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世の中に、スターバックスに関する本は数多とあると思うが、今回、「スターバックスはなぜ、値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(John Moore著、花塚恵 訳:Discover21;2014)、「感動経験でお客様の心をギュッとつかむ!スターバックスの教え」(目黒勝道 著:朝日新聞出版;2014)、「スターバックス流 最高の育て方」(毛利英昭 著:総合法令出版;2019)、の3冊読んでみた。正直、どれを選べばよいものなのか判別が自分にはよくできなかったので、とりあえず手当たり次第に選んで買ったのがこれらの本であった。

なぜ、スタバの本だったかと言うと、残念ながら先月限りでスターバックスのある店舗での産業医業務が終了した。産業医開始後、スタバのことについて知りたいなと思い、結果3冊読んだのだが、改めて感じたことをまとめてみたいと思う。

 

いずれの本も内容は似通っているところが多い。やはり、スターバックスの特徴は、ミッションステートメントとして、理念や価値観を最上位に掲げ、次に経営戦略や組織目標を定め、それを実現するための短期的な目標やアクションプランへと展開するといった、体系的な組織全体のマネジメントを行っていくという、方針が非常に明確になっているとことであろう。BHAG(Big Hairy Audacious Goals)「心に活力と栄養を与えるブランドとして、世界で最も知られる、尊敬される、朽ち果てることの無い偉大な企業になること」というミッションステートメントの概念を、パートナーと呼ばれている社員一人一人がしっかりと認識し、意識できるように常日頃から教育・研修を行っている。

 

そして、理想的なコミュニケーションを求めて、パートナーが身につけるべき3つのスキルを「スタースキル」と呼んで分かりやすく明示している。

➀自信を保ち、さらに高めていく

②相手の話しを真剣に聞き、理解する努力を怠らない

③困った時は助けを求める

一見、平凡なように思えるが、やはりよく考えが練られていると思う。

まず、➀とは、仕事に対しての誇りを示している。そして、コーヒーを通して、お客様に驚きや感動、安らぎなどの価値を提供している自負を持ち、仕事に励もうという思いが込められている。

そして、②は、まさしくコーチングの傾聴や承認といった要素が含まれている。上意下達の意思伝達ではなく、相手を尊重しながら、相手の立場に立って考えるという、ホスピタリティを大切にすることに繋がっていくと考えられる。

③は、「仕事は見て覚えろ」的な上下・師弟関係ではなく、助けを求めることを歓迎し、逆に助けを求められたら、逃げずに手を差し伸べる。そういったお互い積極的に助け合える環境づくりを進めていく。

これら3つを見ただけでも、まさに令和の時代に必要な職場環境ではないかと思える。

 

経営資源としても、最も重要なのは人的資源であるという考え方がしっかりと浸透しているのも特徴だ。

そもそも、モノを売っているというよりは、先程のお客様に価値を提供するという、人に対する考え方が社内にも行き届いている。

このため、従業員を消耗品のように扱うのではなく、誰もが働きたいと思うような就業環境を作ることで、優秀な人材を集めミッションステートメントに基づく理念や価値観を実現しようとしている。

 

スターバックスには、マニュアルはあまり存在せず、一人一人が、顧客が満足するような体験を店内でできるような気持ちを常に心がけてコミュニケーションを取るようにしている。それを当たり前のこととしてできるようにと心がけている意識の高さが、やはりスターバックスの強さであり、他社や医療関係者も、そういった考え方は、会社運営・病院運営上、非常に参考になるのであろう。

 

僕自身も、安全衛生委員会に出席するたびに、その季節に合ったコーヒーを出していただき、なぜ今日このコーヒーを選んだのか等、本当に毎回親切に教えていただいた。今まであまりコーヒーを飲んでいなかったのだが、最近はかなり意識してきちんとコーヒーを飲むようになった。

コロナ禍の影響で、スターバックスにおいても様々な影響が他の飲食店同様出ているが、それでも常に明るく、「人、人、人の経営」は全く揺るぎがない。「マニュアルだけで感動を提供することはできない」とは、まさにその通りだと思うし、来年以降、コロナが過ぎれば間違いなく以前の通りにお客さんはお店を訪れるであろう。是非、これからもこういった理念が変わることなく、人を大切にし続ける企業であり続けてほしい。

