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今年もインフルエンザ予防接種のシーズンになってきた。先日のさんぽ会では、HIVの話しに加えて、職域におけるインフルエンザワクチン接種の実情についても話しがあった。内藤先生もお話しさせていたが、医療機関では毎年、この時期になるとインフルエンザワクチンを全スタッフが接種する。一方で、企業では、なかなか接種されない方も多く、多くの企業の産業保健スタッフは、これらの対策に悩まされている。

 

これがHPVワクチンとなると、さらに話しがデリケートになり、話題に挙げることでさえタブーになっているようなところがある。

ただ、多くの医療者は自分の娘にはHPVワクチンを接種させようと考えている様子は伺える。

先日、糖尿病外来でお世話になっている、あそうクリニック(静岡県・沼津市)の麻生先生と、お互い娘を持つ親として、そういった話題になり、「10万個の子宮;あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか」というタイトルの本を紹介された。

 

この本の著者は一橋大学社会学部卒業後に北海道大学医学部も卒業したドクターで、WHO西太平洋地域事務局の新興・再興感染症チーム等を経て、現役医師として活躍されているとのこと。また、2017年に子宮頸がんワクチン問題に関する一連の著作活動により、科学雑誌「Nature」等が共催するジョン・マドックス賞を日本人として初めて受賞されたそうだ。

NHKやTBSのニュース番組等で、HANSについての報道については知っていたが、このような賞を受賞されたドクターが日本にいたことは、恥ずかしながら知らなかった。著書の中でも、想像以上に各社マスコミでは取り上げられなかった旨の内容も書かれていた。

HPVワクチン接種者が激減したことは知っていたが、どういった経緯で、現状どうなってきているのかなど、詳細についてはこの本で初めて知ることが多かった。

 

本院勤務時代に、私のネーベンの1人にママさんドクターがいて、彼女は子宮頸がんの治療を行っていた。その女性医師から話しを聞いていて、子宮頸がんの治療の治療をしながら子育てと仕事をしていくということは、本当に大変なのだなということを、医療的知識以外にも実生活も踏まえた情報として、図らずも知ることになった。

日本において、HPVワクチン接種割り合いが70%から1%まで激減したということが、世界中でも話題になったとのこと。本文では、こういった一連の経緯やその根拠の妥当性の是非について等が紹介されている。どういった判断をしていくかは、各個人に委ねられることになるであろう。

ただ、こういった医学的な情報を踏まえて、現状として、私の娘の周りでは少しずつワクチン接種する生徒も増えてきて、おそらく40%程度がすでにワクチン接種を行っているようになってきているようだ。

日本ではそもそもワクチンにおいて、負のイメージが少なからずある状況が続いている。そもそもワクチン接種とは予防医療であり、治療のようにどうしても必須のものではないという概念を抱く一般人の方々も多いのかもしれない。ただ、我々医療者は、これからも医学的エビデンスに基づいて、ワクチン接種を勧めていくことをきちんと判断していく必要があると思う。

東日本を中心に、台風19号が日本中に猛威を振るったが、帰省のこともあり、京都での日本糖尿病医療学学会に今年も参加した。東海道新幹線の終日運休もあり、京都に行くまでの交通機関も大混乱・大混雑であった。中には残念ながら、来られなくなった先生方も少なからずおられたようだ。

 

今回も糖尿病患者さん達の支援を行っていくにあたり、どのように向き合っていけばよいのか、様々な症例やセミナーから、多くを学ぶことができた。

 

何と言ってもこの学会の醍醐味は、河合隼雄先生をルーツとする皆藤章先生をはじめとする京都大学教育学研究科の臨床心理学の先生方が、レクチャーしてくださることである。

普段なかなか、実臨床の症例を基に、臨床心理学の先生からコメントをいただけることはないので、本当にいつも非常に気付きを与えていただくことも多々ある。

 

