インフルエンザについてのエビデンス

先週、防衛医科大学感染症・呼吸器内科教授川名先生の講演を聴かせていただいた。

産業医の仕事を行っていると、会社で一度に多くの社員が休むことになれば一大事となってしまうため、インフルエンザなどの感染症についても、知識を増やしていくことが非常に大切になる。しかし、同じ内科といえ、やはり感染症系となると知らないことも少なからずあるので、今回の講演会は大変勉強になった。

 

まず、実際のワクチン接種の効果がどれくらいなのか、これについても詳しく教えていただいた。

実際に、保険組合ではインフルエンザの補助金を出しているところも多いが、実際にその効果がどれくらいなのかは、よくわかっていない。

今までのエビデンスとして、少なくとも1~65歳未満の世代では、インフルエンザ感染後の重症化を抑制する意味では一定の効果が認められること。特に小児や高齢者のインフルエンザ肺炎などの入院数の減少や慢性的な基礎疾患を抱えている患者さんの増悪を抑制しているとのこと。

 

また今年、ゾフルーザという1回内服すればよい抗インフルエンザ薬が発売となったが、これはタミフルなどとは作用機序が異なることや、ウイルス力価を早期から大幅に低下させることができるとのこと。

ただ、作用機序が異なるだけに、できればまずはタミフルなの従来の薬剤をなるべく処方して、これらに対する抵抗性株が発症した時に、このゾフルーザをできれば使いたいという、専門家の本音も知ることができた。

 

どうしても新薬が出ると、どういった薬剤かは処方してみないとわからないところがあるので、新薬を多く処方しがちだが、今後のことも考えて、むやみやたらに新薬ばかりを処方しない様に注意しないといけないと、今回の講演を聴かせていただいて、改めて自分の中でも戒めようと思った。