朝の連続テレビ小説「エール」が終わった。

毎日欠かさず見ていたわけではないので、偉そうなことは言えないが、今回、日本の昭和の戦前から戦後にかけての音楽の変遷がドラマを通して、かなり分かりやすく知ることができた。

古関氏が、なぜ「六甲颪」もジャイアンツの「闘魂こめて」も作曲したのかとか、早稲田大学・慶応大学等の応援歌を手掛けたのかなど、今の時代では信じがたいようなことが、歴史の経過とともにドラマ仕立てで(当たり前か…)理解できたのは、非常に意義深いと思う。

 

そして、戦時歌謡のことも、これまではタブー視されているようなところがあったと思うが、どの様な背景があったかも全く知らない今の我々にとっては、こういった戦時中の人達の思いも含めて知れたことは大変貴重であった。

 

そして、戦時歌謡を作っていた作曲家が、戦後歌謡の大作曲家としても活躍していく。これも、ちょっと想像がつかなかったが、その経緯やその当時の人達の思いが伝わってきた。

戦争直後、少なからず世の中の反感が燻る中で「とんがり帽子」の曲がラジオから流れて来た時に、当時の人達は本当にどんな思いや感情を抱いたのであろう。

あまりにも曲調が異なり、しかも子供達が歌い上げているのを聴いて、多くの人に熱いものがこみ上げてきたのではないだろうか。

 

戦後生まれの我々も、こういった数々の名曲が、時代に翻弄されながらも、しっかりと地に足をつけた形で世の中に広まっていったことを、順序立てて知ることは、日本の歴史を知る上でも大切だと感じた。

 

 

以下、蛇足だが、

僕自身、京都で生まれ育ち、歴史に登場する寺社仏閣も、子供の頃からの生活の中で馴染みがあるところも多く、地理的なアドバンテージを活かして、日本史の勉強を進め、理系なのにかなり偏差値も高かった(受験には、結局何にも活かされなかったが…)。

今回のドラマを観れば、戦前から戦後にかけての古関の音楽を知る中で、かなり日本史の勉強にもなると思うし、数々の曲を思い浮かべながら勉強すれば、さらに頭に入りやすいのではないだろうか。

 

そして、Wikipediaを調べてしたところ、応援歌、行進曲の分野でも数多の作曲を手がけ、和製スーザと呼ばれた。とのこと。

僕自身、Tubaという金管楽器を吹いていたが、マーチングの時はスーザフォンを吹いていた。甲子園のアルプススタンドで一際大きく白い楽器こそが、スーザフォンである。

そういった意味でも、なお一層親近感が沸いた。

 

今年の年初からずっと頑張ってきた書籍の執筆がいよいよ完成した。

『地方の病院は「医師の働き方改革」で勝ち抜ける』(中央経済社)が、明日発売となる。

 

この本は、僕が伊豆長岡の病院で医局員全員の残業時間ゼロにしていった経験を踏まえ、今後の医療機関の在り方を、自分なりにまとめたものとなっている。

 

日本において、昨年度から「働き方改革」が一般企業では始まり、想像以上に世の中の残業が減ってきている。

一方で、医師においても、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されることになり、すべての医療機関において「医師の働き方改革」にいよいよ取り組んでいく必要が出てきている。

勤務医の時間外労働時間は、2024年春以降は、原則年間960時間までなるのだが、これを実現することはなかなか容易なことではないと思われる。

しかし、「コーチングといったコミュニケーションの手法を上手に活用し、現場のニーズに応え、仕事の流れを変えれば医師でも定時に帰宅する」ことは、実際には実行可能なことでもある。そういった「医師の働き方改革」のノウハウを分かりやすく示したいと考えたのが、今回の執筆の動機であり、是非、日本中の病院長・理事長先生方を含めた、多くの医師・医療関係者の方々に読んでいただきたい書籍だと考えている。

 

