10月 2018

今週、東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生のご講演を聴く機会があった。

タイトルは「和食の神髄」。

日本は古くから、和食の主材として、菜っ葉、青果、山菜・茸、豆(大豆)、海藻、穀物(米、麦)といった植物を食してきたため、生粋のベジタリアンとも言えるとのこと。

もちろん、魚も食することはあったが、これらの植物を実に上手に料理してきた。特に、良い水を用いながら、甘い・辛い・酸い・苦い・塩辛いの五味の他に、「旨い」を加えて六味の味覚を大切にしてきた世界唯一の民族であるとのこと。

 

先生のご専門分野である発酵については、日本は発酵食王国と言えるほど、様々な発酵食材を上手に利用してきたことをご紹介されていた。

印象的だったのは、糀は国字。麹は漢字。麹はすでに明の時代に無くなってしまったとのこと。日本人は特に米を発酵させて、味噌や日本酒などを作ってきた。そういった意味では、「糀」の文字を使用することが日本人らしいのではないかと指摘されていた。

 

さらに、日本の中で何度も大飢饉に見舞われた歴史があるが、その時の絵図を見ると、「やせた犬」もよく描かれているとのこと。犬を食することなく家族の一員としてともに飢えを凌いできた、日本人のやさしさも強調されていた。

 

そして、驚いたことは、江戸時代などでは、捉えた鯨は、骨を利用して橋などにも使われていたほど、捨てる箇所も全くないほど大事にしていた。しかも、捕鯨された1頭1頭それぞれに戒名までつけていたとのこと。そういった精神を今後我々も継承していく必要があるのではと、考えさせられた。

 

紹介された写真などは、パワーポイントではなく、懐かしいOHPであったことにはちょっと驚いたが、ご講演も絶妙なサプライズを交えた軽妙なトークで、本当に楽しく聴かせていただいた。

ご講演後、名刺交換をさせていただいたところ、やはりメアドは記載されていなかったが、住所とその電話番号が記載してあったのは、これまた今の時代、驚きであった。

どうぞ、トラブルなど悪用されませんように…。

先週末、医局同門会の講演会である「お茶の水代謝内分泌懇話会」に行ってきた。

毎年恒例で、現役医局員や同門会の先生、そして教授自ら最近の医局の動向を踏まえたお話しをしていただける。

 

以前と比べると、国や製薬会社等も含めた研究費の確保が明らかに厳しくなってきているとのこと。一方で医局員は増えてきており、大学院生のやり繰りなどは大変そうであった。

しかし、業績は相変わらず素晴らしいものがあり、特に田村先生率いるスポートロジー研究は、自他共に認める日本を代表する健康・生活習慣病についての日本人における臨床研究であることが改めて認識された。

 

現役の医局員はもちろん、同門会の先輩・後輩方とも色々お話しすることができ、医局を離れた身としては、非常に貴重な時間であった。

 

私の様な現在の働き方は、今までの医者の中ではなかったものなので、多くの先生方に興味を持ってもらった。健康増進を推し進め、職域の働く人達と医療機関とを今まで以上に結び付けていくという、実際に世の中に必要な領域であることも多くの先生に予想以上に認識していただいた。実際に、今後上手くやっていくことができるかは本当にわからないが、一層何とか頑張っていきたいと考えている。

今週、お世話になっているクリニックの先生が主催されている飲み会に参加させていただいた。

この飲み会は、医療関係者はあまりおらず、男ばかりの飲み会である。集まったメンバーは、このクリニックを建てた時の建設業者さんやデザイナーさん、税理士さん、門前薬局の方などである。

 

普段どうしても、飲みに行く時も医療関係者と一緒のことが多いので、この様に様々な職種の方々とお話しできることは非常に貴重である。

やはり医者は医療現場にずっといることが多く、正直なところビジネスや社会的常識感覚に疎くなっているとことがある。

 

今回は、お互いごあいさつ程度で、特段これといった内容の話しはしなかったが、また時々参加させていただいて、色々情報交換などして、大いに刺激を受けたいと思っている。

先週末、産業医科大学の浜口伝博先生に来年度から改正される労働安全衛生法等について、分かりやすくご講演を聴かせていただいた。

 

