9月 2019

2015年12月に初版された「スポーツの経済学 -2020年に向けてのビジネス戦略を考える-」(小林至;PHP研究所)を読んでみた。

 

著書の小林至という名前とスポーツを絡めると、ピンと来た方がおられたら、かなりのプロ野球通ではないだろうか。そう、この方は東京大学卒で千葉ロッテマリーンズに1992年にドラフト8位で入団した、あの小林至氏である。残念ながらプロ2年間で1軍登板はなく引退されたようだが、その後米国コロンビア大学経営大学院を修了しMBAを取得。江戸川大学教授、福岡ソフトバンクホークス取締役やスポーツ庁幹事をされたりと、幅広く日本のスポーツ経営学者として活躍されている。

実は、お互いの子供が高校野球部の先輩後輩だったと言うこともあって、興味深くこの本を読ませてもらった。

 

あまり、この分野の本を読んだことはなかったので、正直理解できるかどうか不安であった。しかし予想に反して、非常に分かりやすい文章で書かれてあり、スラスラと読み進められた。しかも、スポーツの経済的役割について、これまでのオリンピックやプロ野球、北米4大プロスポーツ、FIFAといった、我々に馴染みのあるスポーツイベントを例に挙げて、かつ具体的な数字で提示されていたため、大変理解しやすかった。

 

日本のプロ野球(NPB)は、なかなか黒字にすることが難しいと言われている。近年では地上波テレビでプロ野球の試合をリアルタイムで見ることは皆目無くなったと言っていいほどになってしまっている。ところが、驚いたことにアメリカンフットボール(NFL)やイングランド・プレミアリーグなどのテレビ放映権料などは、以前に比べて6~12倍も上昇しているとのこと。

この、欧米に比べて日本がスポーツを経済活動として上手に捉えられなかったことが、日本のスポーツの国際化を遅らせてしまった大きな要因の一つかもしれない。

 

しかし、こういった客観的データに基づいて、日本でもJリーグの盛り上がりやバスケットボールのプロ化(JBA)、そして現在行われているラグビーワールドカップ2019の大成功といった、成功事例を次々に排出するようになってきているようだ。プロ野球でもパリーグの盛り上がりは、30年前とは雲泥の差がある。こういったスポーツの経済的役割が高まるのを目の当たりにすると、日本の様々なスポーツが世界で通用するようになってきていると言えるのではないだろうか。

スポーツの分野においても、経済学者などと上手く「産学連携」を行って、しかも国・行政が後押ししてくれることによって、本当に日本選手のレベルが上がり、応援する我々の盛り上がりも非常に高くなる。

 

そしていよいよ、来年は東京オリンピック・パラリンピックの開催へと繋がっていく。

是非、野球・サッカー、そしてその他の様々な日本でのスポーツが、大切なコンテンツとしてグローバルにさらに広がって行けば、日本の経済としても、子供たちを含めた若い人達が育っていく環境としても、非常に好循環な環境を作り上げていくことができるのではないだろうか。

 

CSII、CGM、SAP、FGMと書いて、ピンと来る人と、来ない人と二極化してしまうのではないかと思う。

 

それぞれ、CSII(Continuous Subcutaneous Insulin Infusion:インスリンポンプ療法)、CGM(continuous glucose monitoring:持続グルコースモニタリング)、SAP(sensor augmented pump:パーソナルCGM機能を搭載したインスリンポンプ療法)、FGM(flush glucose monitoring:皮下の間質グルコース値を持続的に14日間測定できるセンサーを上腕に留置し、ICカードのように、センサーにリーダーをかざすことでその値を確認できる医療機器)の略で、いずれもインスリン治療・血糖測定に関する用語である。

 

なかなか知らない方々には、とっつきづらいと思うが、はやりこれらの機器が発達・改良されていくことで、1型糖尿病患者さんの血糖管理やQOLは徐々に改善されてきていると言えるのではないだろうか。

 

先日、これらの機器を早くから積極的に取り入れながら1型糖尿病患者さんの診療を数多く診ておられる、浜松医科大学第二内科 内分泌代謝科助教の釣谷大輔先生のご講演を聴かせていただいた。

 