また今回は、弁護士で元厚生大臣だった津島雄二先生に、本の帯を書いていただいた。まだまだ現役で弁護士のお仕事も続けておられ、非常に元気にされておられ、お会いして、頑張るように激励もいただき、大変感激している。

 

すでに、アマゾンや楽天・ヤフーでも先行予約でネット販売していただいている。

いよいよ11月12日に発売されますので、是非、皆様にも一読していただき、ご感想をいただければ、これほど嬉しいことはありません。

 

■『地方の病院は「医師の働き方改革」で勝ち抜ける』

佐藤 文彦 著(Basical Health産業医事務所 代表)

定価 3,080円(本体2,800円+税10%)中央経済社/2020年11月12日発売

https://www.amazon.co.jp/dp/4502363316?tag=hanmotocom-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1&language=ja_JP

https://shopping.yahoo.co.jp/search?tab_ex=commerce&di=off&cid=10002&va=9784502363313&sc_e=afvc_shp_3526275

https://books.rakuten.co.jp/rb/16484399/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_101_0_0

今年7月に発売された「実践 BCG流病院経営 ―バリューベース・ヘルスケア時代の病院経営」(ボストンコンサルティング グループ 医療機関チーム 著;エルゼビア・ジャパン)を読んでみた。

 

これは、病院経営者にとって必読書だと思う。

またまた不勉強で恐縮だが、「BCG流病院経営戦略 ―DPC時代の医療機関経営」(2012)という前著もあるそうだ。

 

この本の中で、まず、日本における病院経営は急速に悪化していることを明示していた。そして、今後予想される政策の方向性として、適正な病床機能や病床数への誘導、自治体による国民医療費の管理、アウトカム(医療の成果)データ活用による医療機関の競争促進を挙げている。先進諸外国では、バリューベース・ヘルスケア(Value-Based Health Care)という、人件費や薬剤費といった、医療にかかる投入コストあたりのアウトカム(患者にとっての実際の成果)を最大化するという考え方・政策が導入され始めているとのこと。

 

日本でも、こういった取り組みが、令和の時代には求められて来ており、政府専門調査会(2015)から2025年の医療提供体制改革に向けて、事業モデルの方針転換を行っていく必要性が訴えられている。

日本の人口動態が年々変化し、高齢化社会がピークを迎えていくにあたって、将来的には全国的に20万床が過剰となり、一方で、回復期病床は27万床以上増やさなければならないとのこと。

このためには、地域内の競合施設と差別化して、競争優位性を築くために、「脱・総合病院化」を図り、自病院の強みを磨く必要性があると主張している。そのためには、医療機関の統廃合も視野に入れるべきだとも述べている。

 

また、済生会熊本病院をはじめとする熊本市内の急性期病院がそれぞれの医療機関の強みを生かし、疾患領域毎に役割分担を行っている「熊本方式」や、県立日本海病院と市立坂田病院を統合した日本海総合病院の設立などが、地域連携で成果を上げている成功事例として紹介されている。

そして、これらの様な地域内連携や介護連携が、今まさに日本の中でも強く求められていると強調している。

 

さらに、臨床現場から経営陣までの一気通貫した目標・指標を持つことが大切であるとも指摘している。また、医療機関や地域ごとに医療アウトカムのバラツキがあり、それをこれからの時代は明確に評価・比較検討し、そのバラツキを解消していくために、診療報酬アップといったインセンティブ付与などを行い、医療レベルを行って医療アウトカムを向上させている医療従事者が報われる制度設計の必要性も唱えている。

いずれも、非常に的を得(射)ていて、さすがコンサルティング会社だと感じた。

そして、日本の「世界に冠たる健康・医療提供システム」をこれからの時代に上手くマッチングさせ、「医師の働き方改革」「地域医療構想」に加え、今の時代だからこそできる最先端のヘルスケアITシステムも上手に活用し、これからも日本全国で質の高い医療が提供され続けられるように、様々な職種が医療と連携して、日本をさらに豊かな国にしていければと願う。そして、それは十分可能なことであるとも、私は考える。

 

昨日、本当に読売ジャイアンツからドラフト5位で指名された。

本当に凄いことだと思うし、心から「おめでとう‼」と言いたい

 

