6月 2019

2016年10月に発刊された「「いい質問」が人を動かす」(谷原誠;文響社)を読んでみた。これも、家の中で山積みされていた1冊である…。

 

著書の谷原誠氏は、弁護士で、こういったコミュニケーションに関する本を今までも執筆されている。

 

この本を読んでの第1印象は、とにかく非常に読みやすいことだ。大事なところにすでに黄色いラインが引いてある。このため、ポイントが一目瞭然で、読み進めやすい。このため、「質問する」について勉強したいと思っているビギナーの方には、非常にお勧めの本だと言える。

 

コーチングのコアスキルの1つである「質問する」の内容から、弁護士が法廷で用いる議論を制する「いい質問」まで、「質問」に関する幅広い話題提供を行ってくれている。

我々がコーチングで用いる「質問」とは、また異なる、議論を制する「質問」や、その気にさせる「質問」など、弁護士という職業ならではのリアリティのある文章は、さすがだなと感じた。そういった意味では、こういうことも勉強して、まんまと誘導されないように気をつけないととも思ってしまう(苦笑)。

 

また、思った以上に大事なところにすでに黄色いラインが引いてあるのが、読んでいて快適だった。これも、きちんと的を得たところにラインが引いてあったからだと思う。

僕自身、必要な時は蛍光ペンで線を引いている。ただ、そのためには、線を引ける安定した状況でないと線が引けない。このため、電車の中などではなかなか難渋する。そして、線を引き出すと読む時間がかかってしまう。電子書籍でもラインを引くことができるが、それでも時間がかかってしまうことに変わりはない。

 

それを面倒がってしまって、線が引いていないと、後々読み返した時に、ポイントを探すことが困難であるため、非常にもったいない思いをする。

 

全ての本が、ラインを引く必要はもちろんないが、初心者向けの導入本であれば、こういった工夫も早く要点を掴めるようになるといった点で、大切なことの1つなのかもしれない。

 

昨夏のブログを始めた頃に、「通っているジムの、どのマシーンでも35㎏は上げられるようになった。」と書いた。

 

実は最近、それがどのマシーンでも40㎏を上げられるようになった。年とともに体力は落ちていくものだと諦め、と同時に、それは仕方のないことだと特に疑問も持っていなかった。

ところが不思議なことに、いまだに少しずつ重い重りを持ち上げることができている。

 

前回も書いたように、僕自身、文科系の部活だったこともあり、5~6年前まではきちんと「筋トレ」をすることは皆無であった。

 

元々、筋肉量を増やすために始めたわけではないので、ジム通い始めてからも1度もプロテインなどは飲んだことはない。しかも週1回しかジムには通っていない。にもかかわらず、この年になってでも少しずつ筋肉というものはついてくるということは、医者として恥ずかしながら、正直驚きである。しかも最近、「ちょっと意外に筋肉あるんじゃないですか」と言われることさえ時々出てきた。

 

ただ、そうは言っても、最近はあまり頑張りすぎないように、実は少し抑え気味にトレーニングしている。ジムに通いだしてから今までを振り返ると、本当に最初の頃は大変だった。あの頃を思えば、今はだいぶ精神的な負担も少なくなってきたように感じる。

 

今でも時々あるが、開始当初は、とにかくスポーツジムに行く直前まで「ジムに行かない言い訳」を頭の中で一生懸命考えていた。「今日は土砂降りの雨だから」とか「昨日は飲み会だったから」とか、とにかく今日は行かないでいいんじゃないかと言うネガティブな理由をたくさん考えていた。

しかし、仕方なく行ってみると、飲み会の翌日でも、少々睡眠不足でも、一旦ジムでトレーニングを始めてしまうと、あまり前日の状態は影響しないことが分かってきた。

 

そうやって続けることによって、そして、見た目的には大して変化が感じられなくても、やはり「継続は力なり」なのだなと、ひしひしと感じる。

 

最近は、何となくコツをつかんだこともあり、これ以上あまり負荷をかけなくてもいいと言う安心感もあり、最初の頃よりは気分的に楽になっていると思う。

そもそも、年齢的な衰えを感じ、始めたジム通い。これから先もずっと毎週通うのかと思うと、ゾッとしてしまうが、とにかく運動した後は、「もう今週は運動しなくていいんだ」という開放感を感じている。何とか怪我することなく、これからも細々と続けていけたらと思っている。