今回も森崎志麻先生(まつしま診療所)が、「臨床心理からみる治療的関係」というタイトルで糖尿病心理基礎講座において話しをされていたのだが、「医療者が患者に対し、「労い・配慮・感謝」の念を持って、積極的に共感・患者理解するようにして、「対決よりも同じ方向に向く姿勢」を保つことが大切」とお話しされていた。

こういったわかりやすい言葉で「医療者と患者との理想像」を言語化してサマライズしてもらえると、我々としては、どういったことを常日頃から念頭にイメージしておけばよいのか、非常分かりやすく整理することができる。

 

そして、糖尿病医療学学会が発足した頃から、毎年発表・報告されている症例もある。詳細は記すことができないが、こんなに日頃から糖尿病チーム一丸となって頑張られている医療機関があるのだと、毎年背筋が伸びる思いになる。今年も大変示唆に富む内容であった。そして、演者の先生と少し直接お話しすることもできて、非常に参考になった。その中で、そういった症例の場合、当然患者さん自身も大変苦しんでおられるのであり、そういった苦労されている患者さん同士が病棟内で出会った時には、お互い励まし合われているということを伺い、そういうものなのだと非常に感銘を受けた。

 

この学会を研究会時代から立ち上げてこられた奈良医大の石井均先生は、今回で学会長を退任されるとのこと。私も石井先生に直接お声をかけていただいて、第1回から参加させていただいていただけに、非常に残念な思いである。ただ、それと同時に「本当に有り難うございました。お疲れ様でした。」という思いももちろん強い。

そして、皆藤先生がご講演で、「臨床心理は、人の一生を視野に入れて、実践してきただろうか」とお話しされていた。このことをきちんと自分の胸に手を当てて、「医療学」を含めた、糖尿病の行動療法について、今後は我々の世代が今まで以上に頑張って盛り上げていかなくてはと思う。

今月のさんぽ会では、「HIV感染症の今」というタイトルで、順天堂大学総合診療科教授の内藤俊夫先生のご講演を聴かせていただいた。

内藤先生は、僕が研修医時代に総合診療科をラウンドさせていただいた時のグループ長で、当時お世話になっていた先生の一人である。その頃の総合診療科の医局員メンバーは内藤先生をはじめ、みんなかなり若く、非常に和気あいあいとした楽しい雰囲気だった。そして、総合診療科特有の鑑別疾患について、本当に内藤先生は何でもよく知っておられ、みんなで他愛無いバカ話をしながらも、凄い人だなと思っていた。

現在は、HIV/AIDSのスペシャリストとして活躍されておられ、普段なかなかこの分野の講演会を聴く機会がないため、大変貴重な機会であった。

 

実際に講演内容を聴くにつれて、自分自身の知識不足を痛感した。

HIV感染とAIDSの違い、その予後の違い、注意すべき感染経路、そして、HIV感染者が出産する場合、どの様にすれば、子供が感染せずに済むのかといった細かな点について、非常に分かりやすく教えていただいた。このため、大変勉強になった。

 

また、最近はダイバーシティやLGBTについて関心が高まっている。しかし、HIV感染とどの様に関連しているのかいないのか等、知らないことも多々あった。

やはり、男性間での感染が多いのは間違いないようで、最近はMSM(Men who have sex with men)と呼ばれているとのこと。国立感染症研究所のHPでは、厚生労働省がMSMへのエイズ対策を促進するために、CBO(Community Based Organization)の啓発活動拠点として「コミュニティセンター」を、全国6か所で設置していることを紹介している。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2299-iasr/related-articles/related-articles-415/4969-dj4154.html

 

そして、かつてはHIV治療と言えば、カクテル療法等と言われ、何種類もの薬を何通りもの服用の仕方で内服しなくてはならず、非常に日々の内服管理をするだけでも難しいという印象であった。しかし、今回、その点について質問してみたところ、現在は1日1錠内服だけでよいとのこと。そして、早期発見・早期治療を行えば、予後も非常によいとのことであった。

