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先月末、日本医学会総会に出席してきた。

印象的で勉強になったセミナーが、「生活習慣病とリアルワールドエビデンス」というセッションであった。以前から、東京大学糖尿病・代謝内科の門脇孝教授や国立国際医療研究センター病院糖尿病研究センター長の植木浩二郎先生がお話しされていたので、全く知らない話しではなかった。

ただ、近年日本中の臨床データがどんどん集まっていて、それらを解析してみると、今まで我々専門医が想定していたことと異なる結果も出てきていることを報告されていた。

その中でも、鹿児島大学心臓血管・高血圧内科の大石充教授が、一般医の降圧薬第1選択薬選択についてお話しされていたのだが、ガイドラインとはかけ離れた実情が浮き彫りになっていることをデータから示され、かなり驚きであった。

 

我々糖尿病専門医にとって、動脈硬化症予防の観点から、降圧薬の第1選択薬としてアンギオテンシン阻害薬系を処方していることが多い。そして、近年の大規模臨床研究からもその効果も示されており、日本でのガイドライン上も、多くのドクターがそう処方しているはずであろうと考えていた。

しかし、リアルワールドなデータを見てみると、カルシウム拮抗薬とアンギオテンシン阻害薬はほぼ拮抗しているというデータであった。

これには、循環器専門医の先生方もかなり驚かれていた様子であった。

この要因としては、降圧薬の第1選択薬を処方している医者の多くは開業医で、しかも内科系ではない先生方が処方していることも相当数あるとのこと。こういった先生方の中に、内科系のガイドラインがきちんと浸透していないのではないかとも考察されていた。

当然そうであろうと思っていても、きちんと現場のデータを拾い上げて確認してみるということは、やはり大切なのだと、このことからも知らされた気がする。

 

現実の状況を知れたからこそ、それに対して対策を講じることができる。

机上の空論で話しを進めないように、何事もチェックすることは本当に大切だと感じた。

そうすることによって、より日本の医療レベルもリアルワールドでさらによりよいレベルに上がっていくのではないだろうか。