産業医アドバンスト研修会設立記念シンポジウムに参加してみて

先週末、産業医アドバンスト研修会設立記念シンポジウムがあったので、参加させていただいた。

午前中仕事があり、途中からしか参加できなかったのだが、大変勉強になった。

 

私も参加させていただいている「伝塾」塾長で、産業医科大学産業衛生教授の浜口伝博先生が中心となり、この夏から「産業医アドバンスト研修会」という会を発足されるとのこと。

この会は、e-learningなど、様々な取り組みを入れていきながら、まだまだ経験の浅い産業医のスキルアップを図るために企画された研修会とのことである。

 

このシンポジウムにて、浜口先生は、「今月から改正となった新安衛法では、産業医の独立性・中立性が強調され、新しい枠組みでの産業医活動が期待されている。これに伴い、産業医の職務は確実に増加し、責任も重くなってくることが予想される。今後、「令和」時代の産業医とは、どうあるべきかを考える必要が出てきている」とお話しされていた。

また、僕が最も印象的だったことは、「産業医は、社員の健康を保持させることも当然行っていくのであるが、大事なことはこの「健康」な状態を保たせることによって、会社・組織の中で何を成就させるかとういう観点を持つことが大切だ」とも仰っていた。

仕事に取り組む姿勢として、医療機関で働く医師と産業医では、この点が決定的に異なっているということが、僕自身も、最近やっと分かってきた気がする。

 

また、リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏は、「単身赴任」自体が、今後違法になっていく可能性も示唆されていた。本人やその家族が望まない形での勤務・人事というものそのものが、大きく見直される時代になってきているのかもしれない。

僕自身、4年間伊豆半島に単身赴任をし、家族にも少なからず迷惑・負担をかけた。そして、精神的にもかなりキツイ思いもした。やはり、こういった人事は安易に行うべきではないのではと、当時常々感じてもいた。

しかも、最近は「単身赴任」者が最も多い時代であるとのこと。これは共働き世帯が増えてきたため、妻は今の仕事があり、子供はすでに学校や幼稚園に通ってしまっている。従って、夫だけしか新しい赴任先に行けないという状態になってしまう家庭が、急増しているということだそうだ。

 

鳥飼総合法律事務所弁護士の小島健一先生のお話しも大変興味深かった。

小島先生とは、普段からさんぽ会幹事として、一緒にお話しする機会が増えてきているのであるが、この様なまとまったご講演をきちんとお聴きしたことはなかった。

小島先生は、人事・労務関連のエキスパート弁護士で、昨今急増している社内弁護士の先駆けでお仕事をされてきている方だ。私も前職の時は、良い悪いは別として、社内弁護士の先生には非常にお世話になったり、各々の事例についてそれぞれどの様に法律的に考えるべきか教わったりする機会があった。

 

小島先生は、これから世の中で産業医の権限が大きくなることが期待されてきているということは、責任も重くなっていくということも、しっかり認識されるようにと、強調されていた。

やはり、法律家にその様にきっぱりと言われると、私も含め、場内の産業医の先生方の緊張感も一気に増した雰囲気となった。

今後も、小島先生にはさんぽ会やこの研究会等を通じて、色々と教えていただきたいと思う。

 

そして、参加されていた産業医の先生方も、様々な方面で活躍されている先生方が多くおられた。

そういった意味でも、この様な研究会を企画していただくことで、本当に多くのことを学んでいくことができると感じる。

まだまだ勉強・経験不足のところが極めて多いので、しっかり参加して、どんどん新しいことを学んでいきたいと思う。