これまでの経緯として、国が産業医についての権限強化を行ってきたことを、昨年6月に改正された労働安全衛生規則の内容などを示しながら教えていただいた。

 

そして、来春から労働安全衛生法に新たに、産業医に関する文言が加えられたり、新設されたりすることを、その考え方も含めてお話ししていただいた。

これにより、「事業者は、産業医のアドバイスを受けながら、労働者の健康相談を受けることができるような体制の整備としくみを構築しなければならない」ということが、より明確化されたことになると考えられる。

 

なかでも、私自身が印象的だったことの1つは、ストレスチェックに関して、きちんと「産業医は医学的立場に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない」と法律上示されたことである。

これにより、従来の「名義貸し」だけで産業医となっていた医師も、今後産業医を続けるためにはストレスチェック等の対応に関わらざるを得なくなってくるであろう。

そうした時に、少なからず責任も生じてくるため、今までの様にはいかなくなってしまう。そういった意味では、きちんと産業医業務ができる産業医のニーズが来年以降、さらに高まっていくかもしれない。

 

また、高度プロフェッショナル労働者についても、明文化されてあるとは知らなかった。高度プロフェッショナル労働者はしっかりと客観的な労働時間の把握を行う必要があり、月の残業時間が100時間を超えたら、産業医面接指導を行わなければならない、ということだそうだ。

 

まだまだ世の中全体には周知されていないと思われるため、今後混乱することもあるかもしれないが、働き方改革の一環として、日本がどの様に変わっていくのか否か、注目していく価値はあると思う。

先週末、東海大学医学部公衆衛生学教授の立道昌幸先生のご講演を拝聴させていただいた。

 

立道先生は、産業医科大学をご卒業後、東京都済生会中央病院等で臨床研修を積まれ、その後ソニー株式会社の専属産業医等、数々の企業の産業医としてもご活躍されてきている方です。

実は、私が東京都済生会中央病院で研修医だった頃は、まだ内視鏡検査を担当されていたとのことで、実際に何度かお世話になったことがあったと思う。

 

今回のご講演では、これからの時代、“産業医は予防医学の実践者”であると仰っていた。

今までの公衆衛生の歴史的な経緯を踏まえて、なぜ世の中が産業医に期待する様になってきたかについて、分かりやすく説明していただいた。

特に、多くの企業では間接部門の縮小・分社化が余儀なくされ、本物の人事マンが減少した。一方で、うつ病だけでなく、発達障害や人格障害といった、別の精神疾患を持つ社員の対応にも追われることも多くなり、必然的に多くの企業が産業医を頼らざるを得ない状況になってきている。

今までは法律に従って産業医活動を行ってきたが、今後は“予防医学の実践者”として、産業医がガン予防や遠隔診療の効果などについてデータをまとめ、公衆衛生的なエビデンス(EBPH)を構築し、それを学会等で発表し、これらを基に必要であれば国内の法律や制度を変えていくアプローチを行うことが必要だとお話しされていた。

 

ただ単に産業医業務をこなすだけでなく、“予防医学の実践者”としての自覚をもって、もっと広い視野で産業医活動を行っていくことが大切であることが、改めて認識できたことは、私にとっても非常に有意義であった。私自身も少しずつ学会発表等も行い、何かしら情報発信していける様に頑張っていきたいと考えている。

来月12日に、保健師さん向けにインスリン治療の講義を行う予定だ。

http://www.medical-tt.co.jp/seminar20181112/index.html

 

現在スライドを作成しているのだが、色々なサイトに参考になる資料がないかインターネットで調べたりもしている。そこで、インスリン治療の話しをする上で、大切なサイトを見つけた。

 

患者さんが実際にどのインスリン製剤を使用しているか、医療者が正確にキャッチアップすることは、初診外来においても、産業医面談や保健指導を行う上でも、当然ながら非常に重要なポイントである。

 