 

ただ一方で、極めてデリケートな問題も、まだまだ残っていることも事実である。特に、家族に感染していることを正直に話しするべきか否か、会社や産業医に話しはした方がよいのか…。実際には、家族にさえなかなか話しすることができないという深刻な状況なことも少なくないとのこと。

また、抗HIV薬は1錠6千円程だそうで、これを数十年飲み続けると、診察料や検査料を含めると1億円以上の医療費がかかってしまうとのこと。

そういった意味でも、新たな感染者を出さないことが極めて大切であることもお話しされていた。

 

また、これらの患者さんの最近の問題点としては、生活習慣病の合併が多いそうだ(J Infect Chemother;25(2)89-95,2019 )。こういったことを知る上でも、どんどん糖尿病医としても、最新情報をキャッチアップしていく必要があることを、改めて感じさせられた。

今月、産業保健フォーラム IN TOKYO 2019に行って来た。そこで、東京大学附属病院放射線治療部門長の中川恵一先生のお話を聴くことができた。中川先生は、日本経済新聞の夕刊に6年間も「がん社会を診る」というコラムを書いておられており、私も日頃から大変参考にさせていただいている。

 

このコラムはもちろん一般の方向けであるのだが、平易な言葉を使いながらも、なおかつ具体的な数字を示されたりして、ヘルスリテラシーが高まるように上手に書かれている。今回のご講演でも、非常に多くのスライドを示していただきながら、一般の方々がしっかり理解できるような内容で、かつ明日から役に立つ内容をお話しされていた。

 

まず印象的だったのは、日本人の生涯がん罹患率は男性62%、女性47%ということを強く強調されていた。「つまり、男性はおよそ3人に2人、女性は約半数の方が生涯に何かしらのがんになるのですよ」と仰っていた。

しかし、幸いなことに、最近はがんの治癒率が年々上がってきていることから、早期発見して、正しい治療を受けることが重要である。このため、「がんになる前に、がんを知ることが大切‼」ということも強調されていた。

一方で、「がん治療は、敗者復活戦のない一発勝負」でもある。このため、日頃からがんについてのリテラシーを上げておくが本当に大切なのだと仰っていた。ただ残念ながら、国別のヘルスリテラシーの平均点を見ると日本の点数はかなり低く、こういったことが欧米と異なり、未だにがん死亡患者数が戦後ずっと増加し続けている要因にもなっているのではないかともお話しされていた。このため、子供たちにがんについての正しい知識を持ってもらうことが大切であると話され、自身でもボランティア活動として、小学校などでがんについての授業を行っておられるとのこと。

 

また、もちろん、働く人たちへのがん教育も大切で、こういった啓蒙活動を様々な企業で行っていく重要性もお話しされていた。

2016年には、がん対策基本法が一部改正され、https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168737.pdf、これにより、事業主は、疾患を抱える従業員に対し、治療と仕事を両立するために「柔軟な勤務形態」、「休暇・休業制度等」、「制度を利用しやすい職場風土の醸成」、「情報提供」、「早期発見・重症化予防」などの支援を行うことに努めることが責務であることが期待されるようになった。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/teichakushien/patient.html

 

時代の流れとともに、がんも変遷してきており、また65歳までのがん罹患率は15%とのこと。こういった情報を、正しく働く人たちに伝え、どういった対策や対応をすればよいのか、臨床医と産業医が連携して、両立支援を支えていけたらと思うし、我々もなお一層努力する必要があると考える。

 

そして、この産業保健フォーラム IN TOKYO 2019では、さんぽ会の幹事でいつも会計などのきめ細かな業務を卒なくこなしてくれている、株式会社リコー保健師の山下奈々さんも講演されていた。やはり、健診事後対応等においても、産業医と人事担当者だけでは、きめ細かな対応が取れないことも多く、こういった保健師さん達が活躍してくれると、企業内で上手にコーディネートを行ってくれるため、本当に色々な疾患において両立支援策を講じていくことができると感じる。「発表お疲れ様でした‼」。

