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「社長の「まわり」の仕事術」(上坂徹;インプレス)を読んでみた。これも、なかなかに衝撃的な、今までにない内容となっており、お薦めの1冊だ。

 

タイトルを見て、社長室のまわりにどんなものが置いてあるのかという内容かと思ったが、違った。

これは、社長を支える主要な部下の方々をピックアップして、その人達が、普段どの様にして社長とコンタクトをとりながら、仕事をしているのかということを、ひたすらインタビューしてまとめた内容となっている。

著者は「はじめに」に、「世の中のほとんどの人は、「社長のまわり」の人」だということに注目した」と述べている。そして、通常のビジネス書の読者は、経営者について書かれた本よりも、「すごいと言われる経営者のまわりには、「デキる」人達がおり」その人達にこそ学ぶべきではないかという発想のもと、この本を企画そうだ。

 

そして実際、6社の「社長のまわり」の人にロングインタビューを行っている。その内容が「衝撃的」で、たくさん学ぶことがあった。そういった意味で、過去になかった内容の本に仕上がっている。

 

読んでみて、いずれの企業の「社長のまわり」の人達も、とにかく常に社長の動向を隈なく観察し、話しかけるタイミングやメールするタイミングを細かく見定め、絶妙なタイミングで社長にメールしたり、ミーティングを開くように、常に細心の注意を払っているということが、非常に印象的であった。実に上手によい意味での根回しも行い、そうしていくことによって、時を逸することなく新しい事業に舵を切ったり、プロジェクトの方針転換を可能にさせたりすることができる。

 

口々に、この「社長のまわり」の人達が言っていることが、「「無理です」と最初から断らないようにしている」「要件は手短に、結論から話す」「スライドは1枚にする」など、本当に大量の情報をどの様に社長と共有しながら、的確に処理・発展させていくか、日々、様々な工夫とコミュニケーションを取っておられるということが、ひしひしと伝わってきた。そうすることによって、社長が的確にかつ即決することができている。

そして、最初は半信半疑であっても、徐々に社長に共感し、そしてリスペクトし、そして自分も進化していくという、本当に理想的な上司と部下の関係が築けていることが読み取れる。

 

中川政七商店の緒方恵・デジタルコミュニケーション部部長の言葉に象徴されているように、「どうして、これほど成長してきたか」の理由として、「ビジョンの強さ」を強調している。「社長はひたすらビジョンを言い続ける」「各社員は、タスクを細分化してこなしていく訳だが、それが何に繋がっているのかという話しをみんなでし続けて、常にビジョンに立ち戻る」ことを挙げている。「ビジョンに共感しているからこそ、モノづくり・店づくりのレベルが以上に高い」とも語っている。さらに「『これは社長はどう思うかな』という主語で議論がなされたりしたら危ない。お客様を主語にしないといけない。内向きの話しが多くなる企業は、組織として黄色信号」とも話している。そして、「「あそこの人材配置悪いよね」「あっちのチーム、ラクしてない?」なんて声が出てくると危険」だと言う。

 

よく、「ビジョン」が大事と言われるが、ここまで具体的に「ビジョン」の大切さを明確に表現していることは、なかなか簡単ではない気がする。やはり、実際の成功事例を見ることによって、たくさん学ぶところがある。

 

 

そして、この本を読んで非常に感じたことは、「「フォロワーシップ」の具体的な成功事例を垣間見ることができた」ということ。

「フォロワーシップ」を提唱したのは、カーネギーメロン大学ロバート・ケリー教授で、著書「The power of followership(指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ) 」の中でフォロワーシップとその概念について説いている。組織における業務の成果に対してリーダーの影響力は10~20%に対してフォロワーの影響力は80~90%と大きく、成果の大きさはフォロワーの活動に左右されるとのこと。

 

コーチングやチームビルディングにおいても、「フォロワーシップ」の大切さはよく言われているのだが、やはり、実際の成功事例を見ることによって、この「フォロワーシップ」の影響力の大きさということを実感することができる。

 

いくら経営者が声高に新しいアイデアを発しても、それに付いてきてくれる優秀な部下がいなければ、実現はしていかない。改めて、人の大切さをまざまざと感じさせられた衝撃的で斬新な一冊であった。