同じ糖尿病でも、1型糖尿病は罹患歴の長い患者ほど非常に血糖コントロールが難しくなってくる方が多い。それは、基本的には罹患歴が長ければ長いほどインスリンを作っている膵β細胞の細胞数が少なくなってしまっていくからと考えられる。

普段我々は全く意識していないが、この膵β細胞から分泌されるインスリンは、極めて絶妙に分泌が調整されており、常に血糖値が100mg/dl前後で維持されるように保たれている。

 

これが1型糖尿病患者さんの場合、自らインスリン投与量を考えながら皮下注射していく必要がある。この調節は非常に難しく、もちろんその日の食事内容や運動量によっても大きく影響される。

このため、常に血糖値がいくつになっているか、なるべく情報量が多い方が、インスリン量もそれに応じて調整できる。ただ、そのためには頻回に針を刺して血糖測定をしなくてはならない。これはやはり、かなりストレスフルな作業となる。CGMは皮下に専用の細い管を持続的に入れておくため、皮下組織液のグルコース濃度を5分おきに計測できる。

そしてCSIIは、皮下にインスリン持続注入用の細い管を挿入し、継続してインスリンを皮下注入することができる。これにより、1日4回注射よりもさらに細やかにインスリン投与量が調整できる。これら2つの機器が合わさったのがSAPで、次第にこの分野の機器も高度化してきている。

 

実際に、これらがどの程度1型糖尿病患者さん達に有効かについて、釣谷先生は長年臨床研究を行われてきた。これは、釣谷先生の外来では、1型糖尿病患者さん達を手厚くフォローをされており、そのおかげでかなりの割合の1型糖尿病患者さん達がこれらのSAPやFGMといった機器を使いこなし、自ら血糖(皮下間質グルコース)値を頻回に確認しながら、インスリン投与量を調節し、より安定した血糖管理を行われている。我々も以前からこれらのデータを参考に、1型糖尿病患者さんへの外来指導などで活用させていただいている。

 

また、今回は静岡県立総合病院副院長の先生もお越しいただき、静岡県内の中・西・東部地区の主要な糖尿病専門医の先生方が多数集まった。

このように、専門医同志の横の連携が保たれていることは、患者さんにとっても非常に安心な環境といえるのではないだろうか。

 

私自身も、1型糖尿病の方の血糖コントロールの難しさに応じて、これらの機器を紹介して、できる限り生活の質(QOL)が低下しないようにサポートしていければと思っている。

 

台風15号が去り、2週間近くになろうとしている。にもかかわらず、未だに停電や断水で困っておられる方々がおられるとのこと。その苦労は、とても我々には想像できないレベルになっていると思う。

本当に、1日、1秒でも早い復旧を願うばかりである。

 

千葉からさほど離れていない都内で仕事をしていると、正直、台風通過後しばらくしてからは、もう何事もなかったように生活や仕事は営まれている。しかし、ほんの何十km先では、未だに停電が続いている。このギャップは(あらゆる災害において)無常なほどである。

 

停電といえば、我々一般人としては、東日本大震災の時の計画停電を思い出す人もおられるかもしれない。私の家族も、実際に2度ほど経験したが、その何時間の間だけでも、相当にストレスフルであった。

本当に当たり前にしていることが、当たり前でなくなる時に、これほど人は苦痛を感じるのかと、自分ながらに驚いた。

電気がつかない、冷蔵庫が使えない、インターホンが鳴らない…。これにより、対応しなくてはならないこと、想定しなくてはならないことが、予想以上に自分達に襲い掛かってくる。

普段の当たり前の生活が、どれ程有り難いものなのか、本当に実感させられた。

 

電気の有り難味は、僕自身、小中学生時代のボーイスカウトのキャンプでも、痛感させられていた。

長期休みの度に、団主催のキャンプがあったのだが、中でも夏休みの5泊6日のキャンプは、絶望的に過酷なキャンプであった。

特に、下の学年当時で行ったキャンプは、正直地獄を見た思いであった。

通常の現代生活からの完全断絶。昭和の時代であったので、もちろんスマホもインターネットもなかった。しかも、うちの団は極めて厳しく、ストイックであることが京都市内でも有名で、お菓子を持っていくことも全く許されず、毎日本部から配給された食材のみで食事を組み立てていくしかなかった。

