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先日、現在厚生労働省健康局健康課の課長補佐をされている藤岡雅美先生のご講演を聴く機会があった。

藤岡先生は経済産業省で健康経営や働き方改革を立ち上げられた立役者の1人である。その先生が、今度は厚生労働省にて、健康・食事についても「自然に健康になれる社会に向けて」といったアプローチで、積極的に国としても今まで以上に取り組んでいこうとされているとのことであった。

 

結論として、そして非常に印象的だったのが「Public Health 3.0」という言葉であった。これは「全ての施策の中に“健康”をビルトインする」ということだそうだ。つまり、健康経営や働き方改革との中に、様々な施策が盛り込まれているわけだが、それぞれの施策の中に“健康という施策”を必ず入れ込んでしまうという考え方だ。これは、本当に素晴らしいと思うし、最も成功していきやすい施策方法でもあると感じる。

 

実情として、「健康増進を進めていきましょう!!」と言っても、実際には40~50歳代の男性サラリーマンや経営者の方々は、なかなか興味を示そうとしない。私自身も専属産業医になり、昨年から独立した後も、何度もそういった状況を体験してきた。

このため、藤岡先生によると、「健康」を前面に出すのではなく、「健康分野以外の知識を基に、当事者達が“健康”の価値を感じる形で訴求すること」が重要であると話されていた。さらに、そういう風に流れを持っていくためには、如何にソーシャルマーケティングの手法を活用していくか考えていく必要がある。

しかし、この「ソーシャルマーケティングの手法を活用していく」ということは、なかなか医療者が理解し、実行できることではない。このため、我々医療者もこのようなアプローチ方法をきちんと勉強していくことが必須となってきている。

 

そして今の時代は、企業の命運は「人」が握っていると言っても過言ではなく、このため、「企業は人材投資のため」に「健康経営」に取り組まざるを得ない状況にある。しかも「働き方改革」に向けて、日本の中で「生産性を高めていく」ことが求められている。

この「生産性を高めていく」ためには、「従業員の健康はエンゲージメントに影響する((株)丸井グループ)」や、「身体的リスクとプレゼンティーズムやアブセンティーズムとの関連」「身体的リスクと医療費との関連」といったことを、医療者側から経営者たちにしっかり示していく必要があるとも、お話しされていた。

加えて、そう言ったことを「健康経営銘柄」「低金利融資制度」「ホワイト企業」などといった、国が先導する取り組みによって、「企業の外からもプレッシャーをかける」ことが、より行動変容を生み出していく足掛かりになると述べられていた。

 

今後、藤岡先生達がずっと作ってきていただいたこれらの枠組みを、さらに中身の方ももっと充実させていけるように、我々医療者も企業や社会と連携して、具体的に・学術的にレベルアップし、「自然に健康になれる社会に向けて」の役割をしっかり果たしていくことが重要であると感じる。