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今月のさんぽ会は、「健康診断の事後措置」の話題であった。

 

普段我々はあまり意識していないが、実は「健康診断の実施は事業者の義務であり、受診は労働者の義務」である。

このため、健康診断に関する法令というものは、我々が思っている以上にたくさんある。

例えば、健康診断の実施だけではなく、その健診結果の結果に基づく医師からの意見聴取は、労働安全衛生法第66条の4に定められている。さらに、健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師からの意見聴取は、同法第66条の3に、労基署報告は労働安全衛生規則第52条にて定められており、これらを遵守しないと、50万円以下の罰金に処せられる場合もある。

 

 

しかしながら、ヘルスデザイン株式会社の産業医専門医でもある坂本宣明先生は、「健康診断の事後措置」の目的としては、こういった法令遵守だけでなく、健康経営の評価指標や在職死亡の防止、労働力の確保、さらには退職後も健康的な生活を過ごせたり、一人一人の幸せな人生のためなど、様々な目的を持ってなされるべきではないかと話しをされていた。正にその通りだと感じた。

 

順天堂大学総合診療科准教授の横川博英先生からは、今年、日本高血圧学会から「高血圧治療ガイドライン2019」が発表され、今まで以上に血圧の目標値が厳格になったことを紹介された。しかし、それまでのガイドラインの中ででも、糖尿病患者やCKD患者の降圧達成率は3割程度と非常に低い状態が続いていることを示された(PLoS ONE 10(7): e0133641, 2015)。ただ、体重管理が行えている人ほど、降圧未達成リスクを改善できるため、やはり体重管理に重きを置くことは非常に大切だと強調されていた。

 

さんぽ会会長の福田洋先生からは、今回もヘルスリテラシーに絡めたお話しがあった。社員の健診受診成功の理由を尋ねたアンケート調査によると、1番は経営者の理解、2番目に各社員のヘルスリテラシーの高さが挙がったとのこと。実際に、社員のヘルスリテラシーと生活習慣・健診関連行動とが相関関係にあったというデータも示された。

 

毎年、当たり前のように健康診断を受診し、その結果が返ってきているわけだが、この当たり前のことを、これから労働者人口が減っていく日本において、有効活用していくことは、多くの方が重要だと認識している。今回もさんぽ会に150名ほどの参加者が集まったと思う。

こういった、日本の中で数多くの健診事後措置を行っている医療者などが、お互いに意見交換や情報交換を行って、今まで以上に「働く人が、いつまでも元気で働ける社会」を実現していければよいなと思う。