時代に変わってきたのではないかなと思う。

 

我々も、佐々木投手のメジャーリーグでの大活躍する姿や、日本代表を優勝へ導いてくれる姿を見れば、「あの時、甲子園に行くのを我慢してくれたことが報われた」と思えるようになるのではないだろうか。

そして、それを見ることができれば、大船渡高校で一緒に一生懸命に練習を共にしてきた野球部ナインも、本当に心からよかったなと思えるのではないかと思う。それくらい、素晴らしい選手であると一番間近で見てきた仲間であるのだから。

今月、「仕事×健康=『目指せ 全社員の生産性向上!!』」というテーマで、Basical Health産業医事務所を含め5社合同で、「WeWork Healthy」というサブタイトルもつけながら、WeWork Tokyo Square Gardenにてセミナーを開催させてもらった。

 

「健康と社員の生産性向上」という、一見、直接結びつかなそうなことであるかもしれないが、これらについて、産業医の立場から私がお話しさせていただき、「食事」についてはRed Yellow And Green(株)のサラドさん、運動については、(株)アスポさん、「禁煙」については(株)リンケージさん、「コーチング・コミュニケーション」についてはライフプラン(株)にお話しをしていただいた。

 

サラドさんは、名前の通りサラダを宅配してくれるベンチャー企業だ。社員食堂がない事業所でも、「会社の福利厚生費を活用して、月額固定制サービスで、色々なサラダをオフィスに届けてくれる」。福利厚生費で補助が出ているので、各社員はワンコインでしっかり栄養価が考えられたサラダを手軽に食べられるように、サラダのデリバリーサービスを行っている。導入実績として主なところではDeNA社やミクシィ社等があるそうで、目黒区大橋にお店も出しておられる。僕は、サバと塩麹のサラダがお気に入りだ。

 

(株)アスポさんはBtoB専門で、運動を通して企業向けウェルネスサポートに特化した会社だ。オフィスワーカーのワークコンディショニングを向上させることを目的とされている。今回も、セミナーの中盤に、リフレッシュタイムということで、5分程の肩こり・腰痛対策のオフィスデスク周りですぐできる運動を紹介していただき、参加者みんなでエクササイズを行った。僕も肩こりがひどいので、大変リフレッシュすることができた。マイクを持ちながら、淀みなく次々にエクササイズを紹介されるスキルの高さにいつも感心させられる。実は、日本IBM本社のスポーツジムの委託をお願いしていて、その時も大変お世話になっていた。

 

(株)リンケージさんは、様々な健康保険組合さんから委託を受け、オンラインでの禁煙治療プログラムをされている。導入健保数は67と多く、しかも(4回)治療終了率91.7%、禁煙達成率88.7%と驚異の数字をたたき出している。通常の禁煙外来実績は、5回治療終了率29.8% 禁煙成功率82.1%と言われている。これは、オンラインでの医師との面談に加えて、リンケージ社の保健師・管理栄養士といった医療専門職の女性陣が、熱心にメールや電話で対象者と細目に連絡を取るようにしていることが、大きな要因と考えられる。私は、昨年から顧問医をさせていただき、糖尿病重症化予防等の取り組みについても、毎月ディスカッションさせていただいている。

 

ライフプラン(株)の本田祐介社長とは、「チームビルディング」の研修会で一緒になった仲で、今月25日にも、現役国際線パイロットの田中博さんと3人で、「現役の医師・パイロット・経営者が教える『一生役に立つコミュニケーション講座』」https://www.facebook.com/events/632247287296709/ というセミナーも開催予定としている。今回は、チームマインドを整えるためには、心理的安全性や幸せ感の共有、強みと弱みの共有が大切であることなどを話していただいた。彼は、今年ハーバード大学で、「ライフビジョン」というテーマで講演をされたとのこと。シンプルに凄いことだと思う。

 

参加者の方々も、やはり自らの健康や健康経営、生産性向上といったことに関心が高い方が集まっておられた。是非今後も、こういった機会を増やしていき、多くの働く方々の健康や仕事のパフォーマンスを上げていける様なお手伝いをしていけたらなと思っている。

今週、伝塾メンバーの先生2名が、いよいよ来月に産業医専門医試験を受験するとのことで、その予行演習が行われた。

 

実は、産業医専門医試験は、通常の臨床系専門医試験と比べ、一風変わっていて、1泊2日で行われるそうだ。しかも、筆記試験の他に、個人面談、課題発表、グループ討議と3つの口頭試問を要求されている。これだけ口頭試問を行えば、コミュニケーションに大きな欠点を持ったドクターは、完全に炙り出されてしまうであろう。

やはり産業医は、企業の中で非医療者の方々と、日々きちんとコミュニケーションを取っていく必要があるため、これだけ厳格にチェック機構が働いているということであろうか。

 

そういった特殊な試験背景があるため、僕らもグループ討議に加わったり、課題評価のコメントをさせてもらったりして、お手伝いをさせてもらった。予行演習であるのに、すでにお二人の先生ともに、素晴らしいレベルでのプレゼンテーションであった。

 

口頭試問の中には、人事部長に対し7分でプレゼンテーションをして下さいといったお題が出てくるのだが、そこで、印象的かつ、勉強になったことは、とにかく「解決型のプレゼンテーション」を行っていくということであった。

ただ単に問題点を列挙していくだけでなく、それらを解決するためには如何にすればよいかを、きちんと論理的に話すことが重要なポイントであった。

そして、そういった前向きなプレゼンテーションを聞いていると、聞いている方も非常に気分的にハッピーな気持ちになれるし、一緒にやって行こうという気になっていくものだとも感じた。

 

そして、問題点を洗い出していく際に、クリアカットに分類し、他の人達に一目でわかるようにホワイトボードに表などを用いて書き出していくことも、大変印象的であった。

例えばグループ討議で、ミスが多く、周りとあまりコミュニケーションを普段取らない若手社員の問題点を、「事例性」と「疾病性」に分類。こうして問題点を明確にし、さらに、面談すべき人物を「本人」「上司」「人事部」に分けて、何を聞く必要があるのかを明らかにしていった。そして、問題点が浮き彫りになったところで、どの様な解決手段を取る必要があるかを、今回は15分間の短い時間にも関わらず、模造紙にこれらを要点にまとめて、5分でプレゼンされていた。

 

見ている方は、「ああ、そういうものか」と思ってしまうが、これを実際に自分で行うとなると、「司会進行役」も「書記」も「プレゼンター」も本当に難しい役回りだと思う。

 

日本には、産業医専門医は未だ500名程度しかおられないとのこと。有機溶剤のことや労働安全衛生法のことなど、覚えなくてはならないことも、臨床医が思っている以上に遥かに多い。そして、これらのプレゼンテーション能力も問われる。この予行演習を直に体験させてもらって、こういった専門医試験をクリアされた先生方がおられる職場は、本当に素晴らしい職場になっていくのだろうなと、改めて感じた。