名古屋での第92回産業衛生学会に参加してみて

先週、ブログの更新ができていなかった。

というのも、先週、名古屋にて日本産業衛生学会でのポスター発表があり、週末、前職の会社のオーケストラの定期演奏会があり、週が明けてやっと落ち着いた状況になれた。

今週は、先週分も併せて、4日連続で更新していこうと思う。

 

 

学会参加の感想としては、非常に勉強になったという思いだ。

内科系の学会と比べ、非常に実生活に直結した話が多いので、そもそも聴いていてイメージが湧きやすく、一市民としても興味深い内容がたくさんあった。

 

学会には今までも何度も行っているわけだが、普段、学会に行っても、あまり学会長や理事長先生の基調講演系を聴きに行くことはしない。しかし、今回はまだまだ産業衛生学会がどんなものかの様子が分からなかったので、珍しく聴きいてみた。

基調講演の演者は、今回日本産業衛生学会理事長に再選された、東京大学公共健康医学教授の川上憲人教授。お名前は存じ上げていたが、お恥ずかしながら、お顔やどんなお話しをされる方かは全く知らなかった。

 

実際にご講演を聴き、非常に感銘を受けた。

この学会も今回で92回目、もう少しで100周年を迎えていくとのこと。川上先生は、100周年を迎えていくにあたり、この学会がどの様にさらに発展すべきかといった観点からお話しをされていた。

 

特に強調されていたことは、「すべての労働者のため、Teamとして産業保健を推進し、産業保健の質にCommitする」というものであった。そのためには、近年「産業保健ニーズの高度化」が年々求められるようになり、「根拠に基づく産業保健」を推進し、そう言ったことを「学会は、情報社会への発信が必要」であることなどを強調されていた。

そして、新しいリーダーシップを考えていく必要があるが、「リーダーシップとは、ビジョンを現実にすること」であり、今後は経営者や管理職といった人達だけでなく、誰もがリーダーシップを発揮し、ダイバーシティの観点から物事を考えていく必要があるということも仰っていた。

図らずも、あらゆる面においてのコミュニケーション向上の必要性を訴えられていたことは、非常に印象的であった。私が、今、産業保健分野や医療機関に対して、「より高度なコミュニケーション」についてアプローチしていこうとしている中、産業衛生学会のトップも同じ認識を示されたことは、大変意義深いと考えている。

 

最後に、全ての事業所で「Team産業保健を設置へ」とも話され、日本中どこで働いていても質の高い産業保健が享受できる社会を目指していきましょうとのことであった。

確かに、現在は50人以上の事業所しか産業医の設置義務はないが、実際にはどんどん新しいベンチャー企業も立ち上がってきている。このため、人数的には小規模な事業所でも、質の高い産業保健が享受できるようになることは非常に大切なことである。

 

こういった、組織のトップが、明確に、しかも前向きな未来に向かったビジョンを示されることは、非常に素晴らしいことだと思う。