しかも、火焚きについても固形燃料系の道具は全て使用禁止で持参できず、「立ちかまど」を縛材(木材)と荒縄で組み立てて、薪を集めて火焚きをしなくてはならなかった。

当時の班のリーダーがあまり技能的に優れた人ではなかったので、キャンプ中に「立ちかまど」が傾いてしまい、途中から上手く火が焚けなくなってしまった。

この時、普段からベーコンを生で食しているという、強者の先輩がおり、それじゃ生で食べるかと言ったことになり、僕と同期の2人は、数時間後に漏れなく恐ろしい腹痛で、地元の病院の救急外来にお世話になってしまった。

 

また、上手く食品ロスを出さないようにすることができず、そのごみ袋をリーダー達に見つけられてしまい、下っ端の2人で、この恐ろしい量の生ごみを自宅まで持ち帰らざるを得なかった。

 

こう書くと、とても今の時代では考えられないことだらけであるが、本当にこの悪夢のようなキャンプから帰ってきた後、家でクーラーの部屋で先輩に怒鳴られることなく、やっとホッとすることができたことの記憶は、未だに忘れられない。ただ一方で、キャンプ中、本当に多くのことが技能不足で上手くいかなかったことから、この技能がないということの恐ろしさと不快さをまざまざと感じ、それは帰宅後も心の奥底にネットリと泥のように残っていて、何日経ってもなかなか拭えなかったことも印象的であった。今から思い返すと、その10代前半の子供としては過酷な大失敗の経験が、後に同期2人でともに「菊章」獲得までスキルアップしていった原動力になっていたのかもしれない。

この、当時の5泊6日のキャンプは、思春期間もない少年にとっては、非常に途方もなく長く感じた。そして強烈なホームシックをずっと感じていた。

 

翻って、現在も停電されている住宅の方々は、多くの場合、我が家が損傷されている方もおられると思う。そういう方々は、いつ落ち着いてエアコンの効いたところで、ゆっくりお風呂にも入って、ホッとすることができるのであろうか。大きな心のキズはいつになったら癒されていくのであろうか。

 

まずは1秒でも早く停電も断水も解消され、しっかりと自宅の復旧、町の復興に向かうことができるように、心から祈るばかりである。

先日、順天堂時代に大変お世話になった弘世貴久先生のご講演を久々に聴ける機会があった。

しかも、テーマは「グリニド薬」。僕らにとっては、非常に思い入れのある薬剤であり、これからの薬剤であるとも考えている。

 

弘世先生は現在、東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野の教授をされている。前職は、順天堂大学糖尿病・内科の助教授で、医局長もされておられ、その頃は本当に様々な点において大変お世話になっていた。

そして、順天堂時代には、数々の臨床論文を大学院生に書き上げさせ、「順天堂糖尿病学」と巷で言われるようにもなった、糖尿病臨床の礎を作られた立役者の一人である。

 

「グリニド薬」は糖尿病薬市場では、長年かなり隅に追いやられているような状態の薬である。しかし、この薬は「糖尿病内科医の働き方改革」を行う上では、無くてはならない薬剤だと私は考えている。

 

それは、かつて弘世先生の指導の下、我々が行ってきた臨床研究を基に、「夜間低血糖を起こさない治療臨床現場にて徹底したことにある。

 

「グリニド薬」は、インスリン分泌促進薬であるが、SU薬と異なり、夜間低血糖を起こしにくい。このため、地域の開業医の先生方に、患者さんを逆紹介する時も非常にスムースで、その後も低血糖症で救急搬送などのトラブルが非常に少なくて済む。

しかも、食後高血糖を是正してくれるため、超速攻型インスリン注射からの離脱時に、非常に有用である。

 

これにDPP-Ⅳ阻害薬やα‐グルコシダーゼ阻害薬を併用することで、さらに食後高血糖を抑えることができ、さらに超速攻型インスリン注射の離脱成功率は上昇する。

 

この「グリニド薬」とDPP-Ⅳ阻害薬が食後高血糖の抑制に有効であることを臨床研究で発表したのが、弘世先生を中心とした論文達である(Kudo-Fujimaki K, Hirose T, Sato F,et al; J Diabetes Investig. 2014 Jul;5(4):400-9., TanimotoM et al.; J Diabetes Investig. 2015 Sep;6(5):560-6.)。僕もまだ本院で仕事をしていた頃で、その臨床研究に僕の患者さんにもどんどん参加していただいていた。

