今週、職域の保健師さん達に「インスリン治療の最前線」を知ってもらうために、ノボノルディスクファーマ社のご協力をいただいて、勉強会を都内で開催させていただいた。
様々な職種の会社や健康保険組合から、保健師・管理栄養士さんが集まってくださった。
厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%。男女別 にみると男性で78.7%、女性で74.1%であり、男女とも受診率は増加してきている。しかし、性・年齢階級別にみると、40 歳代男性では治療を受けている割合が他の年代よりも低い。(糖尿病ネットワークより、https://dm-net.co.jp/calendar/chousa/population.php )
しかし裏を返すと、まだまだ約25%の糖尿病患者が医療を受けていない現状も垣間見えてくる。
この状況をさらに改善していくために、現在でも様々な取り組みがなされている。例えば、厚生労働省は、企業と健康保険組合などの医療保険者とのコラボヘルスを推奨しており、より個人の状況に応じた健康づくりを行っていってもらいたいとのことから、2年前には「コラボヘルスガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000171483.pdfという本も出している。
ただ、それでも、職域の保健師さん達が「最新のインスリン機器を実際に手に取って操作」できるような医療現場での最先端の状況を知る機会は、今までも日本の中でほぼ皆無と言っても過言ではない状況がずっと続いている。
このため、今回、この保健師さん達に、実際にインスリン製剤を手に取ってもらい、どの様にインスリン治療が必要な糖尿病患者さん達が、日頃インスリン自己注射を行っているかを体感してもらった。
そうしたところ、予想以上にインスリンの針が細く短く、採血針とはだいぶ異なるという体験や、フレックスタッチのようなデバイスだと、高齢者であまり握力がない方でも使いやすいということなども実感していただくことができたかと思う。
今回の企画は、「職域の保健師さん達に、今まで以上にインスリン注射に対する抵抗感を軽減してもらいたい」という思いがあった。そして、そうすることで、保健指導の際に、「インスリン自己注射が必要な社員に、今まで以上に、医療機関に受診しインスリン治療を受けることを積極的に促していただくこと」ができるのではないかと考えてみたからである。
先月の日本産業衛生学会で発表させていただいた通り、職域の保健師さん達がインスリン治療等の最新の治療について学ぶことができる機会が極めて少ない現状がある。そういった状況を打開するために、こういった実際にインスリン機器を手に取ることができる機会が各地で増えていくことが望まれる。
今後も「働く人達が、これからも元気で働き続けられる」ために、微力ながらも様々な形でお手伝いできたらなと思う。