今週、職域の保健師さん達に「インスリン治療の最前線」を知ってもらうために、ノボノルディスクファーマ社のご協力をいただいて、勉強会を都内で開催させていただいた。

様々な職種の会社や健康保険組合から、保健師・管理栄養士さんが集まってくださった。

 

厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%。男女別 にみると男性で78.7%、女性で74.1%であり、男女とも受診率は増加してきている。しかし、性・年齢階級別にみると、40 歳代男性では治療を受けている割合が他の年代よりも低い。(糖尿病ネットワークより、https://dm-net.co.jp/calendar/chousa/population.php

 

しかし裏を返すと、まだまだ約25%の糖尿病患者が医療を受けていない現状も垣間見えてくる。

この状況をさらに改善していくために、現在でも様々な取り組みがなされている。例えば、厚生労働省は、企業と健康保険組合などの医療保険者とのコラボヘルスを推奨しており、より個人の状況に応じた健康づくりを行っていってもらいたいとのことから、2年前には「コラボヘルスガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000171483.pdfという本も出している。

 

ただ、それでも、職域の保健師さん達が「最新のインスリン機器を実際に手に取って操作」できるような医療現場での最先端の状況を知る機会は、今までも日本の中でほぼ皆無と言っても過言ではない状況がずっと続いている。

このため、今回、この保健師さん達に、実際にインスリン製剤を手に取ってもらい、どの様にインスリン治療が必要な糖尿病患者さん達が、日頃インスリン自己注射を行っているかを体感してもらった。

そうしたところ、予想以上にインスリンの針が細く短く、採血針とはだいぶ異なるという体験や、フレックスタッチのようなデバイスだと、高齢者であまり握力がない方でも使いやすいということなども実感していただくことができたかと思う。

 

今回の企画は、「職域の保健師さん達に、今まで以上にインスリン注射に対する抵抗感を軽減してもらいたい」という思いがあった。そして、そうすることで、保健指導の際に、「インスリン自己注射が必要な社員に、今まで以上に、医療機関に受診しインスリン治療を受けることを積極的に促していただくこと」ができるのではないかと考えてみたからである。

 

先月の日本産業衛生学会で発表させていただいた通り、職域の保健師さん達がインスリン治療等の最新の治療について学ぶことができる機会が極めて少ない現状がある。そういった状況を打開するために、こういった実際にインスリン機器を手に取ることができる機会が各地で増えていくことが望まれる。

今後も「働く人達が、これからも元気で働き続けられる」ために、微力ながらも様々な形でお手伝いできたらなと思う。

先週末に、Bigtree代表の吉田大祐さんのコーチング・ワークショップを受ける機会があった。

吉田さんは、立命館大学アメフト部出身で、3度の日本一を経験しているメンバーの1人だ。その後、三井住友銀行に就職。その後、ヘルスケア業界に特化したコンサルティング会社を創業し、その後、現在の人材開発・組織開発コンサルティングを行っているBigtreeの代表をされている。

 

近畿地方を中心に、すでに70以上の医療機関や介護施設などのコンサルティングを、コーチングなどの手法を活かしながら行っておられる。

 

コーチングのよいところは、「相手をやる気にさせる」だけではなく、タイトルのように「自分自身のモチベーションアップ」に対しても用いることができる。これを特に吉田さんは「自分の人生を(自ら)リードしていく」という表現を使われている。

 

私も、メディカルコーチングの資格を取るために130時間にわたる研修を受けていた時期には、このような「セルフコーチング」も行う機会もあった。しかし、最近は忙しいということを理由にして、こういった自分の生き方を見直す「セルフコーチング」の時間をしっかりとることを怠ってしまっている。そういった意味でも、今回のワークショップは大変有り難い時間となった。

 

このワークショップの大事なポイントとしては、「自分の人生をリードする」目的で、まず「自分の現状の生活の点数」をつけてみる。そして、「その点数だと、あなたの生活はどうなりますか?」という問いについて、箇条書きに思うところを書きだしてみる。そして、次に「100点満点の生活とはどのようなものでしょうか?」について、箇条書きに書いてみる。そして、この「理想と現状を埋めるためには?」について、できるだけ具体的に自分の言葉で書くようにする。

そうすると、自分が今どんなことについて問題意識や不満感を持っているかが分かり、そして、その改善点が自ずと見つかっていくことにもなる。

 