京都で、中学校の同窓会が会った。卒業して以来、初めてだったので、本当に30年近く会っていない同級生にも会えた。

 

会場は、四条大橋の畔にある東華菜館。橋の反対側の畔には南座がある、まさに京都の繁華街の中心地だ。実は、ここのオーナーが同級生の于君だ。是非、東華菜館のホームページを見ていただければと思うのだが、非常に歴史のある貴重な文化遺産的建造物である。大正15年に建てられたスパニッシュ・バロックの洋館なのだそうだ(ホームページより)。また、店内でお客を案内してくれるエレベーターも、実は現在も活躍している日本最古のエレベーターだそうで、本当にレトロな雰囲気を演出してくれている。

 

料理も北京料理なので、特に辛いわけではなく、「塩味ベースの比較的あっさりした高尚な味(ホームページより)」が楽しめる。是非、京都に来ればもちろん京料理を味わってほしいが、時にはこの鴨川畔の歴史ある建物と調度品に囲まれた中で、この美味しい中華料理も味わっていただきたい。間違いなく京都でお勧めの1軒である。

 

 

我々は普通の公立中学校だったので、ただただ同じ地域に住んでいただけに過ぎない。于君とは、実際には小学校から一緒だった。今回久しぶりにゆっくり話をしていたところ、日本育ちなので、むしろ中国語が苦手なので、今頑張って中国語も勉強しているとのこと。

昔は、学年の中でもあどけなさが残っていた印象だったが、今は非常に凛々しく、さすが京都・四条で長年一流の商売を続けているという貫録を非常に感じた。

 

他の仲間については、ここでは詳しく書くことはできないが、ごく普通の公立中学校だったので、地元の本当に気楽に付き合えるよき仲間達だ。お互い、突っ込まれて痛いことも多々あれば、良い面もたくさん知っている。

 

やはり、時にはこうやって思う存分懐かしい話しをして、お互い元気であることを確認するということは、非常によいことだなと改めて感じた。そして、本当に思った以上にリフレッシュすることができた。

また、こういう機会があると、実家に帰ることもできる。

東京で仕事をしていると、どうしても気が張った状況が続くこともあるが、たまには生まれ育った京都の懐かしい景色を見て、懐かしい仲間と会う。そういうことがこれからも続けていければよいなと思う。

久しぶりに、ちょっとプロ野球をテレビの生中継で見たくなった。

今日勝てばクライマックスシリーズ進出が決まる試合。まさかまさか、あの強敵広島カープより上の順位に行ける可能性があるとは、ちょっと誰も予想できなかったのではないだろうか。

しかも、勝てばシーズン勝ち越しとなる。今年もそんなに強かった印象はなかったし、他球団に比べ今の野球界を代表するような選手もなかなかおらず、寂しい感じのあのタイガースが…。

 

お気付きの通り、現在では地上波放送ではプロ野球中継を見ることは皆目無くなってしまった感がある。昔は否が応でもゴールデンタイムにはプロ野球中継がつきものであったが…。

こういった時に役立つのが、実はNHKのBS放送。チャンネルを変えてみると、見事に中継を行ってくれていた。以前から、NHKのBS放送はタイガースファンにとっては有難い存在である。

 

弱小球団でも、勢いがある時はそれなりに強いもので、大山のタイムリーの後は、安定した試合運びで、あまり負ける雰囲気がないまま、藤川球児がきちんと締めてくれた。往年のあの剛速球を知る人間からすると、よくあの球速で抑えられるものだなという思いと、おじさんになっても頑張っている姿に感銘を受ける思いとが交錯する。よくカンバックしてきてくれたものだ。

 

