「OODA式リーダーシップ」を読んで

「OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン」(Aaron Z. Zhu著:(株)秀和システム2023)を読んだ。

 

読み終わった本を次から次へとブログに上げている感じなので、あまり分別が無いように思われてしまうかもしれないが、いずれも内容が素晴らしいのでご容赦願いたい。これは、僕のセレクトが良いのではなく、著者達が熱い思いを持って、多くの人に知ってもらいたいという思いがあるからこそなのではないかと考えている。

 

この本で取り上げられている「OODAループ」とは、元アメリカ空軍大佐で戦闘機パイロットだったJohn Boyd氏が提唱した意思決定プロセスで、PDCAよりも環境変化に柔軟に対応でき、変化が激しい時代のビジネスをハンドリングしていくリーダーに欠かせない概念と書かれている。「観察(Observe)」「判断(Orient)」「決定(Decide)」「行動(Act)」の4つに分かれており、意思決定から行動までを網羅している。さらに本文では、この「OODAループ」を用いてスピーディーな組織づくりにも活かすことが可能になることが紹介されている。

 

この本では、「OODAループ」だけでなく、リーダーシップについてもかなりの分面を割いている。

その中で、「リーダーの重要な役割は「変化に対応する」の一言に尽きる」と強調されており、「マネージャーは複雑さに対応し、リーダーは変化に対応する」とも述べられている。また、「リーダーシップは訓練すれば身につけることができる」。そして、「リーダーという才能は存在しない」「リーダーに必要なのは努力である」とも言っている。

 

昨今日本では、至る所でPDCAを回すことが必要だと言われている。しかし、産業医の専門医の先生方などとお話ししていて分かってきたことは、あくまでPDCAを回すのは、工場などの労災防止の安全の観点においてPDCAサイクルを大いに活用しているということである。日本では自動車産業などに代表される、工場における「安全管理」が世界的にも有名になり過ぎて、様々な業界において多少意味合いが外れたことまで何でもかんでもPDCAで考えることになってしまっているきらいがある。

 

しかしながら、刻々と変化する状況判断が強く求められ、しかも自分たちの生死をも左右する軍事作戦の中では「OODAループ」が意思決定プロセスとして用いられている。そして、あらゆる大会社のCEOがプロのコーチをつけ、「GROWモデル」のプロセスで、必ず目標達成するためのコーチングを日頃から受けたりもしている。

 

もちろん、PDCAサイクルが最もフィットする安全管理のような業務には、これからもPDCAが大いに活用されるであろう。しかしながら、まだまだ理想と現実とのギャップが大きくあるような状況であったり、この本に記されているように、昨今の変化が激しい時代にスピーディーな組織づくりが求められている状況下では、PDCAでは無い他の選択肢を選ぶこともできる状態に常にしておくことは、非常に大切なのではないだろうか。