そして、「人生の軸をグレードアップする」といったタイトルで、A4の紙1枚が配られ、各項目に、それぞれ自分の言葉で書いていく。

その項目とは、「自分の人生の軸」「好きな言葉・嫌いな言葉」「自分が幸せな状態・自分が幸せでない状態」「憧れの人物/その人の何に憧れているのか」など、自分の頭の中を整理し、最終的に、今後の目標や、それに向かっていくための具体的な行動について書き、そうすることによって、しっかり将来に向かって自分のことを見つめ直す時間を持ち、自分が今後何をすべきかを再認識することとなる。

 

吉田さんは、「あなたは自分の人生をどうリードしますか?」「ワクワクする日々を一緒に創りませんか?」、そういったことを、定期的に(年2回くらい)ご自身でも、自ら考える時間を作っているとのこと。 皆さんも、時には自分を見つめ直す時間を作ってみませんか?

今月のさんぽ会は、「健康診断の事後措置」の話題であった。

 

普段我々はあまり意識していないが、実は「健康診断の実施は事業者の義務であり、受診は労働者の義務」である。

このため、健康診断に関する法令というものは、我々が思っている以上にたくさんある。

例えば、健康診断の実施だけではなく、その健診結果の結果に基づく医師からの意見聴取は、労働安全衛生法第66条の4に定められている。さらに、健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師からの意見聴取は、同法第66条の3に、労基署報告は労働安全衛生規則第52条にて定められており、これらを遵守しないと、50万円以下の罰金に処せられる場合もある。

 

 

しかしながら、ヘルスデザイン株式会社の産業医専門医でもある坂本宣明先生は、「健康診断の事後措置」の目的としては、こういった法令遵守だけでなく、健康経営の評価指標や在職死亡の防止、労働力の確保、さらには退職後も健康的な生活を過ごせたり、一人一人の幸せな人生のためなど、様々な目的を持ってなされるべきではないかと話しをされていた。正にその通りだと感じた。

 

順天堂大学総合診療科准教授の横川博英先生からは、今年、日本高血圧学会から「高血圧治療ガイドライン2019」が発表され、今まで以上に血圧の目標値が厳格になったことを紹介された。しかし、それまでのガイドラインの中ででも、糖尿病患者やCKD患者の降圧達成率は3割程度と非常に低い状態が続いていることを示された(PLoS ONE 10(7): e0133641, 2015)。ただ、体重管理が行えている人ほど、降圧未達成リスクを改善できるため、やはり体重管理に重きを置くことは非常に大切だと強調されていた。

 

さんぽ会会長の福田洋先生からは、今回もヘルスリテラシーに絡めたお話しがあった。社員の健診受診成功の理由を尋ねたアンケート調査によると、1番は経営者の理解、2番目に各社員のヘルスリテラシーの高さが挙がったとのこと。実際に、社員のヘルスリテラシーと生活習慣・健診関連行動とが相関関係にあったというデータも示された。

 

毎年、当たり前のように健康診断を受診し、その結果が返ってきているわけだが、この当たり前のことを、これから労働者人口が減っていく日本において、有効活用していくことは、多くの方が重要だと認識している。今回もさんぽ会に150名ほどの参加者が集まったと思う。

こういった、日本の中で数多くの健診事後措置を行っている医療者などが、お互いに意見交換や情報交換を行って、今まで以上に「働く人が、いつまでも元気で働ける社会」を実現していければよいなと思う。

 

 

今月の文天ゼミでは、我らが浜口伝博先生(ファーム&ブレイン(有)取締役、産業医大教授)がご講演された。タイトルも「産業医は時代の変化についていけるのか」といった、正に今の日本の産業医の状況を端的に表している表題だなと感じた。下記に先生がお話しされた内容を少しまとめてみた。

 

労働安全衛生法が制定された1972年以降、国内での労災死は格段に減少してきた。そういった意味で、産業医は職場の安全を守るということに大きく貢献してきた。

しかし近年、産業医の法的要求は、職場の安全を守るための「職場巡視」「安全衛生委員会への出席」の他、「健診後の事後措置」「メンタルヘルス対策」「過重労働面接」「復職判定・復職支援」と、どんどん多様な事柄に対しての要求も高まってきている。

特に4年程前からは「ストレスチェックの実施」が始まり、発達障害や新型うつ病などといったメンタル不調者の対応も増加してきている。そして今年からは「産業医の権限強化」が認められ、さらに様々な企業で「健康経営」に大きく産業医が絡んでくることが珍しくなくなってきた。

 

