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平成30年度診療報酬改定に伴って、不安もしくは不眠の症状を有する患者に対して、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一の成分を同一の1日当たり用量で連続して処方している場合(以下「向精神薬長期処方」という)、処方料・処方箋料が、実質減算されるとのこと。これに伴って、この減算の対象とならないために、「不安又は不眠に係る適切な研修」及び「精神科薬物療法に係る適切な研修」を受けることが必要となってきた。このため、先週、この研修会を受講してきた。

 

演者は順天堂大学静岡病院メンタルクリニック科教授の桐野衛二先生だった。

「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」などに沿って、分かりやすく、薬物療法の休薬などの適正使用について、ご講演していただいた。

なるべく非ベンゾジアゼピン受容体作動薬を使用しながら、睡眠の衛生指導も行って、今後はベンゾジアゼピン受容体作動薬を極力使用しないようにしていく必要があるかも、具体的に説明いただいた。

 

実際に桐野先生自身、順天堂大学静岡病院で、ハルシオンやデパスを採用中止にして、ベンゾジアゼピン受容体作動薬中毒を予防すべく、病院全体で取り組みを行ってこられている。

その取り組んでおられる時期は、私がちょうど赴任していた4年間と重なる。このため、その現場を私も肌で感じながら見ていた。

このご講演の中で、この時の状況を裏話的にお話しされていた。ハルシオンを中止にした時は、ほとんどトラブルはなかったとのこと。

 

ただ、デパスを中止すると宣言された時は、多くの他科のドクターから不安視する意見をもらったとのこと。実際に採用中止となり、他剤に切り替えていった時も、非常に慎重に切り替え、長い方の場合、1年程切り替え時間にかかったとのこと。そして、中毒症状の強い患者さんでは、今でも仕方なく院外処方にてデパスを少量処方している方も実際にはおられるとのこと。

私も産業医として働く様になって、メンタル不調者の面談をすることが多くなったわけだが、未だにかなり安易にデパスが処方されていることを見かける。特に20・30歳代の若い人達にも処方されているケースも少なくなく、彼らが後々デパスを休薬していくことができるのか、正直かなり心配になる。

最近は、抗不安薬も様々な薬剤が登場してきたのだから、是非デパス以外の薬剤から処方を開始してもらいたいなと思う。

 

最後に桐野先生は「”とりあえず使ったことがある薬で”からの脱却」を強く訴えられていた。

私も静岡病院時代に、グリベンクラミドとアマリール3㎎錠を採用中止とした。これも、最近は、糖尿病薬も様々な薬剤が登場してきたのためで、これ以降、低血糖発作で救急搬送される患者をかなり減らすことができた。その経験からも、専門医が信念を持って副作用の強い従来の薬剤の採用中止を判断することは、非常に大切であると私も考えている。

 

「出口を考えて入口を慎重に!!」。我々医師の大切な務めであると感じた。