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新型コロナウイルス感染症の影響で、奇しくも日本においても在宅勤務やテレワークが急激に常識となってきており、それに伴い、企業内での評価方法もこれに合わせて変化をせざるを得ない状況に急速に変わりつつある。

 

在宅勤務やテレワークが進めば、毎日決まった時間に出勤する必要もなくなり、別に残業しなくても、効率よく成果をしっかりと上げていけば、自身の評価が高まるという社内環境に大きく変化が起こってきている。

 

こうなると自然に、年功序列の必要性はなくなり、優秀であれば年齢に関係なくどんどん登用され、その職務に対して評価や値段が決まっていくスタイルに変化していく。

これを、「ジョブ型」の働き方と言うそうだ。

 

では、これまでの日本特有の年功序列の働き方はと言うと「メンバーシップ型」と呼ぶらしい。今回、私自身は初めてこの呼び方を知った。

「入社時の雇用契約は、会社の一員になる資格(メンバーシップ)を得る意味があります。職務を限定せず、様々な仕事を経験することで能力が向上するという考え方を採っています。勤続年数をもとに昇給する年功型の賃金制度にもこの考え方が表れています。企業にとっては長期的な視点で社員を育成できる利点があります」(日経新聞2020年8月17日夕刊)。

 

高度経済成長期のような、どんどん経済の発展とともに会社員の給与も倍増していくような時代では、この「メンバーシップ型」の雇用体系は非常に上手く機能していた。

しかし、バブル崩壊後の日本にあって、爆発的に経済が発展していくこともなくなってしまい、国民みんなの所得が倍増するようなことも望めなくなった。

そこに、今までにないくらいの激変していく時代の流れも加わり、年長者であれば必ずしも成果を上げられるというような労働環境では全くなくなってしまった。むしろ、時代の変化に置いてきぼりにされ、「老害」であると、若い人達から後ろ指を指される市中も増えてきているのかもしれない。

 

さらに、女性の活躍や副業の推進などといったダイバーシティも加わり、今や「メンバーシップ型」の雇用体系は、今や非常にやっかいな足かせでさえあると感じている企業も少なからずあるのではないか。

 

これからの時代、優秀でやる気のある若い人が評価される会社でないと、あっという間に本気で「ジョブ型」の働き方で高く評価される企業に、そういった人材はどんどんと流れて行ってしまう。

そういったスピード感がなければ、むしろ大手企業であることの方がこの大変革の波に乗ることができず、弊害ばかりが露出して、経営が一層難しくなっていく、そういった時代に差しかかってきているとも言える。

 

新型コロナウイルス感染症が、この時代の急速な流れを一層早めたことは、間違いない。

今月2日の日本経済新聞夕刊に、気になる記事が載っていた。

最近、医療機関が運営するメディカルフィットネスが注目されているとのこと。

 

岩手医科大学附属病院の敷地内にも、専門的な各分野の民間組織と矢巾町がつながり、矢巾町の健康のために、メディカルフィットネスウェルベース矢巾という施設が誕生し、産学官がコラボした全国初のメディカルフィットネスジムということも、最近話題になっていた。

これは、町民や学生、そして健康チャレンジ事業に参加するか否か等で月額料金が変わってくる。健康増進にも貢献することとなり、非常に今時なスタイルであると思う。

 

私自身、順天堂医院勤務だった頃は、病院内にある健康スポーツ室に出向という形で5年以上勤務していた。このため、メディカルフィットネスの有用性と将来性については、以前よりずっと非常に強く感じている。

ただ、この健康スポーツ室は、都心の病院の建物内にある施設であったため、あまり広いスペースではなかった。このため、糖尿病教育入院患者や心臓リハビリ患者さん、そして特別会員の方といった、かなり限定された人しか使用できなかった。

しかし、医師の処方箋に基づき、順天堂大学スポーツ健康科学部の大学院で運動生理学を学んだスポーツトレーナーが、個別で運動指導を行ってくれるため、一人一人の患者さんにあったオーダーメイドでかなりクオリティの高い指導を行うことができていた。