こういったことから、産業医は「プロフェッショナル産業医」であることを、多くの企業から期待されてきている。

近年、日本医師会認定産業医は10万人に達したが、実際には産業医専門医の資格を持っている医師は500人余りしかおらず、労働衛生コンサルタント資格を有するドクターなどを含めても、まだまだ「プロフェッショナル産業医」のレベルで機能しているドクターはかなり不足している。

そういった意味では、急激な勢いで、産業医は「“量”の要求が終わり、“質”の要求が到来した」とお話しされていた。

 

そして、厚生労働省も「産業医を選任することで → 健康で活力ある職場づくりに大いに役立ちます」と言ったスライドを作ったりもしている。

これを深堀りすると、会社の中で、発症予防・エンゲージメント向上、職場改善・制度改善、そして経営戦略についてといった、すべての項目において、産業医には期待をされていると言い換えることもできるのではないか。

つまり、「安全管理」「健康増進」そして「コミュニケーション能力」のいずれをも兼ね備え、ただ単に産業医の「職務提供」を行うだけではなく、経営・管理職と一般社員との風通しを良くしながら「現場の課題解決できる実務力を持った産業医」であることが、今の世間からは求められているのではないかと、熱く語っておられた。

 

この会の後、厚かましくも飲み会にも参加させていただき、今年から浜口先生が音頭を取って発足する「産業医アドバンスト研修会」にて、日本全国の産業医が「プロフェッショナル産業医」を目指す先生方の支援を、同友会理事長の高谷先生や順天堂大学総合診療科専任准教授・さんぽ会会長の福田先生等とも一緒に盛り立てていきましょうということで、大いに盛り上がり、楽しい宴となった。

先週、「メンタルヘルス法務主任者・産業保健法務主任者資格講座」という勉強会があり、参加してきた。

これは、今後計6回にわたり開催される。

その名の通り、産業医を含め産業保健スタッフが、メンタルヘルス関連を中心に、産業保健関連の法律について勉強していくことになる。

 

この勉強会の中心的な役割をされているのが、近畿大学法学部教授の三柴丈典先生である。今回は、三柴先生自ら、メンタル不調で勤怠不良の社員への対応や、発達障害が疑われる社員への対応など、日頃常に対応が難しいことが多い事例に対して、どの様に考え、どの様に配慮していくべきかなど、今までの裁判での判例なども事例として紹介していただきながら、ご講義していただいた。

 

こういった悩ましい事例に対し、産業保健医療スタッフとしては、やはり理論的にきちんと頭の中で整理できた状態で、社員や会社に向き合う必要がある。そのためには、本人への就労支援や健康配慮など、「救済」の側面が当然必要となる。一方で会社も慈善団体ではないので、労働力として、ある一定のレベルに達しない場合は「けじめ」としてやむを得ず人事的措置を講じなければならない。

これを適正に切り分けると言ったことが非常に難しい。「けじめ」が一方的過ぎれば、ハラスメントになる。一方で「けじめ」が緩やか過ぎれば、他の社員の士気が大きく下がる可能性がある。

 

このため、今までの裁判判例を提示していただきながら、現在の日本における「休職命令」の法的要件についてや、本人へどの程度の説明が必要であるかなど、具体的に誰もが納得するような落としどころを見つけるためには、どの様に対処していけばよいのかを教えていただいた。

 

昭和の時代は「上意下達」であったが、令和の時代は本当にしっかり気持ちを込めてコミュニケーションをとることが大切で、必要に応じて、職種・職位の変更や、ジョブ・コーチの選任など、できる限りの配慮を会社側も行う必要性が求められている。

 

そして、その様な背景を鑑みると、社内で様々な事例に対応できるようにするためには、「就業規則」や「健康管理規定」などをきちんと定めていくことが大変重要であることもよく分かった。

 

そのためには、今後はどんな会社においても、社内の様々な事例を直接弁護士に相談する必要性も高まっていくかもしれないし、産業医や社労士も、今まで以上に求められてくる水準が高まってきており、よりこういった法律・法務関連の勉強が必要となっていると感じた。

このタイトルからして、僕がどこの野球ファンかが分かってしまうと思うが、そんなことはともかくとして、今週、非常に明るい話題があった。

 

今年1月、26歳の若さで大腸がんが見つかり、手術を施行した、阪神タイガースの“代打の切り札”原口文仁選手が、131日ぶりに1軍復帰し、千葉ロッテ戦にて早速代打で登場。左中間にタイムリー2塁打を放ち、ヘッドスライディングで2塁ベースに滑り込み、元気な姿を見せてくれた。

