はやぶさの帰還で、大変話題になったJAXAの川口淳一郎教授の講演会を聴く機会があった。
講演慣れされているのか、何度も笑いを取る内容で、リラックスして聴くことができた。
そういった中でも、やはり先の見えない、しかも結局30年がかりでミッションを達成された方の言葉は、やはり重みがあった。
今回の講演会のタイトルは「やれる理由こそが着想を生む」であった。「とにかく自分の思ったことを実行してみよう、そこから物事が始まっていくんだ」という"不屈"の強い思いがひしひしと伝わってきた。
僕自身、昨年から誰もやっていないようなことを仕事としてやり始め、やはりこれでよいのだろうかと不安に思うことは少なくない。そういう状況にいるからこそ、今回の講演ではかなり勇気づけられた。
失敗していれば、もちろん注目されることもなかっただろうが、成功するまで信念を持って挑み続けたことに、映画化されるまでの世の中に対してのインパクトもあったと言えるのではないだろうか。
今後、日本の医療や働く人達の状況を考えると、どうしても予防医療的な施策は、今まで以上に大切になってきているといえる。こういった総論については異論を言われる方は少ない。ただ、具体的な各論に入っていくと、なかなか賛成していただける方がまだまだ少ないのも現状である。
糖尿病専門医が職域に入って、産業医活動や保険組合と連携して仕事していくなど、いずれも前例がないだけに、この前例がないことに対しての拒否感は正直「半端なく」感じざるを得ないこともある。
しかし、今回の講演では、自分の信念を貫き通して、新しい分野を自ら切り開いていこうという思いが、本当は一番大切なのではないかと言うことを、何度も強調されておられた。
JAXAのように映画化されたりすることはないだろうが、将来、世の中の人達によかったと思ってもらえるように、今は五里霧中かもしれないが、さらに様々な方々と関わり合いを持ちながら、愚直に一歩ずつ進んでいきたいと思う。