早速、今朝、スポーツ新聞をと思い、客観的にどんな風に記事にされているのか気になり、日刊スポーツを買ってみた。

すると、「まずは野手で起用する方針」と、数行だけのコメントであった。

 

そこで、仕方が無いと思い、スポーツ報知を購入。

すると、裏表紙にどデカく(自動販売機よりも大きな)全身写真が載っていた。

 

全くの蛇足の話しだが、

  • 小5生の時にすでに僕とほぼ同じ身長だった。しかも、「超イケメン」で可愛らしい顔つきだった。背が高すぎて、今いち顔が分かり難いが、顔でも身長でも大谷には負けていない。あとは、野球で真っ向勝負を挑んでほしい。
  • 千葉県大会当時、バッタバッタと打者を次に三振に切って取っていたので、お母さんたちは「優斗さま~」と叫んでいた…。
  • 公式戦前日での練習で、守備練習のため、お父さん達全員が順番に打席に入って、エース秋広(小5)と対戦した。通常、ボーイズリーグでは、あまり父親達が直接的に練習には加わらないのかもしれないが、何せ10人程しか部員がいなかったので、やむを得ず参加することがあった。

僕自身も初打席。きれいに三遊間を破り、レフト前ヒットを打った。これが僕自身、硬式野球初安打であった。「将来、プロに行ったら、自慢できるわ」と、お父さんと盛り上がっていたが、いよいよその言葉が現実となってきた。

 

この少人数のチームであったため、小学校卒業後、みんな野球も高校もそれぞれ思い思いのところに散らばっていったにもかかわらず、完全に関係が切れることなく、今でもそれとなくコミュニケーションのやり取りが続いている。

 

今度は、このかつてのチームメイトとその家族たちで、プロ野球で活躍している姿をみんなで応援しに行くようなこともあるのであろうか。

実は、7月に書き上げてはいたのだが、ブログに載せるのをペンディングにしていた。

ただ、昨晩のTBS・ニュース23でも紹介されたようで(残念ながら、僕はもう寝てしまっていた…(涙))、いよいよドラフト候補として現実味を帯びてきた、一人の高校生をご紹介したい。

 

7月8日のサンケイスポーツ新聞に、「二松学舎にジャイアントな二刀流!2メートル秋広が高校通算22号「目標は大谷選手」」というタイトルの記事があった。

https://www.sanspo.com/baseball/news/20200708/hig20070805030001-n1.html

現在、プロ野球に身長200センチ以上の日本選手はいないとのこと。この二松学舎大付高(東東京)の200センチの長身右腕、秋広優人投手(3年)は、中学時代は肘や膝の成長痛で投手としては活躍できなかったが、昨秋から投手兼一塁手として、打っては4番を任されている。

兄・涼太君も同校OB(現・中央学院大3年)で、甲子園でも6番一塁手でヒットも打って活躍していた。小学生の時は、ボーイズリーグの日本代表として、元メジャーリーガーの野茂英雄氏が監督の下、キューバなど超強豪国と世界大会で試合にも出場していた。

実はこの秋広兄弟、僕の息子と同じチームメイトであった。兄は、息子の2学年上、弟は1学年下。

 

特に弟・優人君とは、息子が小6生の時にはまさにチームメイトとして、一緒に何試合も一緒にプレーしていた。当然、彼がエースでクリーンアップを打っていた。

実は、東日本大震災直後で専用練習場が無くなり、非常に大変な中、メンバーも全員で10数人しかいない、本当にファミリーのようなチームであった。ただ、このスモールメンバーで千葉県代表になり、全国大会に出て、大阪のチームと試合ができたのも、物凄く良い思い出だ。

 

その後、結局そのチームは人数不足で解散。ただ、そんなスモールメンバーのチームだったので、お互い家族全員が知り合い同士で仲が良かった。7月の記事も、直接秋広家から教えてもらった。

 

記事によると、「類を見ない角度に加え、球速も投げる度にアップする成長に、プロ球団も注目。この日はソフトバンク、楽天、ロッテ、巨人、広島、ヤクルトの6球団のスカウトが視察。その中で最速143キロをマークした」とのこと。