すぐに代走を送られたのだが、そのベンチに戻ってくる時に、球場内は敵味方関係なくスタンディングオベーションで原口選手を讃えた。ベンチに戻ると選手・コーチなど全員とハイタッチ。矢野監督からは、このヒットを打った時のボールを記念として、直接手渡しされていた。

病気と闘ってきた人を明るく迎えた、心温まる光景であった。

 

原口選手といえば、東京・帝京高からドラフト6位で2010年に阪神入団。勝負強い打撃が持ち味の捕手で、昨季は代打で23安打を放ち、08年に桧山進次郎がマークした代打のシーズン最多安打の球団記録に並んだ。(2019/1/24 日本経済新聞)

 

原口選手は自身の体験から、「プロ野球選手の使命として」というキャッチフレーズで、がんの早期発見・早期治療の重要性、一日の大切さ、命の尊さを広く伝えたい。というメッセージを公表している。

また、チャリティーブレスレットを販売し、その収益の全額をガン患者支援団体に寄付していくとのこと。

 

プロ野球では広島の赤松真人選手(36)が2年半前に胃がんが発覚し、手術を受け、現在も1軍復帰へ向けて頑張っている。

また、ご存じの通り、水泳オリンピックメダリスト候補の池江璃花子選手は、今年2月に白血病であることを公表。今週、一時退院し、自宅に戻っていたことを自身のホームページで明かにした。

 

現役のスポーツ選手ががんを発症するということは、なかなか一般人の僕らには容易に想像しにくいところがあるが、本当に色々な面で大変な思いをされていると思う。

 

そして、また元気な姿を見せてくれることが、本当に多くの人に感動を呼び、元気づけられることとなるとも思う。

我々医療者としては、なぜこんなに若くて元気な人達ががんになることがあるのかの、医学的原因究明と、そして原口選手の手記にもあるように、「がんの早期発見・早期治療の重要性」を、さらにしっかりと一般の人達に伝えることが必要であると、改めて感じる。

先週、伝塾上級生の勉強会にも参加した。
今回は、伝塾医局長で、産業医専門医でもある平野井啓一先生の講義であった。タイトルは「現場における知識と本質」。産業医は、必要な知識を産業衛生の現場に提供することが当然ながら非常に大切である。しかし、実際に職場内で必要とされることは、結局、現場で働く人達がどうすればよいのかとか、何が重要であるのかを、医学的見地も含めながら理解してもらうことであるということを強調されていた。
これは「言うは易く行うは難し」であって、なかなか上手くできないことも多い。

先生の講義の中で非常に象徴的だったのは、
職場内でリスクアセスメントを行う必要性が求められた時に、知識的には、
「リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定…の手順をいい、事業者は、その結果に基づいて…を講じる必要があります。労働安全衛生法第28条では…。さらにそれを効果的に進めていくために…」と、説明することができる。
ただし、例えこういったことが完璧に説明できたとしても、現場のスタッフ全員がこの内容を把握できるわけでは必ずしもない。
このため、だからどうすればよいかを、産業医は分かりやすく解説し、説明することが求められる。

平野井先生は、「今まで行ってきた活動内容とリスクアセスメントとは、どの様に違うのか」を具体的に話し、かつ、「社員が作成したリスクアセスメントについて、ねぎらいの言葉をかけて承認し、その上で、アドバイスを行っていく」ように気をつけていると言われていた。しかも、そのアドバイスも「誰が、いつまでに、どの様に」行っていくのか、詳細をできるだけ明確にしてもらいながら作業を進めていってもらうといった、コーチング等のコミュニケーション手法をふんだんに取り入れながら、社員の方々にアサーティブに伝えていきましょうと仰っていた。

実は、産業医の専門医試験では、非常にコミュニケーション能力があるかを必ず問われるとのこと。特に口頭試問では、産業衛生関連のお題を与えられ、それをきちんと社員にプレゼンテーションできるかといったことが強く求められる。他分野の専門医試験で、この様にコミュニケーション能力について問われることは極めて珍しい。ただ、実社会で一般社員と医師が関わっていく中では、どうしても必要な要素になっている。
そういった意味で、伝塾医局長は「流石!」の産業医専門医であるということを、この講義で改めて伝塾生みんなが感じた、素晴らしいプレゼンテーションだった。