2年前の本だが、「常勝集団のプリンシプル(自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネージメント)」岩出雅之著、日経BPを読んだ。
この本の中で、印象的な岩出監督の名言がいくつも見られた。
一つ目は、「共感力は他人を動かす」
本文には、以下のように書かれていた。
共感力は他人を動かします。
共感の真反対に当たるのが「強制」です。昔の体育会系の上下関係が、まさに「強制」です。平成世代は、他人からの「強制」には敏感で、拒絶反応を示します。
「脱・体育会系組織」のよさは、上下関係の「強制」や「圧力」を小さくすることができた点です。共感力を身に着ける環境として、脱・体育会系組織が有効に機能している…。
正に今、日大ラグビー部のヘッドコーチによる、陰湿な部内の様々な事件がニュースになっているが、今の時代、今の世代にマッチした「共感力」をベースに「一人ひとりが自律的に成長する組織」が、従来の「強制」をベースとしたトップダウンの組織を、どんどん駆逐していっている時代なのかなと感じた。それはあたかも、巨大勢力を誇った国が滅んでいくかのようだ。
強烈なインパクトがあった文章に以下のようなものがある。
「スポーツ界も、監督が頭ごなしに叱りつけながら選手を引っ張る時代ではなく、いかに集団の中でイノベーションを起こしていけるか、それがとても大切な時代に来ています。(中略)
私は試合前に、対戦相手のどこが変わったかを、常にチェックするようにしていますが、空いてチームの特に監督やコーチに、イノベーションを起こそうとしている動きや空気を感じた時には、こちらも警戒し、気合いを入れて準備します。逆に、それを感じられない相手には、油断はしませんが、負ける気がしません。そうしたチームは過去の方法論でぶつかってくるので、負けない自信があります。」
全員が自律的に考えて、常にイノベーションを起こそうと前向きに考えて行動する。
それに比べて、監督の指示(サイン)通りに動くのとでは、状況の変化が凄まじいこの時代、どちらがその変化に対応し続けるかと考えると、その差は一目瞭然である。
これだけきちんと観察されて見抜かれていたら、勝てるわけがないと思ってしまう。そして、実際に常勝軍団を作り上げてきた理由がここに表れていると思う。