 

話を戻すが、やはり、メディカルフィットネスの有用性は、一般のスポーツジムとは異なり、医師の処方箋に基づき、医師や看護師といった医療専門職の監修の中、安全にかつ、その人に合った運動法を指導してくれる施設であるのが特徴と言える。

これからどんどん高齢化が進むにつれ、高齢者の健康不安が指摘されるが、疾患を抱えた高齢者にとって、安易に一般のスポーツジムに行くことは、思わぬ事故になる可能性も秘めている。このため、こういった医学的な裏付けのある運動施設のニーズは非常に高いといえる。

 

また、「医師の働き方改革」の観点から言っても、今後、地域の医療を支えていくため、地方の病院では医療保険外の収入を増やしていく必要がある。この医療保険外の収入を得て、かつ、地域の住民の方々にも喜ばれることの1つに、「予防医学」が挙げられると思う。

メディカルフィットネスであれば、1次予防対策だけでなく、疾患を抱えた高齢者の2次予防対策にも極めて有用な手段となってくれる。

そして、そういった「元気で健康な状態を維持させてくれる病院」であれば、地域住民の方々にとっても、これからも安心してずっと通院し続けられる頼りになる病院ということにもなっていく。

 

そういった意味で、これからメディカルフィットネスが地域医療の活性化の起爆剤となってくれることを願う。

そしてさらに、メディカルフィットネスを利用して、地域の住民の方々が実際に健康で生き生きと暮らし続けることができれば、自然と地域の活性化にも結び付いていくと思う。そういった地域が日本各地にどんどん増えていくことが、これからの日本には強く望まれる。

今月2日から、幻冬舎ゴールドオンライン(GGO)というWebサイトに、「医師の働き方改革」関連の連載記事を掲載していただくことになった。

今後、毎週1回のペースで全20回を予定している。

 

僕は全く知らなかったのだが、このGGOは企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営されているサイトだとのこと。

このため、取り上げるジャンルは、企業オーナー・富裕層の関心が高い「相続・事業承継」「不動産」「海外活用」「資産運用」「税金」「生命保険」などだそうだ。実際には、世の中の経済から健康までさらに幅広く様々な内容が紹介されている。

そういった様々な分野の専門家が多数コラムを連載している情報量には、本当に圧倒される。

 

そして、医療関係も、特に医師向けに特設ページが用意されており、ここでも様々な診療科の先生がコラムを書かれている。

 

私も今回、有り難いことにこういった大きなサイトにコラムを書かせていただくことになったのだが、驚いたことに、Yahoo!やsmart newsでも検索することができるとのこと。

正直、半信半疑で昨日、Yahoo! Japanで「佐藤文彦」と検索してみた。

すると、佐藤文彦のニュースと出てきて、それをクリックすると、今回のGGOでのコラムタイトル「「医師の働き方改革」なぜ2年半で5時帰宅が実現できたのか」が本当に一番上に出てきた。

 

しかし、次の瞬間、その次の行を見てみると、「IR疑獄の秋元司衆院議員 3回目逮捕で二階派からも辞職勧告〈週刊朝日〉」というタイトルが出てきた。

もしやと思い、それをクリックしたところ、佐藤文彦容疑者等を通じて、秋元議員が口止め工作を図っていた疑いがもたれているといったような、最近ニュースで報道されている内容の記事が出ていた。

 

何ともシュールなタイミングだなと思わざるを得ない。そして、同姓同名であるからこそ、自分も日頃から気をつけていかなければと、身が引き締まる思いにもなった。

 

今まで、あまり「医師の働き方改革」についてはブログに書くことを控えるようにしていたのだが、今後は徐々に、そして熱くその辺りのことについても触れていければと思う。

 

新型コロナウイルス感染症に、近年毎年起こっている台風や大雨による大水害、そして地震に津波。

自分達の意のままにならない様々な災害で、日本中・世界中で人々は振り回されている。

 

