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2月27日、東京都文京区の講道館で全日本柔道連盟の強化委員会が開かれ、男女12階級で柔道の東京五輪代表が決まった。委員を前にデータを示しながら理路整然と選考理由を説明していた男子代表の井上康生監督。だが、直後の記者会見で感極まって涙を流す一幕があった。

 

選手への期待を問われると「永山(竜樹)、橋本(壮市)……」と落選者を次々と挙げ、絶句。「今はぎりぎりで落ちた選手の顔しか浮かばない。全てをかけて闘ってくれた」と話すと顔をくしゃくしゃにした。

 

我に返って「一番やってはいけないことをやってしまった」と謝罪した指揮官。金メダルを狙える力がありながら五輪に臨めぬ者も出る。その思いも背負って闘うことを誓っていた。

 

こんな記者会見を見せつけられたら、選手たちは一様に今まで以上に気持ちが奮い立ったのではないだろうか。それは選ばれた選手も、選ばれなかった選手も同様であろう。

 

我々の世代からすれば、柔道の井上康生と言えば、歴代の日本を代表する花形選手の一人であり、結果もしっかり残してきた。

そういった王道を歩いてきた人だと、一般的に弱者の気持ちはあまり分からない人が多いような印象があるが、どうして井上監督は、これほどまでに選考に漏れた「敗者」に思いを寄せることができるのか。テレビでこの記者会見の報道を見ていて、少し不思議な気がした。僕ら一般人は知らない、「王者・井上康生」以外に、裏では非常に苦労してきた経歴でもあるのだろうか…。

 

ただ、この監督の下であれば、なお一層頑張ろうと思った選手は多かったと思し、そのことによって、オリンピックに向けて男子柔道チームがさらに一丸となって、ますますレベルアップしてくれるであろうと、我々ファンは期待が一層高まってくる。

 

東京オリンピックが来年に延期されることが決まり、代表選手そのものもどうなっていくのかすら不明瞭な状態であるので、選手たちは本当に色々な不安や思惑を感じながら日々練習を続けているのだと思う。

それでも、こういった監督の下であれば、どんな状況になろうと、必ずや素晴らしい結果を見事に残してくれると思う。

我々も、なお一層応援していきたい。