ただ、2回目の暴投での得点が入った時に、嫁さんが思わず「阪神はあのピッチャーにお金を渡しているの?」と、同じ関西の電力会社のようなフリをしてきたので、ちょっと背筋が凍った(苦笑)。

 

また、年間最優秀防御率にも助けられた。中日先発の大野雄大投手は、この試合も本当に素晴らしいピッチングだった。3回1/3イニングで交代していなかったら、あのまま2試合連続のノーヒットノーランを達成していたかもしれない。 そう言われれば、この試合に3回1/3イニングで交代してもらうように、敢えて阪神は、前の試合にノーヒットノーランで完封負けしていたのだろうか…(またまた苦笑)。

 

そして、鳥谷敬選手のショートストップでの姿を見られたのも、星野阪神時代によく試合を見に行っていた子供達にとって、何となく感慨深かったようだ。ただ、代打の打席は全球ストレートだったと思う。先日の引退試合で、巨人軍の阿部慎之助選手は、全球ストレートだったのをしっかり逃さず、ライトスタンド中段に放り込む鮮やかなホームランを放った。そこに、やはりチームのレベルの差を感じずにはいられなかった。

 

ポストシーズンは、その時期に勢いのあるチームが強いことがある。以前、タイガースも、日本シリーズでシーズン3位のチームにコテンパンにやられた苦い思い出もある。今回は逆に、珍しくこの時期に調子が上がってきている。そして、何も失うものはない状況で挑める。たまには、ポストシーズンに面白いことをやってもらえないかという思いは、現実となってくれるのか、無残な夢と散ってしまうのか。

何となく、オリンピックやラグビーにどんどん目線が奪われるようになってきたこのご時世。少しは関西のプロ野球にも活気が戻って来てもらえるとよいなと思う。

2015年12月に初版された「スポーツの経済学 -2020年に向けてのビジネス戦略を考える-」(小林至;PHP研究所)を読んでみた。

 

著書の小林至という名前とスポーツを絡めると、ピンと来た方がおられたら、かなりのプロ野球通ではないだろうか。そう、この方は東京大学卒で千葉ロッテマリーンズに1992年にドラフト8位で入団した、あの小林至氏である。残念ながらプロ2年間で1軍登板はなく引退されたようだが、その後米国コロンビア大学経営大学院を修了しMBAを取得。江戸川大学教授、福岡ソフトバンクホークス取締役やスポーツ庁幹事をされたりと、幅広く日本のスポーツ経営学者として活躍されている。

実は、お互いの子供が高校野球部の先輩後輩だったと言うこともあって、興味深くこの本を読ませてもらった。

 

あまり、この分野の本を読んだことはなかったので、正直理解できるかどうか不安であった。しかし予想に反して、非常に分かりやすい文章で書かれてあり、スラスラと読み進められた。しかも、スポーツの経済的役割について、これまでのオリンピックやプロ野球、北米4大プロスポーツ、FIFAといった、我々に馴染みのあるスポーツイベントを例に挙げて、かつ具体的な数字で提示されていたため、大変理解しやすかった。

 

日本のプロ野球(NPB)は、なかなか黒字にすることが難しいと言われている。近年では地上波テレビでプロ野球の試合をリアルタイムで見ることは皆目無くなったと言っていいほどになってしまっている。ところが、驚いたことにアメリカンフットボール(NFL)やイングランド・プレミアリーグなどのテレビ放映権料などは、以前に比べて6~12倍も上昇しているとのこと。

この、欧米に比べて日本がスポーツを経済活動として上手に捉えられなかったことが、日本のスポーツの国際化を遅らせてしまった大きな要因の一つかもしれない。

 

しかし、こういった客観的データに基づいて、日本でもJリーグの盛り上がりやバスケットボールのプロ化(JBA)、そして現在行われているラグビーワールドカップ2019の大成功といった、成功事例を次々に排出するようになってきているようだ。プロ野球でもパリーグの盛り上がりは、30年前とは雲泥の差がある。こういったスポーツの経済的役割が高まるのを目の当たりにすると、日本の様々なスポーツが世界で通用するようになってきていると言えるのではないだろうか。

