「労働力減少時代の『もっとよくなる健康経営』」を読んで

「労働力減少時代の『もっとよくなる健康経営』-企業が生き残るために経営者が取り組むべき産業医の活かし方」(歌代敦 著:ダイヤモンド社2023)を読んだ。実は今回も、著者から直々に本をいただいたので、ブログに上げさせていただいた。

著者はエムステージ社の取締役で産業保健事業部長。前職の時から、毎月行っている我々の産業医勉強会のサポートをしてくれている。そして、普段から産業医派遣や企業に対する産業保健のコンサルタントを行っているため、長年に渡り様々な産業医の先生方との付き合いがある。したがって、どんな産業医が優秀で、その優秀な産業医の先生が社内でどのように活躍されるのかについて、数々の成功事例も知っている。

実際に本文では、企業と産業医とが一体となって行った成功事例をいくつか紹介してくれている。最初は上手くいかなくても、産業医が入いることによって、組織がどのように活性化していくかという経緯など、多くの経営者に知っていただけたらと思う。

さらに、本文でも何度も出てくるように、50人未満の事業所については、法令上、産業医を設置する必要は無いが、だからこそ柔軟な産業保健活動ができることを、「健康経営」等の観点からも前向きに捉えていくことは非常に大切なポイントになると思う。法令に縛られないのであれば、遠隔での衛生委員会参加や社員面談も自由自在に行うことも可能である。

これからの時代、社員数が多いから良い会社であるとは必ずしも言えず、少数精鋭で生産性高く働けている会社の方が、会社経営としてはクオリティが高いと言える。だからこそ、その少数精鋭の社員の健康増進を手厚く行っていくことは、非常に有益であると考えられる。そういった、さらに広い視野で会社経営に取り組めるか否かが、これからの人手不足が叫ばれる時代には、極めて重要であると思われる。

こういったこれからの時代の会社経営の考え方を示してくれている本をいくつか参考にしながら、多くの経営者が「真の健康経営」に積極的に取り組んでいってもらえればと思う。そういった意味でも、我々も産業医仲間だけでなく、その周囲でサポートしてくれている、こういった人々とも常に情報交換し、さらに多くの企業のサポート支援を行っていければと思う。