今月2日の日本経済新聞夕刊に、気になる記事が載っていた。
最近、医療機関が運営するメディカルフィットネスが注目されているとのこと。
岩手医科大学附属病院の敷地内にも、専門的な各分野の民間組織と矢巾町がつながり、矢巾町の健康のために、メディカルフィットネスウェルベース矢巾という施設が誕生し、産学官がコラボした全国初のメディカルフィットネスジムということも、最近話題になっていた。
これは、町民や学生、そして健康チャレンジ事業に参加するか否か等で月額料金が変わってくる。健康増進にも貢献することとなり、非常に今時なスタイルであると思う。
私自身、順天堂医院勤務だった頃は、病院内にある健康スポーツ室に出向という形で5年以上勤務していた。このため、メディカルフィットネスの有用性と将来性については、以前よりずっと非常に強く感じている。
ただ、この健康スポーツ室は、都心の病院の建物内にある施設であったため、あまり広いスペースではなかった。このため、糖尿病教育入院患者や心臓リハビリ患者さん、そして特別会員の方といった、かなり限定された人しか使用できなかった。
しかし、医師の処方箋に基づき、順天堂大学スポーツ健康科学部の大学院で運動生理学を学んだスポーツトレーナーが、個別で運動指導を行ってくれるため、一人一人の患者さんにあったオーダーメイドでかなりクオリティの高い指導を行うことができていた。
話を戻すが、やはり、メディカルフィットネスの有用性は、一般のスポーツジムとは異なり、医師の処方箋に基づき、医師や看護師といった医療専門職の監修の中、安全にかつ、その人に合った運動法を指導してくれる施設であるのが特徴と言える。
これからどんどん高齢化が進むにつれ、高齢者の健康不安が指摘されるが、疾患を抱えた高齢者にとって、安易に一般のスポーツジムに行くことは、思わぬ事故になる可能性も秘めている。このため、こういった医学的な裏付けのある運動施設のニーズは非常に高いといえる。
また、「医師の働き方改革」の観点から言っても、今後、地域の医療を支えていくため、地方の病院では医療保険外の収入を増やしていく必要がある。この医療保険外の収入を得て、かつ、地域の住民の方々にも喜ばれることの1つに、「予防医学」が挙げられると思う。
メディカルフィットネスであれば、1次予防対策だけでなく、疾患を抱えた高齢者の2次予防対策にも極めて有用な手段となってくれる。
そして、そういった「元気で健康な状態を維持させてくれる病院」であれば、地域住民の方々にとっても、これからも安心してずっと通院し続けられる頼りになる病院ということにもなっていく。
そういった意味で、これからメディカルフィットネスが地域医療の活性化の起爆剤となってくれることを願う。
そしてさらに、メディカルフィットネスを利用して、地域の住民の方々が実際に健康で生き生きと暮らし続けることができれば、自然と地域の活性化にも結び付いていくと思う。そういった地域が日本各地にどんどん増えていくことが、これからの日本には強く望まれる。