ARE、AREと言いながら、この春、本当に優勝するとは、どれくらいの阪神ファンが本気で思っていたであろう。
昨年秋のクライマックスシリーズでヤクルトに惨敗。あのトラウマが残像として残っていたファンも多かったのではないだろうか。そして、まさか、あの強かったヤクルトが優勝戦線から早々と離脱してくれるとは、全く予想していなかったと思う。
そういうのは、ダメ虎ファンたちの妄想でしか長年なかったのだから…。
今年の快進撃は、本当に星野監督で優勝した年を彷彿とさせた。「あれよあれよ」と首位を独走し、特に今年は、まったく波乱を起こすことなく、9月14日に「ARE」が現実となってしまった。
実は、僕自身、9月22日の神宮球場での試合のチケットを購入しており、かなり優勝決定日に近いのではないかと、正直ほくそ笑んでいた。それがまさかの消化試合。しかも、その日、夕方から雨が降り、開始直前に試合開始が30分遅れますとアナウンス。しかもその30分後に試合中止が決まった。岡田監督も起こっていたが、土砂降りだったので、むしろ無理に試合をしてもらわなくて助かったと思った。
話を元に戻すが、一昔前は、阪神のドラフト1位などの上位指名の選手で、その後きちんと活躍した選手は、本当に情けないくらい少なかった。
大山が1位指名された時も、「これやから阪神はダメ虎なんや」と思わず、愚痴が出てしまった。それが、今年のあの自己犠牲をものともしない、献身的な4番の活躍。「恐れ入りました!!」。疑ってしまって申し訳ありません。
こんな若い人がいるなんて、日本もまだまだ捨てたもんでは無いと思いませんか⁉
そして、投高打低の阪神の試合は、本当に心臓に悪い。特に先制されてしまうと、非常に苦しい試合展開が続く。しかし、今年の阪神は逆転勝ちが多かった。よくまぁ、あれだけ連日我慢して試合が続けていられるなと、本当に感心した。
おじさん達でも根を上げそうな、苦しい状況でも、いつも我慢して、勝機を見出していく。このチームが、ベテランが少ない若いチームだということが、非常に驚きである。
よほど、世の中のおじいちゃんやおじさん連中の方が、日頃の我慢が足りていないのではないだろうか。
期待されたところで、リリーフ登板し、そこで見事に抑えて見せる。本当に、その身体的にも精神的にも、準備が大変で、しかもしっかりと結果を出しているところは、敬服するしかない。
そして、岡田監督。
日本シリーズが始まって、オリックスの強さをまざまざと感じさせられた。正直、とても勝てるとは思わないと思った阪神ファンも多かったはず。
中島聡監督の、日本一を何度も経験してきた阪急ブレーブス出身者らしい、素晴らしい緻密な采配。毎試合のスターティング・メンバーも的確で戦々恐々だった。
一方で、岡田監督はチラチラと温情采配が見られる。こういった采配は、今の時代では古いのでは無いかと思ってしまう場面もあったが、それを意気に感じて選手が応えてくれている場面も随所に見られた。何がよいのか分からない。しかし、大事なポイントは常に選手を観察し、期待を込めて送り出すことの重要性が光った采配であったのではないだろうか。
やはり、書き始めると止まらない。次回はこの続編としたい。