スポーツの分野においても、経済学者などと上手く「産学連携」を行って、しかも国・行政が後押ししてくれることによって、本当に日本選手のレベルが上がり、応援する我々の盛り上がりも非常に高くなる。

 

そしていよいよ、来年は東京オリンピック・パラリンピックの開催へと繋がっていく。

是非、野球・サッカー、そしてその他の様々な日本でのスポーツが、大切なコンテンツとしてグローバルにさらに広がって行けば、日本の経済としても、子供たちを含めた若い人達が育っていく環境としても、非常に好循環な環境を作り上げていくことができるのではないだろうか。

 

CSII、CGM、SAP、FGMと書いて、ピンと来る人と、来ない人と二極化してしまうのではないかと思う。

 

それぞれ、CSII(Continuous Subcutaneous Insulin Infusion:インスリンポンプ療法)、CGM(continuous glucose monitoring:持続グルコースモニタリング)、SAP(sensor augmented pump:パーソナルCGM機能を搭載したインスリンポンプ療法)、FGM(flush glucose monitoring:皮下の間質グルコース値を持続的に14日間測定できるセンサーを上腕に留置し、ICカードのように、センサーにリーダーをかざすことでその値を確認できる医療機器)の略で、いずれもインスリン治療・血糖測定に関する用語である。

 

なかなか知らない方々には、とっつきづらいと思うが、はやりこれらの機器が発達・改良されていくことで、1型糖尿病患者さんの血糖管理やQOLは徐々に改善されてきていると言えるのではないだろうか。

 

先日、これらの機器を早くから積極的に取り入れながら1型糖尿病患者さんの診療を数多く診ておられる、浜松医科大学第二内科 内分泌代謝科助教の釣谷大輔先生のご講演を聴かせていただいた。

 

同じ糖尿病でも、1型糖尿病は罹患歴の長い患者ほど非常に血糖コントロールが難しくなってくる方が多い。それは、基本的には罹患歴が長ければ長いほどインスリンを作っている膵β細胞の細胞数が少なくなってしまっていくからと考えられる。

普段我々は全く意識していないが、この膵β細胞から分泌されるインスリンは、極めて絶妙に分泌が調整されており、常に血糖値が100mg/dl前後で維持されるように保たれている。

 

これが1型糖尿病患者さんの場合、自らインスリン投与量を考えながら皮下注射していく必要がある。この調節は非常に難しく、もちろんその日の食事内容や運動量によっても大きく影響される。

このため、常に血糖値がいくつになっているか、なるべく情報量が多い方が、インスリン量もそれに応じて調整できる。ただ、そのためには頻回に針を刺して血糖測定をしなくてはならない。これはやはり、かなりストレスフルな作業となる。CGMは皮下に専用の細い管を持続的に入れておくため、皮下組織液のグルコース濃度を5分おきに計測できる。

そしてCSIIは、皮下にインスリン持続注入用の細い管を挿入し、継続してインスリンを皮下注入することができる。これにより、1日4回注射よりもさらに細やかにインスリン投与量が調整できる。これら2つの機器が合わさったのがSAPで、次第にこの分野の機器も高度化してきている。

 

実際に、これらがどの程度1型糖尿病患者さん達に有効かについて、釣谷先生は長年臨床研究を行われてきた。これは、釣谷先生の外来では、1型糖尿病患者さん達を手厚くフォローをされており、そのおかげでかなりの割合の1型糖尿病患者さん達がこれらのSAPやFGMといった機器を使いこなし、自ら血糖(皮下間質グルコース)値を頻回に確認しながら、インスリン投与量を調節し、より安定した血糖管理を行われている。我々も以前からこれらのデータを参考に、1型糖尿病患者さんへの外来指導などで活用させていただいている。