地震のことを考えれば、地盤の良い場所に住んだ方がよいかもしれない。

水害や津波のことを考えれば、川や海の近くや標高の低い場所には住まない方がよいかもしれない。

新型コロナウイルス感染症のことを考えれば、あまり人口密度の高い大都市圏は避けた方がよいかもしれない。

また、停電が起こった場合、超高層マンションでは、階段の昇降だけでも大変すぎる等々、言い出したらきりがない。

 

一方で、これから人口も減ってくるし、オリンピックも終わったらいよいよ首都圏でも土地の値段は下がるのではないかなどとも、一頃言われていた。

 

そういったところに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、思わぬ形で在宅勤務やテレワークが一気に身近なものになってきた。

 

こう考えると、毎日通勤せずに済むのであれば、何も都心部に暮らさなくてもよくなる。

そして、自宅でWeb Meetingなどする必要があるのであれば、家の中が丸見えの状態ではあまりにも恥ずかしいので、ある程度書斎的なリフォームもする必要があるのではないかと考える人も多いであろう。それであれば、郊外でもよいから少し広い家に住める方がよいとなるかもしれない。

 

また、これだけ災害が多いと、家やマンションの購入時にはハザードマップを見せざるを得ない。そして、自分の家や実家は実際どの様になっているか、恐る恐るでも確認せざるを得なくなってきている。これからは、それによって土地の値段も大きく影響されるとも考えられる。

 

逆に、テレワークが加速していけば、企業が社員全員の机と椅子を用意する必要がなくなる。そうすれば、今までのように一等地に巨大なビルやオフィスを構える必要がなくなる。

実際に、渋谷の新開発エリアのオフィスも、超満室から一転、コロナで空室も目立ち始めたとのこと。

一方で、これを機に、都心部にオフィスや住居を移す人もでてくるだろう。

人の思いは、そのタイミングも含めて、本当に様々である。

 

ただ、これからの人口減少時代、今までの住居とは別に、新幹線で1時間圏内といったところにもう1件家を持つということも珍しくなくなっていくのかもしれない。

 

そうすれば、パンデミックが起こったとしても、災害が起きたとしても、どちらかの住居であれば大丈夫である可能性が高い。

人口減、空き家増加を逆手にとって、「働き方改革」に加えて、「暮らし方革命」もいよいよすでに起こり始めている。

今月、家のリフォームで、2~3日自宅のお風呂に入れなかった。

工事中に雨が降っては何かと支障が出ることもあるので、好天に恵まれたのはよかったのだが、猛暑過ぎて閉口するところも少なからずあった。

実際に工事している人達はもっと大変だったと思う。

 

この間、やむを得ないので家族そろって近所のスパランドに行って風呂に入った。

コロナで真夏にもかかわらず、思ったよりも多くの人達がお風呂に入りに来ていた。

 

暑いのでどうかと思ったが、風呂の温度もだいぶ低くしてくれていて、予想以上に快適だった。

他にもジェット風呂やハーブ風呂など、色々と嗜好を凝らしており、案外夏場でも十分楽しめた。

 

何となくお年寄りが多いのかなと思っていたが、学生とおぼしきグループや小さな子供の家族連れなども来ており、意外に平均年齢は非常に高いということはなかった。

 

スパランド内にはお風呂だけでなく、ホットヨガができたり、理容室があったり、無料で読めるマンガがたくさん並べられていたりと、今まで以上に集客にも工夫を凝らしていた。

 

温泉とまではいかなくても、日常生活とはちょっと違った体験が近場で気軽にできるということは、思った以上に快適であった。

やはり、日本人は今でも年齢関係なくお風呂好きで、銭湯といった伝統的なスタイルでは無くなっていったとしても、その時代にマッチした形で、これからも脈々と大衆浴場は世の中に受け継がれていくのであろう。

「佐藤」という苗字だと、どうしても同姓同名の人に時々出くわすことがある。

 

今月も、IR汚職で逮捕という記事が出ていた。年も近いし、ちょっと複雑な思いである。

 

久しぶりに、インターネットで検索してみると、農学者や元プロ野球選手に自転車世界一周など、様々な同姓同名の方が世の中で活躍されていることが分かる。

 

