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先週、私の医局の先輩でもある、同友会・春日クリニックの三輪真也先生の講演を聴かせていただいた。

今回は、「血糖スパイクについて ~血糖平坦化が健康寿命延伸のカギ~」というタイトルで、最近の医学的エビデンスもたくさん紹介していただいた。

 

その中でも、「血糖応答には個人差」があるとのことで、18~80歳の健常者800人を対象に、1週間のCGMを実施し、食後血糖応答(PPGR: postprandial glycemic response)を調査した(Cell 2015,163:1079)臨床研究が非常に印象的だった。結果として、800人全体でみると既報のグリセミック・インデックス(GI)とほぼ一致していたが、個人個人で見てみると、人によって血糖値が上がりやすい食品が大きく異なっていたとのこと。

 

中には、GI値が高い食品よりも低い食品の方が、PPGRが大きい人もいたとのこと。この要因として、個人個人で腸内細菌が大きく異なることも一因であるのではないかと考察されていた。

このため、筆者らはこの800人のデータを基に、PPGR予測プログラムを作成。食事内容・運動・睡眠、身体計測、labo data、腸内細菌など137項目を用いて、このPPGR予測プログラムの有用性を別の100人に対して実施。かなりの相関関係が得られたとのこと。

 

 

私の医局の後輩である、桜井(安藤)先生がスポートロジーセンター研究の1つとして、3日間の高脂肪食と3日間の通常カロリー制限食を健常者に食べてもらった時の、骨格筋細胞内脂肪(IMCL)をMRS検査で調査を行った。結果として、被験者全員のデータをまとめてみると、高脂肪食の方が、IMCLが有意に増加していた(Sakurai Y. et.al. JDI (2)310-7, 2011)。しかし、このスタディでも、個人個人のデータを見てみると、人によって高脂肪食にてIMCLが増加していた人もいれば、逆に低下している人も少数ではあるが認められていた。

 

この様に、一般的な食事療法を説明する時に、大枠では従来通りの手法であまり問題ないのであろうが、個人個人に指導する場合は、その人に適した食事療法が他の人と大きく異なっている可能性があることを、これらの論文は示されているのではないだろうか。

 

糖尿病学会で推奨される食事療法についても、近い将来に大きく変化・多様化していく可能性があることを、先月の糖尿病学会のシンポジウムで大きく取り上げられていた。

今後、どういった食事療法がよいか、医療者側からオーダーメイドで各患者さんに提示していくためには、AIなどを用いて様々な要素を分析した上で、個々にプランニングしていく時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。