実はこの夏、3カ月間限定で、完全遠隔診療の禁煙外来を日曜日にさせていただいた。
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完全遠隔診療の禁煙外来を毎週日曜日に本格的に行ったことは、今まで前例がないとのこと。
通常の保険診療内だと、禁煙外来を遠隔診療で行うことも可能だが、ただし少なくとも初診時は医療機関にリアルな形で受診しなければならないことになっている。
それでは、完全遠隔診療とはどういうことかと言うと、保健診療外で行っているということになる。当然自費診療となるのだが、そういった遠隔診療を数多くの方に受診してもらうには訳がある。
実は近年、数多くの単一健保が、この完全遠隔診療の禁煙外来のプログラムを福利厚生の一環として社員に提供している。
この場合、保健診療外なので、一度もリアルな受診は不要となる。遠隔診療を行っているクリニックの医師とオンラインで面談し、院内処方で禁煙薬を送ってもらう。これによって、本当に北海道や関西・北陸など、通常では診察することができないような対象者の人達への診療が可能となった。
しかも、この費用全額を健保組合が支払い、参加者の組合員は無料で受けられるサービスとなっている。
ほとんどが単一健保であるが、参加健保数は20~30程で、参加者も千人規模だそうだ。
あいにく今年は、チャンピックスの錠剤内に不純物が混入しているとのことで、一旦製造中止となっている。このため、全員ニコチネルの張り薬を処方することになったのだが、禁煙成功率は8割程度になる様子。
遠隔診療が可能となり、今まで禁煙に二の足を踏んでいた人まで禁煙成功することが可能となった。特に驚いたのは、40~60歳代の長年ヘビースモーカーだった方々が、意外に上手く禁煙できていくのを目の当たりにしたことである。
このプログラムの参加者に聞くと、やはり「職場でタバコを吸う場所が無くなってきた」「10月からタバコが値上がりしてしまう」「無料のプログラムだから」といったことがキッカケとなっているようであった。
僕自身も、これだけ数多くの禁煙外来を行ったことは初めてであったが、ニコチン切れよりも、習慣として喫煙が止めれない人が多いことがよく分かった。ただ、職場内禁煙や就業時間内禁煙、たばこの値上げといったことが、中年男性の禁煙成功に繋がっていることも、今回改めて感じた。こういった禁煙への取り組みをより一層増やしていき、より積極的に子供達や妊婦さんなどの受動喫煙予防対策も強化していけたらと思う。