 

また、今回は静岡県立総合病院副院長の先生もお越しいただき、静岡県内の中・西・東部地区の主要な糖尿病専門医の先生方が多数集まった。

このように、専門医同志の横の連携が保たれていることは、患者さんにとっても非常に安心な環境といえるのではないだろうか。

 

私自身も、1型糖尿病の方の血糖コントロールの難しさに応じて、これらの機器を紹介して、できる限り生活の質(QOL)が低下しないようにサポートしていければと思っている。

 

台風15号が去り、2週間近くになろうとしている。にもかかわらず、未だに停電や断水で困っておられる方々がおられるとのこと。その苦労は、とても我々には想像できないレベルになっていると思う。

本当に、1日、1秒でも早い復旧を願うばかりである。

 

千葉からさほど離れていない都内で仕事をしていると、正直、台風通過後しばらくしてからは、もう何事もなかったように生活や仕事は営まれている。しかし、ほんの何十km先では、未だに停電が続いている。このギャップは(あらゆる災害において)無常なほどである。

 

停電といえば、我々一般人としては、東日本大震災の時の計画停電を思い出す人もおられるかもしれない。私の家族も、実際に2度ほど経験したが、その何時間の間だけでも、相当にストレスフルであった。

本当に当たり前にしていることが、当たり前でなくなる時に、これほど人は苦痛を感じるのかと、自分ながらに驚いた。

電気がつかない、冷蔵庫が使えない、インターホンが鳴らない…。これにより、対応しなくてはならないこと、想定しなくてはならないことが、予想以上に自分達に襲い掛かってくる。

普段の当たり前の生活が、どれ程有り難いものなのか、本当に実感させられた。

 

電気の有り難味は、僕自身、小中学生時代のボーイスカウトのキャンプでも、痛感させられていた。

長期休みの度に、団主催のキャンプがあったのだが、中でも夏休みの5泊6日のキャンプは、絶望的に過酷なキャンプであった。

特に、下の学年当時で行ったキャンプは、正直地獄を見た思いであった。

通常の現代生活からの完全断絶。昭和の時代であったので、もちろんスマホもインターネットもなかった。しかも、うちの団は極めて厳しく、ストイックであることが京都市内でも有名で、お菓子を持っていくことも全く許されず、毎日本部から配給された食材のみで食事を組み立てていくしかなかった。

しかも、火焚きについても固形燃料系の道具は全て使用禁止で持参できず、「立ちかまど」を縛材(木材)と荒縄で組み立てて、薪を集めて火焚きをしなくてはならなかった。

当時の班のリーダーがあまり技能的に優れた人ではなかったので、キャンプ中に「立ちかまど」が傾いてしまい、途中から上手く火が焚けなくなってしまった。

この時、普段からベーコンを生で食しているという、強者の先輩がおり、それじゃ生で食べるかと言ったことになり、僕と同期の2人は、数時間後に漏れなく恐ろしい腹痛で、地元の病院の救急外来にお世話になってしまった。

 

また、上手く食品ロスを出さないようにすることができず、そのごみ袋をリーダー達に見つけられてしまい、下っ端の2人で、この恐ろしい量の生ごみを自宅まで持ち帰らざるを得なかった。

 

こう書くと、とても今の時代では考えられないことだらけであるが、本当にこの悪夢のようなキャンプから帰ってきた後、家でクーラーの部屋で先輩に怒鳴られることなく、やっとホッとすることができたことの記憶は、未だに忘れられない。ただ一方で、キャンプ中、本当に多くのことが技能不足で上手くいかなかったことから、この技能がないということの恐ろしさと不快さをまざまざと感じ、それは帰宅後も心の奥底にネットリと泥のように残っていて、何日経ってもなかなか拭えなかったことも印象的であった。今から思い返すと、その10代前半の子供としては過酷な大失敗の経験が、後に同期2人でともに「菊章」獲得までスキルアップしていった原動力になっていたのかもしれない。

