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青年期のBMIが22㎏/m²以上で将来の糖尿病発症リスクが高まる

~青年期からの体重コントロールの重要性~

 

 

今月19日に順天堂大学HP上で、健康スポーツ室時代から糖尿病内科の医局内でも一緒に働いていた、染谷さんの順大体育学部卒業生の追跡調査研究について、プレスリリースされていたので、ご紹介したい。

 

順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの染谷由希特任助教、およびスポーツ健康科学部・体力体格累加測定研究グループは、同大学卒業生(男性661名、平均55歳)の糖尿病罹患状況と在学時の体格との関連を調査した(観察期間:平均32年)ところ、青年期の体格が正常であっても、BMIが22㎏/m²以上あると、将来の糖尿病発症リスクが高まることを明らかとなった。本研究により、将来の糖尿病の発症には青年期の僅かな体重の増加が影響していることが初めて示され、我が国の予防医学を推進するうえで青年期からの体重コントロールの重要性が示唆された。

 

これは大学卒業以降に糖尿病の有無および糖尿病と診断された年齢を聴取した。また、スポーツ健康科学部(旧体育学部)に50年以上にわたり蓄積された体格や体力のデータから、大学在学時のBMIを算出し、大学卒業から糖尿病発症または調査研究までを追跡(27–36年)したものである。

大学在学時(平均22歳)のBMIを4つの群(BMI21.0kg/m²未満、21.0-22.0kg/m²、22.0-23.0kg/m²、23.0kg/m²以上)に区分し、各群での糖尿病発症率を比較した結果、BMIが増加するにしたがって発症率が上昇していた(各群4.4%、7.6%、10.5%、11.3%)。また、追跡期間を考慮して検討した結果、糖尿病の発症リスクはBMI22.0-23.0kg/m²から上昇していることが明らかになった。つまり、青年期である20歳代前半のBMIが22㎏/m²以上の場合、将来の糖尿病発症リスクが高くなることを明らかになった。

以前より、日本人は欧米人と比較して、同じBMIであっても脂肪を皮下脂肪として蓄えられない、脂肪肝になりやすい、などといった脂肪分布の異常やインスリン分泌が低いことが指摘されてきた。これらの背景を踏まえると、青年期のごくわずかなBMI上昇がその後の糖尿病発症と関連すると推測される。

 

戦前から戦後まもなくにかけての日本人のBMIは20㎏/m²前後であったという。もちろんそれ以前も日本の歴史の中で、ずっと日本人はやせ型の体形をしていた。

それが戦後、いつしか食糧難から飽食の時代と変わっていって、日本人の平均BMIも少しずつ大きくなっていった。

 

しかし、我々の遺伝子自体が変化したわけでは当然ない。このため、元々やせ型の日本人にとっては、20歳前後の体形ですでに、BMI22.0㎏/m²以上といった、日本人にとっては少々脂肪が多い状態であるということが、将来の糖尿病発症リスクを高めるくらい、思った以上に我々の身体に大きく負担をかけている可能性があることが今回明らかとなった。

 

さらに体重の増加は、糖尿病だけでなく、脂質異常症や心血管疾患など様々な疾患にも結びつくことから、中高年期に限らず、青年期などのより早期から体重管理に気を付けることが必要だと考えられる。また大切なポイントとして、ただ体重を減らすのではなく、適切な運動や食事に心がけ、筋肉量を維持することも肝心である。そのためにも、体重の測定だけでなく、身長や体脂肪率も測定するなどして、体格の管理することが重要になる。本成果は、疾病リスクが高まる肥満の基準値がBMI25kg/m²以上とされるなかで、近年、アジア人ではBMI23㎏/m²以上で糖尿病になりやすいと報告されていることを支持する重要な結果であり、本邦の予防医学推進のための大切なエビデンスの一つになると考えられる。

 

 

今後このため、特に若い世代の人達に、10代の頃に体重増加させない様に積極的に啓蒙活動を行い、その親御さん達にもきちんと問題意識を持ってもらうといったことを、日本中の様々な医療従事者や教育従事者がしっかり理解し、指導していくことが、今まで以上に求められていくと考えられる。