実は、僕自身、同姓同名の人と同じマンションに住んでいたことがある。

小学生の頃、僕の住んでいたマンションのすぐそばの自宅改装のため1年程おられたのだが、お子さんが同じ小学校だったので、僕の親世代の人だった。

 

ただ、それでも同姓同名の人物が二人いると、年賀状の時などは郵便配達員の方々もかなり混乱していた。

僕のところに、いかにも仕事の付き合いといった人からの見慣れぬ年賀状が何通も届いており、向こうのポストにも、明らかに小学生の字体で書いてある手書きの年賀状が紛れていた。

世代も異なっていたし、それは昭和の時代のまだまだ個人情報がどうのこうのと言うことも無い頃であったので、お互いの笑い話となっていた。

 

しかし、もし、今の時代にこういったことが起こると、お互いに当時のようなおおらかな対応だけでは済まなかったかもしれない。

同姓同名であるがために、色々なところで誤解や混乱が生じ、場合によっては、仕事やプライベートにおいて、知らぬ間に悪用されてしまうといったことにまで発展していってしまうことさえ、今の時代であれば念頭に置いておかなくてはならないのかもしれない。

 

そういったことを考えだすと、特にありふれた苗字の場合、そもそもどんな名前を付けるかということから、かなり慎重にしなければいけないということであろうか。

 

実際に「山田太郎」や「スズキイチロウ」など、分かりやすい名前の同姓同名の人は世の中にどれくらいいるのであろうか。

そんなことを考えてみたが、一方でインパクトがあり過ぎるような特異な名前も、一発で覚えられてしまって、難儀することもあるのかもしれない。

 

やはり、どんな名前にしても、その人の人生に大きく影響を及ぼすので、親はその自覚を持って名付けていく必要があるのだなと、改めて感じる。そして、名前負けしないように、頑張って生きていく必要もあると言えるだろう。

去年までであれば、「猛暑日にマスクをしながら通勤して仕事をする」といったら、間違いなくパワハラかいじめだと言われたであろう。

実際、大学生のサークル内での軽いノリでの罰ゲームでも猛暑日に1日中マスクは、さすがにさせなかったと思う。

ただ、今年はこれを高齢者の方々にも要請せざるを得ない状況となっている。

 

特に今年は梅雨明けが長引いて、しかもそれほど気温が上がっていなかったなか、梅雨明けと同時に突然の晴天続き。そして、マスクの着用。

昨日の猛暑日では、マスクしながら電車を乗り降りして移動する。それだけでも、かなりクラクラするくらいに暑く感じた。本当に熱中症にかなり注意を払う必要がある。

 

罰ゲームなら1日で終わりだろうが、この夏ずっとである。

しかも、いよいよ全国的な猛暑日が始まった。

 

ある小学校では、この天気が良い日に通学する時に、児童全員が傘をさして登校させ、その間はマスクを外してよいと指導を行っていたことを、ニュースで報じられていた。

確かにこれであれば、子供でも自然にソーシャル・ディスタンスを保つことができ、熱中症対策も同時に行うことができる名案だと思う。

 

夏になれば、感染はあまり拡大しないかと淡い期待をしていた人は、僕だけではないと思うが、そういった安易な考えは無残にも砕かれ、むしろどんどん感染者は増え続けてしまっている。

 

旅行にも帰省も出来ず、子供達もろくに夏休みも取れず、異例づくめの夏である。

しかもこの猛暑で、救急外来はコロナか熱中症か判断できないまま、発熱してぐったりしている患者の救急搬送を体張って受け入れてくれている。

 

上手に涼を取りながら、熱中症にならないように水分補給もしっかり取り、睡眠時間も確保して、みんなで何とか体調を崩さずに、この酷暑を乗り切っていくしかない。

3度目の登場だが、「常勝集団のプリンシプル(自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネージメント)」岩出雅之著、日経BPを読んだ。

 

この本の中で、印象的な岩出監督の名言がまだまだいくつも見られる。

 

