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今年7月に発売された「実践 BCG流病院経営 ―バリューベース・ヘルスケア時代の病院経営」(ボストンコンサルティング グループ 医療機関チーム 著;エルゼビア・ジャパン)を読んでみた。

 

これは、病院経営者にとって必読書だと思う。

またまた不勉強で恐縮だが、「BCG流病院経営戦略 ―DPC時代の医療機関経営」(2012)という前著もあるそうだ。

 

この本の中で、まず、日本における病院経営は急速に悪化していることを明示していた。そして、今後予想される政策の方向性として、適正な病床機能や病床数への誘導、自治体による国民医療費の管理、アウトカム(医療の成果)データ活用による医療機関の競争促進を挙げている。先進諸外国では、バリューベース・ヘルスケア(Value-Based Health Care)という、人件費や薬剤費といった、医療にかかる投入コストあたりのアウトカム(患者にとっての実際の成果)を最大化するという考え方・政策が導入され始めているとのこと。

 

日本でも、こういった取り組みが、令和の時代には求められて来ており、政府専門調査会(2015)から2025年の医療提供体制改革に向けて、事業モデルの方針転換を行っていく必要性が訴えられている。

日本の人口動態が年々変化し、高齢化社会がピークを迎えていくにあたって、将来的には全国的に20万床が過剰となり、一方で、回復期病床は27万床以上増やさなければならないとのこと。

このためには、地域内の競合施設と差別化して、競争優位性を築くために、「脱・総合病院化」を図り、自病院の強みを磨く必要性があると主張している。そのためには、医療機関の統廃合も視野に入れるべきだとも述べている。

 

また、済生会熊本病院をはじめとする熊本市内の急性期病院がそれぞれの医療機関の強みを生かし、疾患領域毎に役割分担を行っている「熊本方式」や、県立日本海病院と市立坂田病院を統合した日本海総合病院の設立などが、地域連携で成果を上げている成功事例として紹介されている。

そして、これらの様な地域内連携や介護連携が、今まさに日本の中でも強く求められていると強調している。

 

さらに、臨床現場から経営陣までの一気通貫した目標・指標を持つことが大切であるとも指摘している。また、医療機関や地域ごとに医療アウトカムのバラツキがあり、それをこれからの時代は明確に評価・比較検討し、そのバラツキを解消していくために、診療報酬アップといったインセンティブ付与などを行い、医療レベルを行って医療アウトカムを向上させている医療従事者が報われる制度設計の必要性も唱えている。

いずれも、非常に的を得(射)ていて、さすがコンサルティング会社だと感じた。

そして、日本の「世界に冠たる健康・医療提供システム」をこれからの時代に上手くマッチングさせ、「医師の働き方改革」「地域医療構想」に加え、今の時代だからこそできる最先端のヘルスケアITシステムも上手に活用し、これからも日本全国で質の高い医療が提供され続けられるように、様々な職種が医療と連携して、日本をさらに豊かな国にしていければと願う。そして、それは十分可能なことであるとも、私は考える。