ただ、7年前の東日本大震災の時には、避難してきた人々が、実際に自分が服用している薬を持ち出すことができず、しかもおくすり手帳も持って来れないままに避難所に駆け込まれた方も多くおられた。このために、持病の治療が否応なしに中断せざるを得ない状況になった。

 

この反省を基に、糖尿病治療においても、今後極力そのようなことがない様に対策を求められた。

そこで、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は、震災以降、インスリン製剤一覧表を、各インスリン製剤メーカーの協力を得て、無償でインターネット上にて公開するようにした。

その後も、基本的に毎年、このインスリン製剤一覧表は更新して新しいものになっていった。

今年8月にもさらに改訂され、いつでも日本糖尿病学会のホームページ上で閲覧できるようになっている。http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=25

 

メーカー各社の垣根を越えて、全てのインスリン製剤が記載されているため、震災等の災害時だけでなく、通常の診療時や産業医・保健師面談時にも、正確な服薬指導や保健指導を行うためにも、是非積極的に活用していきたいものだ。

文化庁の検討会議が実施した文化部活動実態調査によると、中学校と高校の吹奏楽部の半数近くが、土曜日に5時間以上活動するなど、一部で練習が長時間に及んでいることが分かった。コンクール出場に向けた準備などが理由と考えられるとのこと。

文化庁は、生徒や教員の負担軽減のため策定中の文化部活動に関する指針に、休養日や活動時間に関する目安を盛り込む方針だという。

先月19日の毎日新聞や、今月14日の日本経済新聞朝刊でも報道されていた。

 

正直な感想を言わせていただければ、非常に妥当な調査結果だったと思う。

実際に私が吹奏楽部に所属していたのは、もう30年も前の話しなので、最近の現状は具体的には分からない。

ただ、都道府県の代表になり、地方大会の代表になり、全国大会出場をしていくためには、今の時代においても、どうしても相当の練習量をこなさざるを得ないと思う。

 

私の所属していた高校の吹奏楽部は、当時の強豪校としては珍しく、平時の日曜日は休みだった。ただ、授業が有る無しに関わらず、毎朝8:00きっかりからラジオ体操を部員全員でグランドに円形になって行い、夜は20:00までは音出し練習していた。

朝は8:00前に必ず部室について、着替えたり楽器を出したりしていたし、夜も音出し練習後も、細々とコンクールの準備や定期演奏会の準備などを行っていた。このほとんどに当時の顧問のM先生はずっと付き合ってくれていた。

今更ながら考えると、M先生も本当によく、物分かりの悪い男子生徒たちに年がら年中、一生懸命に情熱を注いでくれたものだ。

毎月の勤務時間・残業時間は、今でいうブラック企業の域をさらに超えた数字になっていたに違いない。

 

正直、練習時間のとてつもない多さに辟易して、高校卒業時、二度と楽器はやらないと心に誓っていた。

それが3年後に覆ってしまい、結局いまだに楽器を吹き続けているのだが…。

 

結果を出すためには、センスがないなら練習しなければ上手にはならない。しかし、それがエスカレートしてしまうと、いつまでも中高の吹奏楽部の練習時間は短くならない。

どういう風に落としどころを見つけていくか、本当に難しい課題であるが、10代の若者達がハッピーになるような制度になっていけば良いなと切に思う。

先週末、同級生R君の結婚式に出席した。

この年齢になると、同級生の結婚式はだいぶ久しぶりであった。

 

実際に出席してみて、やはり30歳前後で結婚式を挙げるのと、40代後半で式を挙げるのでは、だいぶ雰囲気が異なっていた。

そもそも30歳頃は、男といえばみんな良くも悪くも血気盛んで、友人等の結婚式にも興味津々であった。しかし、40代後半ともなると、結婚式・披露宴への参加もだいぶマンネリ化してきており、しかも、結婚式・披露宴といえば、自分のことというよりも、自分の子供のことに当てはめて考える様になってきてしまう。

 

今回、チャペルでの結婚式にも参列したのだが、あの新婦の父親がしなければならない儀礼は「何と残酷なのだろうと」思わず思ってしまった。

自分の育ててきた娘を新郎に渡していく。それを体現する儀式。ある意味、子離れを明確化させ、父親に改めて自覚させるためのものであるのかもしれない。

 