 

順天堂大学静岡病院では、医局員4人で、患者さんが夜間低血糖を起こさなくてよいように、徹底的に治療薬の変更を行った。この結果、我々が診療していた患者さんの中で、2型糖尿病患者さんの年間低血糖搬送は、4件まで減少した(片平雄大, 佐藤文彦 他、日本糖尿病学会中部地方会(静岡) 2015)。

 

この様に、2型糖尿病患者さんの治療法も大きく変革し、しかも2型糖尿病患者さんのQOLを上げる治療が可能となってきた。そして今後、女性医師が増える等、今まで以上に医療現場においても「働き方改革」が強く求められる時代になってきている。それを可能にするために、「グリニド薬」は「糖尿病医療における働き方改革の鍵」となる薬剤であると考えられる。

 

久しぶりに弘世先生ともお会いでき、昔話にも花が咲き、楽しい時間を過ごすこともできた。本当に有り難いことである。

今回の文天ゼミは、「がんの早期発見と治療の新展開」と言うタイトルとともに、「血液1滴で13種がん検出・リキッドバイオプシー」というサブタイトルのセミナーであった。

最近流行りの血液診断のビジネス系の話しかと思っていたが、実際の内容はどっぷり基礎医学であった。

初めて知る内容ばかりであったため、かなり気合を入れて聴いていた。

お話しいただいたのは、東京医科大学 医学総合研究所 分子細胞治療研究部門 教授の落谷孝広先生だった。

 

血液1滴でがんを診断と言われると、だいぶいかがわしい商売かと思えるが、これを可能にしているのは、様々ながん細胞は各々、exosome (細胞外小胞)内にタンパク質やmicroRNA、mRNAなどの機能分子を積み込み、近傍や遠隔地にいる細胞へとメッセージを送っているとのこと。このメカニズムについては、国立がん研究センターのHP上でも紹介されている。

https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/molecular_and_cellular_medicine/ochiya/project/010/20170908133652.html

 

そして、このmicroRNAは、各がん細胞によって異なることが分かってきており、これにより採血にて、様々ながんの早期発見が可能になってきたとのこと。しかも、その感度・特異度は極めて高いことが分かってきた。

 

乳がんの脳転移には、microRNA-181c が関連(Tominaga et al.; Nat Commun 2015 Apr 1;6:6716)しているとか、卵巣がんが腹膜播種していくメカニズム(Yokoi Nat Commun. 2017 Mar 6;8:14470.)など、素晴らしい論文をインパクトファクターの高い雑誌に数多く載せておられた。

 

今後、「対外診断薬」として、市場に出てくることになると考えられるが、これを「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されているとのこと。これは、厚生労働省の働きかけにより、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)での審査期間の短縮を図り、一定の要件を満たす画期的な新薬などに、この指定を受けさせるようにしているそうだ。

 

今後、健康診断や人間ドックの検査項目の中に入ってくると思われる。ただ、どの様にすれば上手く組み入れていけることができるか、我々職域医療職も含めて、知恵を出し合い、上手に産学連携を取っていく必要があると考えられる。

これが実際に多くの人で利用できるようになると、がん領域の診断や治療がドラマティックに変革していくことになるかもしれない。期待したいものである。

前回、ブログで取り上げた経済産業省の江崎禎英氏の講演会の場所は、港区三田いきいきプラザという、山手線内のビル街のところにあった。

講演会が終わって、エレベーターに乗った時に、驚いたころに農作業の格好をした男女3人と鉢合わ

せした。
都会のど真ん中ではあまりにも異質な格好だったので、我々が不思議そうな顔をしていると、「実は

このビルの屋上で蜜蜂を飼育しているのですよ」とのこと。「もうすぐ発売になるので、是非どうぞ!」

とも言われていた。

よく、屋上で農園を作って、家庭菜園するような映像は見たことがあったが、養蜂場はちょっと想像していなかった。

 

話しはそれで終わったかと思っていたのだが、9月5日の日本経済新聞東京地方版に、このハチミツについて紹介されていた。写真も掲載されていたが、そのパッケージはかなりオシャレな感じで、さすが東京という感じである。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190905&ng=DGKKZO49397870U9A900C1L83000

 