僕が印象に残ったものの中に、

大学選手権の最終メンバーを決める時に、2軍・3軍からも1名ずつ選抜してベンチ入りさせるというのがあった。

こういったみんなから認められている苦労人をベンチ入りさせることの効果は、やはりチームが活性化され、部をまとめる上で非常に大切なことだなと感じる。

 

実力主義だけでは、決してメンバーには入れないが、その年のチームとしては無くてはならない最上級生の存在というは、どんなチームでもよくあることだと思う。

そういうメンバーをきちんと評価して、最後の大事な試合で背番号を与えるということによって、本当に励みになる選手がたくさんいると思う。

 

記憶に新しい通り、大相撲7月場所の優勝も照ノ富士であった。たとえモンゴル勢であっても、序二段まで降格した元大関の奇跡の復活優勝となれば、日本人力士よりも本当に大勢の大相撲ファンが照ノ富士を思わず応援していたと思う。

やはり、苦労をしてきた人が報われる社会というのは、世の中を平和にさせてくれる。

 

岩出監督自身も、大学を卒業し、高校のラグビーの監督ができるようになるまでに10年かかっている。

その前は、バスケットボール部の顧問であったとのこと。しかも、母校でも特別な強豪校でもないところからの出発であったという。

でも、その経験が活きたと書いている。

 

人間、どんな環境であっても、その環境でベストを尽くそうとすることが大切であると言えるし、それを証明してくれた人を見ると、本当にそのことが納得できる。

 

僕自身も、不本意ながら伊豆長岡に単身赴任で行き、医局の派遣先としては最も過酷な状況下であったが、4人の医局員みんなで色々工夫しながら、自分たちなりに一所懸命に頑張ってみた。その結果が「医師の働き方改革」というものに繋がっていった。

 

新型コロナウイルス感染症の影響で、全く思うようにならない状況に追い込まれている人も少なくないかもしれない。しかし、そういった状況の中でも、とにかくベストを尽くしてみることで、将来思わぬ展開に発展していく可能性もある。是非、簡単に諦めずに、今できることを必死にやり続けていってほしいと思う。

前回の続きだが、「常勝集団のプリンシプル(自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネージメント)」岩出雅之著、日経BPを読んだ。

 

この本の中で、印象的な岩出監督の名言がまだまだいくつも見られる。

 

その一つに、「幸せ(フロー)になる技術」―自分の実力を100%発揮する方法

フローに入るための鉄則」というものがある。

 

強豪校との試合や、優勝・全国制覇がかかった試合は、非常に緊張すると思う。

しかも、そういった試合で、数点差で勝っていても負けていても、試合終了間際のプレッシャーたるや凄いものになっていくだろうと想像する。

その時に、各々の選手が「自分の実力を100%発揮」してくれるというようなことができれば、確かに勝利の女神は自分達に微笑んでくれる可能性は高くなる。

 

でも、どんな手法を用いれば、そんなことができるのか、明確に示してくれる指導者は今までにほとんどいなかったのではないだろうか。

 

それを岩出監督は心理学の手法を用いて、常日頃から選手たちに常々、

「明確な目標や目的、つまり、やるべきことが明確になっている必要」があることや、

「大事なのは「未来」や「過去」ではなく「現在」」であることを、徹底的に意識づけさせて、実行させていた。

 

多くの人は、何かしら大事な場面で緊張して上手くいかなかった経験があると思う。

逆に、大舞台であればあるほど力が発揮できるというのは、長嶋茂雄とか新庄剛志といった根っからのスーパースター気質を持った一握りの人達だけではないだろうか。

 

実は、信じてもらえないかもしれないが、僕自身、かなりのあがり症で、とにかく本番に弱い。特に若い頃はそういう大舞台の経験もなかったので、突然そんな状況になっても、全く対応することができなかった。

 

このため、高校3年生の時も京都大会も関西大会の本番も、実は自分の実力の60%程度しか発揮することができなかった。

ただ、毎年、関西代表にはなれずに終わっていたので、関西大会での演奏終了直後は、「ああ、やっぱり上手く緊張から逃れることができなかった。でも、これが自分の悪しき癖であり、しょうがないものだ」と諦めていた。

