厚生労働省による新型コロナウイルスの初の大規模な抗体検査の結果が16日、公表された。過去に感染したことを示す抗体保有率は東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%で、欧米の報告より低い。多くの人が免疫を獲得し感染が終息に向かう「集団免疫」まで時間がかかると見込まれ、感染が再び広がる「第2波」への警戒が必要だ。(日本経済新聞社2020年6月17日朝刊)
抗体検査は感染後にウイルスに対する抗体ができているかを調べる。PCR検査や抗原検査がウイルスの有無や量を調べるのに対し、過去に感染したかどうかが分かる。このため基本的に、抗体ができると、その後のウイルス感染は防げるというのが一般的である。ただ、今回の新型コロナウイルス感染症の場合、抗体を保有していても再感染の可能性は否定できていない。ましてや、抗体を持っていなければ、今後もいつ感染するかは分からない。
この新型コロナウイルス感染症がいつ頃終息するのかを予測するうえで、重要な指標の1つとなってくるのが、抗体保有率である。一般的には6割程度の人が抗体陽性となると終息に向かうと言われているそうだ。
ところが、これだけ毎日感染者数などが報道され、日本中の経済が一変してしまったにもかかわらず、東京でさえも抗体保有率はたった0.1%とのこと。
これは、ワクチンや特効薬が開発されない限りは、まだまだずっと「withコロナ」の状況は続いていくということになる。
2~3月のまだ新型コロナウイルス感染症の脅威が日本国内ではそれほど認識されていなかった頃、都心部へ向かう通勤電車内では、マスクをせずにゴホゴホ咳をしている人が、必ず1車両に1人はいた状態であった。このため正直なところ、僕自身は、かなりのサラリーマンやOLの人達がこの時期にコロナに感染していたのではないかと考えていた。従って、抗体陽性率は15%程度になるのではないかと密かに思っていた。
しかし、結果は99.9%の人が感染していないとのこと。これは本当に衝撃的な数値である。やはり、日本では、しっかりマスクをして、みんなが手洗いも行っており、その効果が絶大ということであったのだろうか。
それでは、あの咳をしていた人達はインフルエンザ感染だったのか、咳喘息だったのだろうか….。
現在発売となっている抗体検査キットは、偽陰性が多いのではないかとも言われている。もしかしたら、陽性者数を少なく見積もっている可能性もある。ただ、それもどの程度なのかははっきりしない。
そういった意味でも、まだまだこの新型コロナウイルス感染症については明確でないことがたくさんある。今後、第2次・第3次のパンデミックをできる限り回避していくためには、もうしばらく我々は我慢を強いられることになる期間は続くということであろう。