小学校から、中学・高校と決して順風満帆に来たわけではない苦労人だけに、なおさら「二刀流」とは簡単にいかないかもしれないが、是非、プロ野球で大活躍してほしい。26日が注目される。

 

先月23日の日本経済新聞朝刊に、気になる記事が掲載されていた。

高齢医師が老いた住民を診る「老老医療」が増えとのこと。そして、日本経済新聞の分析によると「大都市圏では2026年までの10年間に後期高齢者1人あたり診療時間は2割減少。医師の不足感が過疎地並みになる地域が2割に達しそうだ。遠隔診療の普及など医療の生産性を高める対策が必要だ。」と書かれている。

秋田県内では「大館市や鹿角市など3市町がひとつの医療圏。住民の36%が65歳以上で、医師の3分の1が60歳以上だ。10年前から開業医は3割減った。新型コロナウイルスが追い打ちをかけ、この病院では残業が増えた。」

ただ、「全国で医師が減っているわけではない。医師数は18年で32万7千人と10年間で14%増えた。ただ、医師に定年がない要素が大きく、59歳以下はわずか5%増。男性医師の平均勤務時間は40代の週70時間超から60代は50時間台に減る。かたや75歳以上の後期高齢者は受診回数が急増する。医師の年齢や勤務時間を考慮すると、高齢化が加速する大都市も厳しくなる。」とのこと。

 

正直、都心部で生活されている人達や医師でさえ、このニュアンスは伝わりにくいかもしれない。

ただ、僕自身、伊豆長岡の大学分院で勤務していた時に、伊豆半島で新規開業したという話しはほとんど聞かなかった。一方で、高齢医師が体調を崩し、閉院するといったことは、毎年一度は耳にしていた。

それくらい、地方、特に僻地になればなるほど、若いドクター達が新天地でクリニックを開業するといったことは、すでにほとんどなくなってきている。しかも、既存の病院からも常勤医は徐々に徐々に減少し続けている。

 

国は、地域医療構想を念頭に、「医師の働き方改革」の最終ゴールとして、地方にもきちんと必要な医師が配置されていくよう施策をうち始めている。ただ、現実はそれとは逆行して、地方の医療崩壊が進んできていることが、今回の記事からも伺われる。

これから5~10年すると、急激に女性医師が増え、男性医師が減っていく。現在の地方医療を支えている医師が圧倒的に男性医師であることを考えると、日本の医療の将来を考えていく上で、かなり踏み込んだ政策等の取り組みを行っていかなければ、この負のスパイラルを正のスパイラルに180度転換させていくことは容易でない。

 

ただ、悲観的なことばかりを言っていても仕方がないし、実際に病院全体でコミュニケーションを積極的に取ることによって、打開策を上手に図っている病院も全国でチラホラ見受けられ始めている。

こういった取り組みをされている病院について、今後、徐々にこのブログでもご紹介させていただけたらと考えている。

 

昨年の本だが、「職場における性別ダイバーシティの心理的影響」(正木郁太郎著;東京大学出版会)を読んだ。

 

「働き方改革」を行っていく上で、どれだけ「多様な人が協働しやすい環境づくり」を提供できるかが重要になってきている。そこには、もちろん女性の活躍できる場をきちんと提供することも必要であるし、子育て世代のサポートやシニア世代の就業継続等についても、今まで以上に日本国内において積極的に取り組んで行かなければならない方策はたくさんある。

 

ただ一方で、「そもそも多様な人が協働することは組織に何をもたらすのか?」「多様な人が協働する組織ではどのようなマネジメントが有効か?」といった、企業にとって重要なダイバーシティ・マネジメントに関するエビデンスについては、欧米に比べ、日本の中ではまだまだ明確な結論といったものが示されていなかった。

このため、この本では特に性別にフォーカスを当てながら、日本の企業などで働く人達に様々なアンケート調査を行い、学術的な統計解析を行い、日本型の「ダイバーシティ・マネジメント」とはどの様な特徴があり、どうすればこの様な風土醸成ができるかを探っていった結果が示されている。

