「Digital HealthTrend2022 -「医療4.0」時代に向けた111社の取り組み」(加藤浩晃 編著:メディカ出版 2022)を読んだ。
すでに様々なヘルスケア関連に対するデジタル対応についての企業参入がなされているが、僕自身、具体的にどういった企業がどういったものを提供しているのかなど、情報が多すぎることもあり、非常にキャッチアップするのが難しいと感じている。
そういった時に、たまたま本屋に立ち寄ったところ、この本を見つけたので、早速購入して読んでみた。
この本はドクターが書かれているので、医療の目線から非常に分かりやすく書かれており、ヘルスケアに関わる多くの医療関係者には必読書なのではと感じた。
まずは、ヘルスケアとデジタルヘルスについての解説から始まるのだが、これが大変分かりやすく勉強になる。著者は、「医療4.0」という、まさに今の2020年代における第4次産業革命に関連したテクノロジーを活用することで、今までの医療で解決できなかった医療現場の課題に対し、新たなアプローチ手法によって、新しい医療の形が示されてきていると話す。
これは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、我々も遠隔診療などで非常に恩恵を受けるようになった、「医療x IoT機器」「医療x 日常生活・住宅・家電」といったものだ。また、ご存知の通り、ウエアラブルデバイスも年々高性能になってきており、様々な機種が売られるようになり、個人のデータを24時間365日リアルタイムで収集することができるようになってきた。これをAIが解析し、各個人に対して価値が付加されたサービスを提供するようなビジネスも始まっている。これが、いわゆるSociety5.0で考えられているデータ駆動型社会であるとのこと。
こういったヘルスケアに関するデバイスやシステムを上手に活用し、各個人が主体性を持って医療に関わっていく時代となってきていることが、よく分かる。
そして、本の後半では、デジタルヘルス事業に取り組んでいる企業を111社も紹介してくれている。すでに有名な会社も多いが、僕自身は知らなかった企業も少なからずあり、大変参考になった。各企業が見開き2ページほどで文章を書いているような構成なのだが、最後に社長・CEOが紹介されている。これらを見て感じることは、非常に医師が社長・CEOを担っていることが多いということである。本当に医療・ヘルスケア業界も、時代が新しく変わって来ているなと実感させられた。
今後、これだけ多くの有能な医者達が大きく関わったヘルステックがどんどん発達していくと、ヘルスケア産業も、相当に医療分野と大きくオーバーラップしていくことが容易に予想される。逆に、医者を参画させずにヘルステック事業やヘルスケア事業を行っている企業は、そのクオリティの高さに振い落とされていくかもしれない。
我々も、もっとこういった最先端のデジタルヘルス領域について興味を持って積極的に情報を得るようにし、ヘルスケアや医療分野と上手に「繋がり」をもたせていくことが大切であると強く感じた。