外来診療における英語表現

先日、外来で必要な英語表現というセミナーがあり、参加してきた。

建設中のオリンピックスタジアムに程近い、千駄ヶ谷クリニックの篠塚規先生がご講演をされていた。

 

 

僕自身は英語がとにかく苦手で、大学病院時代も専属産業医時代も、英語に関しては苦い思い出ばかりである。

ただ、空前の人手不足や観光立国になってきている日本では、僕が好むと好まざるに関わらず、どんどん外国の方が日本にやって来ている。

このため、外来診療においても否応なく外国人の方を診察する機会は増えることはあれ、今後減ることは無いであろう。

 

正直、英語ができない人間にとって、外国人の患者さんの診察は難儀することも多い。なので、通訳してくれる方が一緒に来られている時は本当に助かる。ただ、それでも本当はなるべく直接会話しコミュニケーションが取れたらなとは、もちろん思う。

 

 

今回のセミナーでは、医者だけでなく看護師や医療事務のスタッフも一緒に聴きに来ている講演会のスタイルであった。

実際、外国人が医療機関に受診した場合、苦労しているのは医者だけでなく、もちろん看護師や医療事務のスタッフも同様に大変な苦労があると思う。特に支払いに関して等は、日本の医療制度は独特なので、やはりトラブルになることも少なくない。

 

今回、篠塚先生はこれらの支払い方法等についても、色々とアドバイスされていた。

当然クレジットカード決済が対応できることは必須であることや、保険診療で治療するのか全くの自費診療なのかで、各種薬剤の投薬量を日本の保険診療許容内に抑えるか否かの判断をせざるを得ない状況であるというお話しも、非常にリアリティがあり参考になった。

 

意外であったのは、千駄ヶ谷クリニックの中で、医者を含め、医療スタッフが話している英会話の内容をチェックしてみたところ、実際に頻用しているある特定の文章のほとんどが、英文法的には中学英語程度とのこと。そこで、最も頻用している文章例7つを覚えておくだけで、かなり外国人対応がスムーズになるとのこと。その7文章の多くは疑問文であったが、残念ながらここではご紹介できない。ただ、確かにこれらを、まずしっかり覚えておくことは、我々にとって非常に有用だと、非常に納得した。

ひとつだけ紹介させていただくと、最も印象的であったのは、What is your problem today? というフレーズであった。

こんな簡単なフレーズも、英語に馴染みがない人間からすると、全く口から出てこないものである。

実際には、そもそも我々にとっては、これらの疑問文の返答が返ってきた後が最も問題かも知れないが…。

 

さらに印象的だったことは、篠塚先生は本当に多彩な国籍の外国人を診察されているとのことであったが、基本、英語対応のみにされているとのこと。多言語対応するとなると、これだけ流暢に英語対応しているクリニックでさえ、収拾がつかなくなるらしい。

ただ、地域柄、ブラジル人が多いとか、中国人・ネパール人が多いなどの特殊な事情がある場合は、その特殊事情に対応せざるを得ないようだ。

 

できれば避けて通りたいのが、外国人対応であるが、観光や仕事に来てくれているお蔭で日本の経済も上手くいっていることは今や否定できない。英語について、結局何歳になっても勉強しなくてはならないなと、悲しいが改めて認めざるを得ない気持ちになった。