この、当時の5泊6日のキャンプは、思春期間もない少年にとっては、非常に途方もなく長く感じた。そして強烈なホームシックをずっと感じていた。

 

翻って、現在も停電されている住宅の方々は、多くの場合、我が家が損傷されている方もおられると思う。そういう方々は、いつ落ち着いてエアコンの効いたところで、ゆっくりお風呂にも入って、ホッとすることができるのであろうか。大きな心のキズはいつになったら癒されていくのであろうか。

 

まずは1秒でも早く停電も断水も解消され、しっかりと自宅の復旧、町の復興に向かうことができるように、心から祈るばかりである。

先日、順天堂時代に大変お世話になった弘世貴久先生のご講演を久々に聴ける機会があった。

しかも、テーマは「グリニド薬」。僕らにとっては、非常に思い入れのある薬剤であり、これからの薬剤であるとも考えている。

 

弘世先生は現在、東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野の教授をされている。前職は、順天堂大学糖尿病・内科の助教授で、医局長もされておられ、その頃は本当に様々な点において大変お世話になっていた。

そして、順天堂時代には、数々の臨床論文を大学院生に書き上げさせ、「順天堂糖尿病学」と巷で言われるようにもなった、糖尿病臨床の礎を作られた立役者の一人である。

 

「グリニド薬」は糖尿病薬市場では、長年かなり隅に追いやられているような状態の薬である。しかし、この薬は「糖尿病内科医の働き方改革」を行う上では、無くてはならない薬剤だと私は考えている。

 

それは、かつて弘世先生の指導の下、我々が行ってきた臨床研究を基に、「夜間低血糖を起こさない治療臨床現場にて徹底したことにある。

 

「グリニド薬」は、インスリン分泌促進薬であるが、SU薬と異なり、夜間低血糖を起こしにくい。このため、地域の開業医の先生方に、患者さんを逆紹介する時も非常にスムースで、その後も低血糖症で救急搬送などのトラブルが非常に少なくて済む。

しかも、食後高血糖を是正してくれるため、超速攻型インスリン注射からの離脱時に、非常に有用である。

 

これにDPP-Ⅳ阻害薬やα‐グルコシダーゼ阻害薬を併用することで、さらに食後高血糖を抑えることができ、さらに超速攻型インスリン注射の離脱成功率は上昇する。

 

この「グリニド薬」とDPP-Ⅳ阻害薬が食後高血糖の抑制に有効であることを臨床研究で発表したのが、弘世先生を中心とした論文達である(Kudo-Fujimaki K, Hirose T, Sato F,et al; J Diabetes Investig. 2014 Jul;5(4):400-9., TanimotoM et al.; J Diabetes Investig. 2015 Sep;6(5):560-6.)。僕もまだ本院で仕事をしていた頃で、その臨床研究に僕の患者さんにもどんどん参加していただいていた。

 

順天堂大学静岡病院では、医局員4人で、患者さんが夜間低血糖を起こさなくてよいように、徹底的に治療薬の変更を行った。この結果、我々が診療していた患者さんの中で、2型糖尿病患者さんの年間低血糖搬送は、4件まで減少した(片平雄大, 佐藤文彦 他、日本糖尿病学会中部地方会(静岡) 2015)。

 

この様に、2型糖尿病患者さんの治療法も大きく変革し、しかも2型糖尿病患者さんのQOLを上げる治療が可能となってきた。そして今後、女性医師が増える等、今まで以上に医療現場においても「働き方改革」が強く求められる時代になってきている。それを可能にするために、「グリニド薬」は「糖尿病医療における働き方改革の鍵」となる薬剤であると考えられる。

 

久しぶりに弘世先生ともお会いでき、昔話にも花が咲き、楽しい時間を過ごすこともできた。本当に有り難いことである。