「リーダーシップの理論」を読んで②

今回は、実際にこの本の中でこれまでに提唱されてきた様々な理論について古いものから最新のものまで紹介され、それぞれに解説をされている。僕が気になった理論を少しだけ紹介したい。

 

まずは1977年に提唱されたSL理論だ。この理論は、リーダーが置かれた状況とリーダーシップ・スタイルがフィットした時に、最も効果的である、と主張する。

SL理論では、リーダーシップ・スタイルを特定するために、リーダーシップを発揮するために指示的行動と支援的行動の2つの行動に着目している。

指示的行動は、フォロワーが目標を達成することを手助けする行動。支援行動とは、フォロワーが快適に仕事をできるように手助けする行動である。

この理論では、両行動をそれぞれ独立と考え、4つのリーダーシップ・スタイルを類型化している。最初は指示型、次にコーチング型、支援型、最後に委任型となっている。

 

コーチングの話をする時に、この4つのリーダーシップ・スタイルの類型化を紹介することがある。詳細は是非、本文を読んでほしいのだが、このSL理論が優れているところは、まず「分かりやすい」という点である。内容が明確で分かりやすいため、直感的に主張に納得がいく。

一方で、成熟度とリーダーシップ・スタイルのフィットについて論理的な説明がない。このため、フォロワーが必ずしもSL理論で想定した通りに成熟度を上げるわけではなく、そのようなフォロワーにはどのように対応すべきかという点については、有効な示唆を与えてはいない。

 

著者は、「どのような現場でも役立つ万能の理論というものはない。このため、それぞれの現場において最も適切な理論を用いることが必要となる。そのためには、様々な理論を知っておいた方がよい。理論は、使い方によっては、実際に現場でリーダーシップを発揮するための武器になる。武器は多い方がよい。最新の理論が役立つこともあれば、場合によっては、使い古された理論の方がうまく機能する場合もある。多くの理論を知ることが、自らのリーダーシップの汎用性を高めることにつながる」と述べている。

本当に、仰る通りだと思う。我々も多くの理論を学んでおき、必要な時に必要な理論を使い分けられる「適材適所」を心がけていく必要がある。目まぐるしく状況や環境が変化していくこれからの時代、一番避けたいのは何事においても「ワンパターン」ではないだろうか。