20歳代前半の大都市への流入が止まらない

総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、東京都の2022年の転入超過は10年前に比べて47%増え、新型コロナウイルス禍でやや減速したものの、東京の流入超は拡大基調にあるとのこと。しかも、年代別にみると、20~24歳の5万7153人が飛び抜けて多い。次いで25~29歳(1万9235人)、15~19歳(1万3795人)と続く。特に20~24歳の転入超過は前年に比べて15%増え、年代別の集計を公表し始めた10年以降、19年(5万7197人)に次ぐ高水準で、コロナ以前の水準に戻ったらしい。その他にも、大阪市は20~24歳は1万1911人の転入超過だった。

 

しかも特徴として、東京に流入した若者は女性の方が多いそうで、結局、大都市の方が、地方に比べて小売りや飲食といったサービス産業が多く、多様な働き方もできるため、就職先を求めて移住してきているようだ。

 

現在、私自身、「『医師の働き方改革』を積極的に行うことによって地方創生に繋がっていくことができる」と、医師を含めた地方の方々にお話しをさせていただいているのだが、「医師の働き方改革」を推し進めていかないと、本当に地方には若い人がどんどんいなくなってしまうのではないかと危惧してしまう。

 

一方で、国立社会保障・人口問題研究所の21年の出生動向基本調査では、夫婦が理想の数の子どもを持たない理由として「子育てや教育に金がかかりすぎる」が52.6%で最多だったとのこと。こういったことに関しては、地方に住むメリットを打ち出すことも可能と考える。ここに「地方であっても医療も安心して受けられる」ことも加えてアピールできれば、子育てのために地方へ移住する人も増えていくと思われる。コロナ禍でテレワークが急拡大したにもかかわらず、多くの企業は地方に移転しなかった。コロナ前から変わらぬ構造が、大都市圏から若者を引き寄せることまでには至っていない。

 

各地方は、この機を逃さぬように、「若者に目配りした経済支援」を積極的に打ち出す必要がある。これには、地元の企業や医療機関等、様々な人が一致団結して取り組んでいただきたい。そうすることで、地方再生も進んでいくことを期待している。逆にそうでないと、一気に過疎化が進むことにもなりかねない…。