また、今回は、同級生R君がプロポーズした時の映像も披露宴で流された。列席していた他の同級生とは、「俺たちの時代とはだいぶ趣向が変わってしまっている」などと毒づきながら、R君のアツアツぶりを祝っていた。

R君は、学生時代本当に優秀で、同級生一同、本当に彼のノートには大変お世話になった。性格も温厚で、みんな今まで口々に「早く結婚したらいいのに」と本心で彼に話しをよくしていた。

今回、無事に結婚できて本当に良かったと思う。

 

R君、結婚おめでとう!

今週、「産業保健x遠隔医療の未来予想図」といったタイトルで、千葉大学の吉村健佑先生のご講演を聴かせていただいた。

現状の遠隔医療についてだけでなく、この制度が施行されるまでの経緯や、今後の医療者のコミュニケーション能力のあり方まで、幅広くご講演いただいた。知らないことがたくさんあっただけに、大変勉強になった。

 

遠隔医療といっても、診療報酬があり保険収載されているオンライン診療と、それ以外の遠隔診療についての違いも分かりやすく解説していただいた。特にオンライン診療については、今年3月末にガイドラインが作成され、オンライン診療料が算定可能な患者についてやその施設基準・保険点数などについても解説していただいた。

 

また、産業保健の中で遠隔での面接指導をどの様に実施していけばよいか、明確になっているところとそうでないところについてなど、対象者や面談環境などファジーな部分も私見を含めて説明していただいた。

 

 

話しを聴いていて、最終的には患者さんや社員の方々のために、どの様に遠隔医療を上手に役立てていくことができるかということを、我々医療者は今まで以上に真剣に考えなくてはいけないなと感じた。

そして、産業保健からの観点としては、遠隔医療を利用することによって、健康経営や企業の成長にいかに繋げていけるかを考える必要があると思う。

 

遠隔医療は色々な発展形が考えられる分野でもあるので、本当に有効であるのかしっかり検証しながら、もし有用なのであれば、前向きにきちんと議論を日本の中で進めていきたいものである。

皆さん、この本(魔法のコンパス;主婦と生活社)をご存知だろうか?

西野亮廣著といって、僕の世代ではあまりピンと来ないのではないだろうか。

梶原雄太と「キングコング」という漫才コンビを組んでいるお笑い芸人の方です。顔写真を見れば、見たことはあると思うが、それをわざわざブログでコメントするほどのことでもないのではと思われる方も多いかもしれない。

 

私自身、彼が監修した絵本が絶賛され、発行部数もかなり多かったとのことで話題となり、テレビ取材もされていたので、少し気にはなっていたので、今回ちょっと気楽な感じでこの本を読んでみた。

 

読み進めていくうちに、この人はどこまで本気でこの文章を書いているのだろうと、疑いたくなる心境が湧いてきた。それは、本文の内容があまりにも世の中に対し挑戦的であったためである。

著者がバラエティー番組に出演した時に、他のお笑い芸人達が、「西野のコメントはよくネット上で炎上している」と言っていたが、普段テレビで本人のお顔を拝見すると、とても挑戦的でしかも頻回にネット上で炎上している様な風貌には見えず、非常に穏やかな方にしか見えなかった。

 

しかし、この本の中には、かなりインパクトのある言葉がたくさん詰まっている。

あまり紹介はできないが、絵本を企画する段階で「確実に赤字が見込める作品を作ちゃえばいいじゃん」や、「本当に見せたいものを2番目に置く」など、かなり独特かつ強かな考え方の持ち主であることが伺えられる。読み始めは正直抵抗がなくはなかったが、一貫して信念を持ち続けて独自の発想で行動していることがわかり、ビジネス書としてもかなり参考になる点が数多くあった。

 

この本を読み終えて、是非、今後もどんどん今までにない超ユニークな企画を企んでくれそうな西野亮廣氏に、注目していきたいと思うようになった。

そして、彼が行動することによって時代が面白い方に動いていく、そう人をワクワクさせることができる人物ではないだろうか。