 

その具体的な実践的示唆が2つなされている。

まずは、当たり前のようだが、各会社によってかなり事情が違っているということである。それは、日本の中で「職場におけるダイバーシティ」は、今まさに過渡期にいるということが伺える。例えば、外資系企業やグローバル企業では、日本国内であっても女性役員数が増え、ダイバーシティの風土はかなり確立されていたりする。しかし一方で、未だに男女機会均等でなかったり、男女の意識の平等さの低い、日本特有の年功序列の体質が強い企業もまだまだ存在する。

 

このため、アメリカで得られた結果の「直輸入」には弊害もあるということ。

確かに、海外で実証されたインクルージョンの重要性が日本でも有効な企業はある。

インクルージョン(inclusion)とは、直訳すると包括・包含という意味となるが、包括は全体をまとめること、包含は包み込む・中に含むことを指すようだ。ビジネスに当てはめると企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態とのこと。

先程の外資系企業やグローバル企業では、今さら「男女平等」を唱える施策をうっても職場内は白けてしまうだけである。

一方で、いわゆる日本的体質が強い企業においては、女性のモチベーションや情緒的コミットメントが男性に比べて低い調査結果も出ている。そういった企業で、いきなり男女を等しく処遇し、平等な関与を求めると、かえって既存の強い性差や性役割分業の存在と競合し、両者の協働を難しくすることがあるとのこと。従って、かなり丁寧に初歩的なダイバーシティ・マネジメントを行っていく必要があるとも考察している。

 

令和の時代は、ダイバーシティやSDGsがかなり強く求められる時代になってきているが、実際には企業や組織によって進展具合はまちまちであるため、その状態・レベルにあったオーダーメイドな対策を取っていくことが、企業や組織の発展・イメージアップのためには大切であるということが、学術的にも分かってきたということであろう。

 

 

4年前の本だが、「規制の虜―グループシンクが日本を滅ぼす」(黒川清著;講談社)を読んでみた。

 

率直に、予想以上にクオリティの高い内容で驚いた。正直読む前は、医者が原子力発電のことを書いて、きちんと理解しているのか等といった懸念があった。しかし、ある意味、専門家やマスコミでの報道よりも論理的かつ科学的に、我々日本人が、今後どの様にこの原発事故について向き合っていけばよいかといったことを、前向きに考えさせてくれる内容であった。

 

ただ、医者であれば誰でもこの様な内容の本が書けるかと言えば、それはもちろん全く容易いものではない。これは、そもそも黒川先生が日本を代表する医学博士であり、かつ素晴らしくグローバルな視野の広さをもっておられたからこそ、成し得た業なのであろう。

 

まず、著者は2011年の東日本大震災における原発事故発生当時、報道がされ始めた直後から、海外のメディアや有識者のコメントなどを拾い集めていかれた。すると、日本の中で報道されている情報とは異なる報道や、日本が直ちに取るべき対策などが、海外の情報をチェックすることによって、明確になってきたとのこと。

そして、このままでは日本が世界から信用を失ってしまう可能性も十分に考えられるため、政府から独立した国際的な調査委員会を立ち上げ、福島第一原発でいったい何が起きたのかを検証し、そのプロセスを世界に公開することで、この不幸な事故の教訓を世界の共有財産にして、日本国家の信用失墜を最小限にし、解消していくことが必要であると考えられた。このため、全米科学アカデミー等とメールで意見交換を始めたそうだ。それが、なんと3月15日頃の時点での話しだという。

ここまででも、一般人とは全く異なった視点で原発事故を見ておられた、そのレベルの高さがよく分かり、読者はその凄さに圧倒されてしまう。

 

海外では、国を揺るがす大事故や大事件が起きた時に、立法府(国会)が独立した調査委員会を作るのが当然のプロセスなのだそうだ。ところが日本では憲政史上、こうした委員会が設立されたことは一度もないとのこと。後日談で、この「国会事故調査委員会は日本憲政史上初」ということを先進国各国で知られるようになると、一様に信じられないといった反応が返ってきたらしい。ちなみに、イギリスでは年に2~3の重要な案件についての独立調査委員会が進行しているとのこと。