それが、まさかの全国大会出場。

全国大会当日も、本番演奏直前の普門館控室でのチューニングの時も、緊張で震えあがってしまって、音もグラングラン波打ってしまっていた。ただ、そのままごまかさずにいつもの音量であり得ない揺れ方をしている音を出して、自分自身の中では腹をくくっていた。本番もこの音が出ても仕様がないと。

ステージ上に座ると足が震え、抑えることができない。逆に抑えずに震えたままにしておいた。

そして、演奏冒頭のクラリネットのソロで、普段絶対間違えないコンサートマスターがリードミスをした。その音を聴いて、あいつでさえミスすることもあるのだと、逆に気が楽になった。

足がずっと震えたまま最初の音を出したところ、震えすぎて、スッと震えが無くなっていった。

その後は、不思議なくらい普段通りの演奏をすることができた。

 

 

岩出監督流の解説では、フローに入るための鉄則として

「上手くいかなかったらどうしよう」という「未来」の不安や、「もっと練習しておけばよかった」という「過去」の後悔に囚われないようにして、

「大事なのは「未来」や「過去」ではなく「現在」に心理エネルギーを集中し、いかに楽しむことができるか」。それを、1年間かけて練習や日常生活を通じて、自分をコントロールするように、部員全員で取り組むということだそうだ。

 

こんなことを、普段から教えてくれる指導者がいれば、どれだけの教え子が若いうちに実力を発揮する経験を得て、将来役立てていくのだろうと思う。

三振して帰ってくる打者に「バカヤロー!お前の替わりなんていくらでもいるんだぞ‼」などと今でも怒鳴っている化石のような監督は、あと数年以内でみんな駆逐されていくことであろう。

2年前の本だが、「常勝集団のプリンシプル(自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネージメント)」岩出雅之著、日経BPを読んだ。

 

この本の中で、印象的な岩出監督の名言がいくつも見られた。

 

一つ目は、「共感力は他人を動かす」

本文には、以下のように書かれていた。

 

共感力は他人を動かします。

共感の真反対に当たるのが「強制」です。昔の体育会系の上下関係が、まさに「強制」です。平成世代は、他人からの「強制」には敏感で、拒絶反応を示します。

「脱・体育会系組織」のよさは、上下関係の「強制」や「圧力」を小さくすることができた点です。共感力を身に着ける環境として、脱・体育会系組織が有効に機能している…。

 

正に今、日大ラグビー部のヘッドコーチによる、陰湿な部内の様々な事件がニュースになっているが、今の時代、今の世代にマッチした「共感力」をベースに「一人ひとりが自律的に成長する組織」が、従来の「強制」をベースとしたトップダウンの組織を、どんどん駆逐していっている時代なのかなと感じた。それはあたかも、巨大勢力を誇った国が滅んでいくかのようだ。

 

強烈なインパクトがあった文章に以下のようなものがある。

「スポーツ界も、監督が頭ごなしに叱りつけながら選手を引っ張る時代ではなく、いかに集団の中でイノベーションを起こしていけるか、それがとても大切な時代に来ています。(中略)

私は試合前に、対戦相手のどこが変わったかを、常にチェックするようにしていますが、空いてチームの特に監督やコーチに、イノベーションを起こそうとしている動きや空気を感じた時には、こちらも警戒し、気合いを入れて準備します。逆に、それを感じられない相手には、油断はしませんが、負ける気がしません。そうしたチームは過去の方法論でぶつかってくるので、負けない自信があります。」

 

全員が自律的に考えて、常にイノベーションを起こそうと前向きに考えて行動する。

それに比べて、監督の指示(サイン)通りに動くのとでは、状況の変化が凄まじいこの時代、どちらがその変化に対応し続けるかと考えると、その差は一目瞭然である。

これだけきちんと観察されて見抜かれていたら、勝てるわけがないと思ってしまう。そして、実際に常勝軍団を作り上げてきた理由がここに表れていると思う。