「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」を読んで

「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」(青野慶久;PHP研究所 2018)を読んでみた。

タイトルからして刺激的であるが、最初のページをめくってみると、さらにインパクトのある言葉がつづられていた。「最近、日本の大企業でくすぶっている若者たちを見て思うことがある。君たちはね、就活に失敗したんだわ。時代についていけないサラリーマン社長が経営しているイケてない会社を選んじゃったんだわ。そして、くすぶり続けているってことは、君たちも変化できない奴だってことになる。変わろう、動こう。」

著者は、サイボウズ株式会社の代表取締役社長。僕もマスメディアで何度か見たことはある。穏やかそうな顔立ちで、話し方もガツガツした感じはない印象であった。その人が、こういった言葉を発するといったことについては、結構パンチが強くインパクトがあり、やはり伊達にベンチャー企業の社長をやっている訳ではないのだなと感じる。

 

この本の中で、著者はカイシャとは実在しないモンスターのようなものかもしれないと言っている。「カイシャとはこれだ」と指でさせるものではない。そして、このモンスターには「子飼いの代理人」がおり、それが代表取締役で、この人が持つ権力は強く、結局、すべてのカイシャ員は「代表のため」に働いていると語っている。なので、カイシャというモンスターのブランドやイメージではなく、生身の人間である代表取締役が本当に信頼できる人かを見極めなくてはならない。もし、イケていない代表の下で偉くなっている人は、大抵イケてないという連鎖が起こる。つまり、今の日本では「その会社以外で通用しない社員を量産している大企業がたくさんある」とも語っている。

 

このため、これからは「自分のスキルを伸ばし、市場価値を高める場所を作ること」そして、「多様な働き方を可能にし、複業(副業)は解禁する」。こうしていくことで、「個性を磨いてもらうことに繋がり、イノベーションに繋がっていく」と話す。

実際に、著者は会社運営の中でもこのようなヴィジョンを持って行っているとのこと。

 

日本において、昭和のバブル時代のような華々しい成功事例のインパクトが、今でも拭いきれず、当時の終身雇用制やメンバーシップ型雇用に執着しがちである。しかし、時代は大きくその頃から変化してしまっており、今や「大企業が変わってくれることを、首を長くして待ち続けるのは、あまりにももったいない」と語っている。

 

著者は最後に「変わろう、動こう。みなさんが楽しんで働ける環境を作るために、私も全力でチャレンジし続けたいと思っております。」という言葉で締めている。

我々自身も、そういった変革を恐れずに、多様性を積極的に取り入れながら進んでいくことが、この時代、本当に大切なのではないかと感じた。