東京・港区のハチミツとは、一体どんなハチミツなのだろうか? ここまで来ると、ちょっと興味が湧いてきた。そして、このことをFBにアップしてみたところ、面白い情報を次々に教えていただいた。

まず、IBMオケのFg奏者の宮川さんからは、銀座のビルの屋上で養蜂するプロジェクトもあるよと、すぐさま投稿していただいた。さすが物知り!! http://www.gin-pachi.jp/owner

そして、先日見事に産業医専門医試験に合格された佐々木由希世先生からは、「都会からツバメが消えて行く傾向にありましたが、近年ビルの屋上で養蜂するようになってから、蜂をエサとするツバメが戻って来つつあるらしいです。」とのコメントをいただいた。やはり産業医専門医は、世の中のことをいっぱい知っておられる!!

 

色々な人達が、様々な思いを胸に、都会のど真ん中でこの様な自然に対しての取り組みをされていることを、ひょんなことから勉強することができ、少しほっこりする気持ちにもなれた。

こんなことも知らずに「ボーっと生きてしまっている」自分に、チコちゃんに叱られると思いながらも、もっと広く世の中のことを知り、自然環境の分野でも多くの人達と交流できるようにしていけたらなと思った。

 

そして是非、この蜂蜜、どんな味なのか食べてみたい!!

日本の医療も大きく変化しようとしている。ただ、どの様に変わっていけばよいのか。その大きなヒントになるような考え方を、経済産業省の江崎禎英氏のご講演で多少なりとも得ることができたと思う。

タイトルは「健康・医療情報の活用 ~疾患の性質変化と医療の在り方~」。江崎氏の肩書きは、経産省商務・サービスグループ政策統括調整官、兼 内閣官房健康・医療戦略室次長、兼 厚生労働省医政局統括調査官と、正しくスーパー官僚の名が相応しい活躍をされている。

そして、お話しも非常にインパクトのあり、かつ、将来の日本を如何にしていけばよいのか、方向性を示してくれるようなお話しであった。

 

ご存知の通り、日本は少子高齢化社会の極みのような状態になっているが、実際には高齢化率が28%を上回り、「超超高齢社会」と表現することが正しいそうだ。しかし、これは日本の医療レベルが高く、平均寿命が延びていることから、ある意味必然であるとの考え方を示された。そのため、むしろこのことを歓迎し、「健康長寿社会」を達成するために、還暦以降の人達が「自立した生活の確立」「存在意義を感じられる」生活を送るために、「与えられた時間を如何に楽しく、健康に⽣きるか」が大切ではないかと話されていた。

そして、今後は60歳代だけでなく、70歳代・80歳代であっても、元気であれば緩やかに働き続けてもらい、50歳代までの若い世代がより活躍していってもらえるように「ハイブリッド型の社会」を構築していくことが重要と仰っていた。

 

そして、「公的医療保険」「公的介護保険」は、もうすでに高額になり過ぎて、医療機関や介護施設が売り上げを伸ばすということが困難な環境になってきた。一方で、公的保険を支える公的保険外サービスの産業群である「ヘルスケア産業」は2016年の段階ですでに25兆円規模まで拡大してきており、しかも試算によると2025年には33兆円規模まで膨れ上がっていくと予測されている。

そういった意味でも、医療機関で「治療」を行っていた医療者は、ドクターを含めて必然的にどんどん、国民の健康保持・増進のために、この「ヘルスケア産業」分野で活躍していくことが求められるともお話しされていた。

 

このため、「企業内に産業医が必須であるのと同様に、保険組合にも顧問医が必須になるような組織体制を築いていただきたい」と私から質問をさせていただいた。すると「そうなっていくことは必然な状況に、日本はなっていくのではないでしょうか」とお答えされていた。このように直接勇気づけていただけて、大変嬉しく感じた。

私自身は現状、まだまだこの「ヘルスケア産業」分野では異端児であるが、そう遠くない未来には、この分野で働く糖尿病専門医もかなり多くなるのではないかと感じた。そういった意味においても、私自身が様々な方々とコラボレーションさせていただきながら、「ヘルスケア産業」分野の成功事例を積み上げて、発表・アピールしていけたらと思う。そして、この日本のハイブリッド型社会が、日本のこれからの社会を好循環させていければよいなと、心から思う。