 

日本の中で、前例のないこと自体を立ち上げることの難しさは、みなさんもよくご存知の通りだ。

しかも、この事故調委員会は、おおむね半年間という制約があり、しかも、勤務形態や給与の支払い、セキュリティの管理まで、全く手探り状態で始めなければならないという、これを聞いただけでも、とても成しえないようなプロジェクトへの挑戦であった。

 

しかし、実際に現地視察や、東電や政府要人などに対してのヒアリングも行い、それを報告書としてまとめていった。しかも、黒川先生の凄いところは、この報告書には委員全員がサインをし、英語版まで作成したことである。全員がサインをしたということは、全員が納得するまで議論を重ね、質の高い査読がなされ、修正を根気よく繰り返したからこそできることではないかと思う。しかも、その内容が諸外国の人達にも分かるように英語版まで作成し、グローバルにオープンにしたことも、その品質の高さに自信がなければ決してできないことだと思う。しかも、委員会での議論や参考人聴取の様子や記者会見なども動画で公開されている。

 

1936年生まれという、一般的にはご高齢な年齢とは裏腹に、若い年齢の我々よりも、新しいことにチャレンジし、「出る杭は打たれる」ことを買って出て、原発事故という、本当にデリケートな問題にも果敢に挑んでいかれる姿は、本当に尊敬に値するし、我々も大いに見習わなければならない。

今場所、横綱不在であったため、大関陣の圧倒的有利な場所になるかと思ったが、意外にも関脇以下の力士の活躍が目立った場所となった。

 

そして、優勝したのは正代。未完の大器と言われながら、今年もなかなか優勝まで手が届かず、どうなるかと思っていたが、今場所は見事に力があることを示してくれた。特に、14日目の朝乃山との一番。立ち合いで大関が浮き上がったほどの当たりの強さは、非常に見応えがあった。

 

 

何を突然、相撲の話しと驚かれる方もおられるかもしれないが、一応、子供の頃から大相撲は好きで、各取り組みの「決まり手」は95%程度的中できるくらいの相撲の知識もあるのです。

 

実は、特に相撲好きを決定づけたのは、ある遠い親戚がかつて時津風部屋の後援会長をしており、小学生の頃に何度か大阪場所に連れて行ってくれたことにも起因している。

祖母の妹の旦那さんという人だったのだが、僕の通っていた中学校の傍に住んでいて、家はそれほど離れていなかった。血も繋がっていなかった訳だが、意外にウマが合って、よくかわいがってもらった。

初めて連れて行ってもらった本場所は初日だったと思うが、二代目若乃花が横綱で、結びの一番で負けてしまい、升席から座布団を投げたことが、今でも非常に印象に残っている。場内、割れんばかりの歓声が上がり、凄い高揚感であった。

 

ただ、時津風部屋はというと、当時、強い力士がおらず、僕としては何となく納得がいかなかった。父親に聞くと「伝統ある部屋で、昔は強かった」とのこと。

僕が物心ついた時には、大関豊山はすでにおらず、イケメン蔵間や小結豊山はいたが、優勝争いをするようなレベルまでの強さはなかった。

 

その後も低迷期は続き、挙句の果てには暴行事件・野球賭博事件・新型コロナウイルス感染対策ガイドライン規律違反と、何とも不祥事ばかりで一般人にはその名を知られるところとなってしまった。もうこれで浮上のきっかけすら無くなってしまったかと思っていたところに、今回の正代の優勝に大関昇進。何と時津風部屋としては、北葉山以来57年ぶりの優勝とのこと。

 

正代というと、仏頂面で一見ふてぶてしそうだが、コメントが以外にも肝っ玉が小さい感じで、そのギャップに驚かされる。NHKでテレビ中継を見ていると、SNS上で正代(まさよ~)と呼ばれたりして、ちょっと面白い。

ただ、真正面からぶつかっていく力強い四つ相撲を取るし、熊本復興のシンボルともなっているので、是非、これから大関・横綱として長く活躍してもらいたい。